研究実績の概要 |
ソーシャルネットワークや創薬などの幅広い分野において、計算機上でデータの関係性をグラフ構造として表現し、それを高速に解析する試みが盛んに行われて いる。しかしながら、既存研究の多くは特定のグラフや特定の計算機システムを対象としているため、ユーザの性能チューニングの負担が問題となっている。そこで、その負担をなくすため、本研究課題では自動性能チューニング機能を持つグラフライブラリを開発している。
本年(2023年)度は、日本のフラッグシップスーパーコンピュータである「富岳」のほぼ全系(152,064台)を用いて、昨年度に開発したグラフライブラリの性能測定を行った。その結果、30%以上の性能向上を達成することができた。この結果により、2023年6月のグラフアルゴリズムの世界的なランキングであるGraph500において世界1位の記録を更新した。補足として、もし本研究の性能向上がなかった場合、他国のシステムが1位になっていた。さらに、開発したグラフアルゴリズムの性質について実験を行い、どのような計算機システムやグラフの大きさであっても、大幅な性能向上を達成できることを明らかにした。
本グラフライブラリの詳細については、2024年1月に開催された国際会議HPC Asia 2024において発表を行った。また、本グラフライブラリと、科研費とは別の共同研究において開発した他のアルゴリズムとまとめて、2024年4月に国際会議SC2024に論文を投稿している。
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