研究課題/領域番号 |
21H03361
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
榊原 啓之 宮崎大学, 農学部, 教授 (20403701)
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研究分担者 |
下位 香代子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 客員教授 (10162728)
芦田 均 神戸大学, 農学研究科, 教授 (90201889)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 抗ストレス効果 / ポリフェノール / 食事 / 日内リズム / マウス |
研究実績の概要 |
ストレス社会の蔓延により,精神障害を抱える日本人の絶対数が増加している。そのため,精神障害予防を目指した新たな制圧戦略が必要である。本研究は,ファイトケミカルの抗ストレス効果を,ストレスに対する生体応答機構が刻む日内リズムとファイトケミカルの摂取時刻の観点から検証し,最終的に抗ストレス効果を有するファイトケミカルを含んだ食事をいつ摂取すべきかの提案を目指すものであり,令和3年度は以下の成果を得た。 1)マウスを用いた試験系により,ストレスに対する生体応答機構に対する生命の時間軸の影響を調べた結果,加齢に伴いストレス応答性が上昇するプロテインXを見出した。 2)栄養成分の代謝吸収に関与する因子の肝臓中遺伝子発現の日内リズムを評価した結果,特に明確なリズムを刻んだ脂質代謝系に着目することにした。次に,異なる脂肪酸組成の油を異なる時間帯に経口投与したところ,その体内動態が投与時刻により異なることを確認した。さらにその作用は,単回投与よりも日常的に摂取することでより明確になることを見出した。 3)代表的なフラボノイドの一つであるケルセチンを被験ファイトケミカルとして用い,異なる配糖体を経口投与した時に,胃―回腸における通過速度に違いあることを見出した。 4)腸内細菌叢解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究計画を順調に遂行中である。また付随して,脂質代謝系が重要な鍵を握っているとの成果を得ており,今後の研究展開に広がりを見せることが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
【摂取時刻・共存成分・ストレス負荷状態・生活習慣病状態が抗ストレス成分の体内動態に与える影響を検証し,夜間に体内に留めるために最適な摂取時刻を見出す】 ファイトケミカル等の食事成分を2つの時間帯(活動期の最初と最後)にマウスへ経口投与した後,経時的に胃内容物,腸内容物を回収する。 投与成分に最適なHPLCあるいはGC条件を用いて投与成分を比較測定する。次に,被験成分を,炭水化物,脂質,タンパク質などの食事に含まれる栄養成分と混合して経口投与,あるいは事前/事後に経口投与し,同様の方法を用いて体内動態を追跡する。さらに,マウスに単独隔離スト レスを2日間負荷し,体内濃度が高まる時間を加味して被験成分を経口投与し,同様の評価を行う。以上の結果より,共存成分の影響 摂取時刻 ・共存成分・ストレス負荷状態・生活習慣病状態が抗ストレス成分の体内動態に与える影響を検証し,夜間に体内に留めるために最適な摂取時 刻を見出す。 【抗ストレス効果と生体応答機構に及ぼす摂取時刻の影響】 マウスに対面ストレスを負荷し, 2つの時間帯に解剖に処し,ストレス刺激に対する生体応答項目を評価する。また消化管,肝臓,脳組 織内 で刻まれている時計遺伝子(Bmal1等)および時計制御遺伝子(Pai-1等)の発現を比較することで,体内時計とストレス応答の関係を明ら か にする。さらに,回収した糞便を16S rRNA菌叢解析に供し,腸内細菌叢が刻む日内リズムとストレス応答性を比較することで,抗ストレス効果 と生体応答機構に及ぼす摂取時刻の影響の評価を開始する。 【理想的な抗ストレス食事組成と摂取時刻の提案】 抗ストレス効果が期待できる抗ストレスカクテルを試作する。
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