研究課題
本年度においては,昨年度に続き看護分野における患者の回復プロセスを主な対象として,知識モデルを記述・拡充するとともに,概念変容に関するオントロジーの基礎的枠組みの拡充を目標とした.まず,昨年度までに記述した,患者の個別特性に注目した術後回復過程プロセスの知識モデルに,回復を支援するためのケア行為の記述と関連付けを行い,拡充した.早期離床の促進支援を例題として,回復に資する患者の早期離床を支援するために行う看護師のケア行為を知識モデル化した.特に,手術前(術前)に行う患者の精神的側面のケア行為の記述と関連付けを行った.また,その知識モデルを生かして,昨年度までに開発したシステムの拡張を行い,時期として術前を指定すると,術前に行うべきケア行為をハイライト表示する機能を実装した.さらに,これらの看護分野における解釈行為とそのコンテキストの種類を,製造業等の他の分野にも適用可能なように一般化して,概念変容をもたらすコンテキストとその構成要素を体系的に分類・定義したオントロジーの枠組みの拡充を進めた.一般化したオントロジーの枠組みに基づいて,RDFスキーマを定義し,看護行為の行為分解木データをRDFデータに変換するコンバータを試作し,実データの変換を行った.変換されたデータを,一般的なRDFデータの階層化表示ツールに適用し,階層的に表示可能にした.また,概念変容の他の例として,製造業における製造プロセスデザインをとりあげ,例えば「温度を低くする」や「粒径を小さくする」は,製造プロセス内時間軸とデザインプロセス内時間軸の2つをコンテキストとして解釈可能であり,後者のコンテキストはメタプロセス内時間軸として概念化できることを明らかにした.
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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人工知能学会論文誌
巻: 38 ページ: C~MC1_1-16
10.1527/tjsai.38-5_C-MC1
arXiv
巻: - ページ: -
10.48550/arXiv.2307.07517