研究課題/領域番号 |
21H03596
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
柴田 淳史 群馬大学, 未来先端研究機構, 准教授 (30707633)
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研究分担者 |
山内 基弘 九州大学, アイソトープ統合安全管理センター(馬出地区), 准教授 (60437910)
宮成 悠介 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 准教授 (60469608)
安原 崇哲 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90757056)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | DNA修復 / 放射線 / クロマチン / 転写 / 染色体転座 |
研究実績の概要 |
放射線照射が誘発するDNA二本鎖切断(DSB)は重篤なDNA損傷の一つとされ、その修復の成否は細胞の運命決定に大きな影響を与える。ヒト細胞に生じたDSBは、非相同未端連結(NHEJ)または相同組換え(HR)のいずれかによって修復される。我々は、放射線照射直後、DSB近傍ではNHEJに適したコンパクトなクロマチン構造が構築され、HRの進行と伴にクロマチン構造が変化することで、NHEJからHRへの切り替えを促進していることを明らかにしてきた。そのクロマチン環境変化を制御する因子は53BP1であることが示唆されているが、その詳細な分子機構は未解明である。本研究では、細胞がどのようにしてクロマチン環境をNHEJからHRに適した構造へと変化させているのか、DSB発生から時間の経過と伴に局在を変化させる「53BP1 repositioning(再配置)」と呼ばれる現象に着目し、その分子機構の解明に迫る。昨年度、超高解像度蛍光顕微鏡3D-SIM(OMX)により53BP1を観察した結果、53BP1は複数のナノドメインを構成していることが明らかになった。我々が所有する53BP1変異体にて53BP1ナノドメインを解析した結果、特に53BP1-olimerization変異体にて53BP1ナノドメイン構築に異常が認められた。次に、環境変化が53BP1の集積に影響を及ぼすかどうか検討するため、pH変動、浸透圧変化の条件下において53BP1集積を解析した。その結果、53BP1が液液相分離により集積することと一致して、pH変動や浸透圧変化にて53BP1の集積が起こらなくなることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り
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今後の研究の推進方策 |
53BP1 repositioning(再配置)が起きた後に、修復経路がNHEJからHRへと切り替わる。その切り替えは分子レベルでは53BP1からRAP80への移行とされていることから、次年度は53BP1とRAP80の関係性について解析を進める。
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