研究課題/領域番号 |
21H03346
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
小澤 淳也 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (00435059)
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研究分担者 |
森山 英樹 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10438111)
金口 瑛典 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 助教 (10826704)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 骨形態 / 膝関節アライメント / 成長期 / メカニカルストレス / 膝蓋骨不安定症 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では,筋骨格が未成熟なラットを用い,免荷による後肢へのメカニカルストレスの減少が,1)大腿骨形態,2)膝関節アライメント,3)膝関節機械的特性に及ぼす影響を調査した.4週齢の雌性ラットに後肢懸垂を2,4,8週間実施し,以下の実験を行った. 1)では,X線CT撮影画像を用い,大腿骨幾何学形態への影響を調査した.後肢懸垂により,大腿骨近位では,頚部前捻角(Anteversion angle: AVA)が増加した.大腿骨遠位では,外側顆部(Lateral condyle: LC)では成長が抑制された一方で,内側顆部(medial condyle: MC)には成長に影響を及ぼさなかった.滑車角(Trochlear angle : TA)は,成長に伴い生じる外方から内方への傾斜が,後肢懸垂により抑制された.AVA,LC,MC/LC, TAの間には強い相関が認められた. 2)では,膝関節アライメントに及ぼす影響を調査した.後肢懸垂により,大腿骨に対する膝蓋骨の傾斜角度(Patellar Tilt Angle)は外方に傾斜し,脛骨粗面-滑車溝間距離(TT-TG)により脛骨の外旋が示された.加えて,膝蓋骨の側方変位の指標であるBisect offsetは,膝蓋骨の外方への移動を示した. 3)では,膝関節全体および前十字靭帯(Anterior Cruciate Ligament: ACL)における機械的特性への影響を調査した.万能試験機を用い,後肢懸垂後の膝関節弛緩性(Joint laxity),ACLのstiffnessおよび破断強度を調査した.その結果,4-8週間の後肢懸垂により,いずれの機械的強度の指標も変化し,関節弛緩性が出現することが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究は概ね計画通り進行しており,研究成果は学会発表している.また,研究の一部は,現在国際誌に論文投稿中もしくは投稿準備中である.
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今後の研究の推進方策 |
再荷重による大腿骨形態異常・膝関節マルアライメントが回復するか否か,回復可能であればその程度やそのために必要な条件(免荷期間)といった情報は,早期の治療介入の意義や時期を測るうえで重要である.そこで実験期間2年目では,4週齢から1,2,4週間の後肢免荷後に12週齢まで再荷重を実施し,X線CT画像より,1年目と同様の解析を行うことで,再荷重により骨形態・膝関節アライメントの適応の限界点を調査する. さらに今年度は,後肢懸垂により特徴的な変化が生じた膝関節の滑膜/関節包,内側膝蓋大腿支帯の遺伝子発現を網羅的に解析することで,この現象の背景にあるメカニズムを解明に繋げる予定である.
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