研究課題/領域番号 |
21H03501
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
来村 徳信 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (20252710)
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研究分担者 |
溝口 理一郎 北陸先端科学技術大学院大学, その他, フェロー (20116106)
荒尾 晴惠 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50326302)
師岡 友紀 武庫川女子大学, 看護学部, 教授 (40379269)
山本 瀬奈 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (60796522)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | オントロジー |
研究実績の概要 |
看護分野における患者の術後回復プロセスに焦点を絞り,知識モデルを記述し,オントロジー的基盤概念を明らかにして,プロトタイプシステムを開発することを目標とした. まず,手術後の患者の回復過程と患者状態のアセスメントに関する知識モデルとして,手術侵襲に対する例えば生理的イレウスといった生体反応の発生機序と,時間経過に沿って回復していくプロセスを,「術後生体反応木」と呼ぶ統合プロセス分解木として記述する枠組みを考案し,実際に記述した.そのプロセスへ影響を与える個別要因として,回復を促進する要因と阻害する要因の2種類に分けて,具体的な要因として「良好な疼痛コントロール」や「高齢」などの多様な要因を同定した.それらを術後生体反応木に記述することで,個別要因による回復プロセスへの影響を表現した. 次に,これらの知識モデルに現れる概念を上位オントロジーYAMATOにおけるコンテキスト概念に基づいて一般化することで,オントロジー的概念要素を定義した.まず,上記の「生理的イレウス」等は,健康な身体状態と比較すれば異常であるが,手術侵襲に対する生体反応としては正常な範囲であり,本研究の主題である概念変容の例として,術後生体反応木と比較した評価行為の結果である「許容範囲状態」という概念を定義した.また,上述した多様な個別要因を「回復促進要因」と「回復阻害要因」という2種類の概念の下位概念として同定した. さらに,そのような知識モデルを活用するソフトウェアとして,患者の個別要因を選択入力すると,特に注意して実施する必要がある観察・評価行為を「要観察ノード」としてハイライト表示するソフトウェアシステムのプロトタイプを開発した.研究分担者による試用を実施し,評価を受けた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
個別要因の多様性があることを踏まえて繰越しを行ったが,2021年度の当初目標であった知識モデルの記述,オントロジー的基盤概念の同定,プロトタイプシステムの開発を2022年度までに実施できた.
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今後の研究の推進方策 |
回復プロセスを支援する対処行為の一種として,看護分野におけるケア行為を記述し知識モデルを拡充する.また,開発したシステムの試用と評価の検討を行い,フィードバックを収集することによる改良を目指す.
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