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2023 年度 実績報告書

多様な探索問題のための情報論的ベイズ最適化の構築と材料科学データでの実践

研究課題

研究課題/領域番号 21H03498
配分区分補助金
研究機関名古屋工業大学

研究代表者

烏山 昌幸  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40628640)

研究分担者 田村 友幸  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90415711)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードベイズ最適化 / マルチフィデリティ最適化 / 制約付き最適化 / 多目的最適化
研究実績の概要

2023年度はベイズ最適化の情報論的なアプローチによる獲得関数の設計や,理論解析,材料や自動機械学習への応用を行なった.主要なものについて,以下で述べる.R. Ozaki, et al., AAAI2024では使用者の好みに応じた多目的最適化を行う方法を提案した.多目的最適化では必ずしも解が一意に定まらないため,パレート最適な解を列挙することが一般に行われるが,観測コストの高いブラックボックス最適化ではこの方法は現実的でないケースも多い.ここでは,使用者に対する問い合わせから好みを推定し,ベイズ最適化と組み合わせる枠組みを提案した.このとき当然,なるべく少ない回数での使用者への問い合わせで最適化を達成する必要があるが,問い合わせによって得られる情報量を評価し,最適な問い合わせを行うための指標を提案した.人間の選好を導入する最適化は近年の機械学習分野では注目度が高く,重要な成果だと考えている.S. Takeno, et al., ICML2024はサンプリングに基づくベイズ最適化のリグレット理論解析であり,情報論に基づく手法も特殊ケースとして含まれる.情報論的ベイズ最適化に対する理論解析は非常に数が少なく,独自性のある結果だと言える.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画から多目的最適化は含まれていたが,好みに応じて適応的に探索する枠組みは研究の進展に応じて生じた新たな発展であり,AIの最高峰学会であるAAAIでの発表まで進めることができたことは大きな進展だと考えられる.理論解析に関する貢献が生まれたことも当初予定を超える成果だと考える.材料科学への応用に加えて,自動機械学習でのベイズ最適化応用に関する研究が生まれ始めており(石川他IBIS2023など),これらは応用面での当初予定を超える進展であった.一方で,情報量の計算量改善,近似精度の評価などは今後の課題として残っている.

今後の研究の推進方策

最終年度であるため,論文発表を目指す.基礎方法論では,選好に基づく最適化の一般化,情報論に基づくBiLevel最適化,複数設定の統合など,応用では材料解析や自動機械学習などを学会・論文誌への投稿を目指す.選好に基づく最適化の一般化では,使用者の好みの表現方法を一般化することでより多様な状況に対応する枠組みを構築できる.このとき,それぞれの表現に対して情報論的に利得を評価し,適応的な問い合わせの枠組みを構築する.BiLevel最適化は材料探索での適用を念頭に実験評価を行い,また,BiLevel最適化を構成するlower levelの最適化問題とhigher levelの最適化問題に対して同時に計測が得られる状況,別々に計測が得られる状況など実践的な状況に応じた一般化を行うことで適用可能性を拡張する.複数設定の統合には下限に基づく情報量評価を用いて,複雑な問題設定でも簡便に評価できる指標を構築する.材料応用では物性最適化,自動機械学習応用ではハイパーパラメータ最適化に提案した枠組みを適用する.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Drawing a materials map with an autoencoder for lithium ionic conductors2023

    • 著者名/発表者名
      Y. Yamaguchi, T. Atsumi, K. Kanamori, N. Tanibata, H. Takeda, M. Nakayama, M. Karasuyama and I. Takeuchi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 13 ページ: 16799

    • DOI

      10.1038/s41598-023-43921-1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Optimization of Force-Field Potential Parameters Using Conditional Variational Autoencoder2023

    • 著者名/発表者名
      K. Matsunoshita, Y. Yamaguchi, M. Hamaie, M. Horibe, N. Tanibata, H. Takeda, M. Nakayama, M. Karasuyama, R. Kobayashi
    • 雑誌名

      Science and Technology of Advanced Materials: Methods

      巻: 3 ページ: 2253713

    • DOI

      10.1080/27660400.2023.2253713

    • 査読あり
  • [学会発表] Posterior Sampling-Based Bayesian Optimization with Tighter Bayesian Regret Bounds2024

    • 著者名/発表者名
      S. Takeno, Y. Inatsu, M. Karasuyama and I. Takeuchi
    • 学会等名
      The 40th International Conference on Machine Learning (ICML 2024)
    • 国際学会
  • [学会発表] Multi-objective Bayesian Optimization with Active Preference Learning2024

    • 著者名/発表者名
      R. Ozaki, K. Ishikawa, Y. Kanzaki, S. Takeno, I. Takeuchi and M. Karasuyama
    • 学会等名
      The AAAI Conference on Artificial Intelligence (AAAI 2024)
    • 国際学会
  • [学会発表] 共有潜在空間上でのベイズ最適化による機械学習モデルとハイパーパラメータの同時選択2023

    • 著者名/発表者名
      石川和樹, 尾崎令拓, 神崎陽平, 竹内一郎, 烏山昌幸
    • 学会等名
      第26回情報論的学習理論ワークショップ (IBIS2023)
  • [学会発表] ガウス過程回帰に基づく結晶構造X線吸収スペクトル予測と価数比推定2023

    • 著者名/発表者名
      岩下拓未, 平井悠喜, 小林亮, 田村友幸, 烏山昌幸
    • 学会等名
      情報論的学習理論と機械学習研究会(IBISML)
  • [学会発表] 最適値の情報量に基づいたマルチフィデリティベイズ最適化2023

    • 著者名/発表者名
      竹野思温, 烏山昌幸
    • 学会等名
      第37回人工知能学会全国大会
  • [学会発表] 変分自己符号化器を用いた探索空間の削減による高次元ベイズ最適化2023

    • 著者名/発表者名
      神崎陽平, 石川和樹, 尾崎令拓, 烏山昌幸, 稲津佑, 竹内 一郎
    • 学会等名
      第37回人工知能学会全国大会

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公開日: 2024-12-25  

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