研究課題/領域番号 |
21H03574
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
高田 兵衛 福島大学, 環境放射能研究所, 准教授 (80642347)
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研究分担者 |
津旨 大輔 一般財団法人電力中央研究所, サステナブルシステム研究本部, 副研究参事 (10371494)
青野 辰雄 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学研究所 福島再生支援研究部, グループリーダー (20270605)
平尾 茂一 福島大学, 環境放射能研究所, 准教授 (30596060)
脇山 義史 福島大学, 環境放射能研究所, 准教授 (40594792)
和田 敏裕 福島大学, 環境放射能研究所, 准教授 (90505562)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 汚染懸濁粒子 / 吸着形態 / 大量ろ過 / 事故前レベル |
研究実績の概要 |
福島県の沿岸海域における海水中の放射性Cs濃度は、福島第一原発事故から10年以上が経過した現在においても、事故前の値に到達しておらず、同原発からの直接流入、陸域に沈着したCsの河川を介した流入等による影響が考えられる。本研究の目的は、福島第一原発事故前への状況へ復帰に資するために、(1)福島沿岸の汚染懸濁粒子の影響範囲の特定(エリアの特定)、(2)河川から沿岸にかけての汚染懸濁粒子の移行量把握(総量の把握)、および(3)食物連鎖によるCs移行量をモデルにより推定し、汚染懸濁粒子を起点とした福島沿岸におけるCs動態の検証を行う。令和4年度は、福島沿岸の汚染懸濁粒子の影響、河川から沿岸にかけての汚染懸濁粒子の移行量把握について、陸上調査、船上調査、成果の一部を学術論文に通じての公表、シンポジウムや学会発表、メディアを通じて積極的に発信した。調査結果として、(1)福島沿岸の汚染懸濁粒子の影響範囲の特定について、陸上調査の同原発沿岸に位置する河川下流および河口付近での水試料採取、漁船による同原発周辺での試料採取、更には東京大学所属の東北海洋生態系調査研究船(学術研究船) 新青丸を用いた調査航海を実施し、福島第一原発周辺の海水、海底土、海産生物の採取を行った。得られた試料を用いて、原発周辺の近傍から沖合にかけての広域における汚染懸濁粒子の影響範囲を調査した。河川から沿岸にかけての汚染懸濁粒子の移行量把握については、福島県周辺の河川下流において、定期的な河川水の採取ならびに河川流量の調査を行い、汚染懸濁粒子の移行量把握を行った。シンポジウムや学会発表のうち、福島大学環境放射能研究所が主催した市民向けシンポジウム「環境放射能の新たなフロンティア」等で発表した。また、成果の一部を学術論文に通じての公表した内容は学内でのプレスリリースの後、地元新聞社などのメディアを通じて積極的に発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、コロナにおける行動制限が前年度に比べ緩和されたことにより、海域・陸水域における調査や分析を行うことが出来た。得られた結果を、学術論文を通した公表、更にはその結果をシンポジウムや講演会、メディア等を通じて研究者や一般市民に向けて発信することが出来たためである。特に、懸濁粒子の存在量が多い、河口沿岸域における調査による汚染懸濁粒子の影響範囲の特定や河川からの移行について定量評価についての学術論文を公表することが出来た。更に、過去のデータを取りまとめたチェルノブイリ事故と福島第一原発事故後の海域への影響についての比較検討を行った学術論文を通じて、福島の河川からの影響についての寄与を浮き彫りにする事が出来た。以上の理由により、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はおおむね順調に進展している。今後も、研究課題について、研究分担者とともに積極的に推し進めるするとともに、得られた成果についても、地元の漁業関係者や一般市民等に向け、わかりやすい形で情報発信し、福島の環境修復の一助とする。
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