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2022 年度 実績報告書

転写共役型DNA二重鎖切断修復を制御する新規因子の探索

研究課題

研究課題/領域番号 21H03597
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

安原 崇哲  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90757056)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワードDSB修復 / 転写 / R-loop / ゲノム安定性 / RAP80
研究実績の概要

ゲノム中の転写領域では、R-loop構造とよばれるDNA-RNAハイブリッド二重鎖と一重鎖DNAからなる特殊な核酸構造を起点としてDNA二重鎖切断(DSB)を正確に修復する。これまでに我々のグループは、S/G2期において転写共役型相同組換え修復がこれらのDSBを正確に修復していることを明らかにしてきた(Yasuhara et al. Cell 2018)。しかしながら、静止期においてこれらのDSBがどのように修復されているかについては分かっていなかった。転写共役型DSB修復に関連する新た
な因子として、データベースを用いたスクリーニングから、ユビキチン鎖に結合する分子RAP80を同定した。RAP80欠損細胞ではR-loop構造の不安定化によるゲノム異常の増加が示唆されたため、一重鎖DNA部位の挙動の追跡を行った。その結果、RAP80欠損細胞ではR-loop内の一重鎖DNA部位が不安定化していることが判明した。つまり、RAP80が一重鎖DNAの安定化に寄与することが示された。また、このRAP80によるR-loopの安定化は、特に細胞周期のG1期においてBRCA1, Polθ, LIG1/3などが関与する転写共役型末端結合(TA-EJ)を誘導し、DSBを迅速に修復していることが明らかとなった。これらのことから、転写活性化部位に生じたDSBはR-loopを誘導するが、R-loop内の一重鎖DNAはRAP80の機能によってヌクレアーゼから保護され、TA-EJが転写活性化部位のゲノム安定性に重要な役割を果たしているというモデルが考えられた(Yasuhara et al. Cell Rep 2022)。
今年度は転写共役型DSB修復に関連する因子のスクリーニングと、RAP80をDSB部位へ誘導する因子の同定を目指して研究を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

転写共役型DSB修復に関連するいくつかの候補因子を同定することができた。

今後の研究の推進方策

同定した候補因子について詳しく解析し、そのDSB修復における機能を解明する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] マサチューセッツ総合病院(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      マサチューセッツ総合病院
  • [国際共同研究] オックスフォード大学(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      オックスフォード大学
  • [雑誌論文] Condensates induced by transcription inhibition localize active chromatin to nucleoli2022

    • 著者名/発表者名
      Yasuhara Takaaki、Xing Yu-Hang、Bauer Nicholas C.、Lee Lukuo、Dong Rui、Yadav Tribhuwan、Soberman Roy J.、Rivera Miguel N.、Zou Lee
    • 雑誌名

      Molecular Cell

      巻: 82 ページ: 2738~2753

    • DOI

      10.1016/j.molcel.2022.05.010

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] ゲノム安定性維持機構におけるarcRNA の役割2022

    • 著者名/発表者名
      安原 崇哲
    • 雑誌名

      月刊「細胞」

      巻: 54 ページ: 30-33

  • [雑誌論文] RNA を介したゲノム安定性の維持機構2022

    • 著者名/発表者名
      安原 崇哲
    • 雑誌名

      月刊「アグリバイオ」

      巻: 6 ページ: 77-81

  • [学会発表] Condensates induced by nucleolar stresses mediate gene fusion2023

    • 著者名/発表者名
      Takaaki Yasuhara
    • 学会等名
      The 19th Ataxia-Telangiectasia workshop (ATW2023Kyoto)
    • 国際学会
  • [学会発表] 染色体転座の発生メカニズムに迫る2022

    • 著者名/発表者名
      安原 崇哲
    • 学会等名
      日本放射線影響学会第65回大会
  • [学会発表] リボソームRNAを足場とした液―液相分離によるゲノム制御機構2022

    • 著者名/発表者名
      安原 崇哲
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会

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公開日: 2023-12-25  

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