研究課題/領域番号 |
21H03553
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
岡本 一志 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (10615032)
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研究分担者 |
高間 康史 東京都立大学, システムデザイン研究科, 教授 (20313364)
吉田 真一 高知工科大学, 情報学群, 教授 (30334519)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 情報推薦 / 推薦理由の説明 / 説明の効果 / 協調フィルタリング / 品質評価 |
研究実績の概要 |
本研究は,動的・複数項目の評価データ・ユーザIDの有無が混在といった,より高次の情報や複雑な状況を対象に,推薦理由を説明する情報推薦システムを開発し,理由の説明機能の品質評価法を確立する.本年度の実績は次のとおり.
(1)一定期間に発生した行動やイベントの集合であるセッションを対象とした推薦システムを,分散表現されたユーザとアイテムを近傍探索するアプローチで開発した.具体的には,Word2Vecによりアイテムの分散表現を獲得し,その分散表現の階層化・集約することでセッションとユーザの分散表現を逐次的に獲得する手法を提案し,k近傍法による推薦システムに適用した.3種類のデータセットを用いた推薦実験から,GRU4Recと同程度の推薦精度を有し,数百倍高速に学習できることを検証している.年度末には研究成果をまとめ,国際学術論文誌への論文投稿を行った.この開発はセッションデータを対象とした例示による説明機能の実現に係るものである.
(2)これまでに展開してきた価値観モデリングの研究を推進し,価値観モデリングのアプローチで複数項目の評価データを対象とする推薦システムの開発に取り組んだ.具体的には,価値観をユーザの個別の評価項目(属性)へのこだわり度と仮定し,ラフ集合を用いてユーザが付与した属性評価値と総合評価値の関係をIf-Thenルールで抽出し,そのルールに基づき推薦するシステムを提案した.Livedoorグルメデータセットを用いた推薦実験より,従来のユーザベース協調フィルタリングと比べ,推薦精度が向上することを確認している.この開発は複数項目の評価データを対象としたルールによる説明機能の実現に係るものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の当初計画では,主としてセッションデータおよび複数項目の評価データを対象とした説明機能付きの推薦システムの開発を予定しており,その候補となるプロトタイプシステムを開発することができた.また,3台の高性能計算機の導入もでき,今後の実験を効率よく進められる環境の構築が行えた.以上の理由から,おおむね順調に進展していると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に引き続き,セッションデータや複数項目の評価データを対象とした説明機能付きの推薦システムの開発を行う.併せて,推薦理由の説明効果の評価法について関連研究の調査を進め,その適用可能性を検討する.
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