研究課題
ハロゲン化多環芳香族炭化水素類(ハロゲン化PAHs)は、環境残留性や有害性の観点から新規残留性有機汚染物質の候補となり得る化学物質群であるが、包括的な環境汚染調査やリスク評価が行われていない。そこで本研究では、不足していた高リスクが推定される標準物質の新規合成を行い、一般環境汚染実態の包括的把握と主要な汚染源の探索を行う。また、これら汚染調査結果に基づいて、ヒトへの主要な曝露経路の推定とリスクレベルの評価を行う。さらに、未知・未規制のリスク要因となる代謝物を含むその他誘導体を網羅的に評価することで、様々な曝露経路ごとのリスク分布を考慮したリスク低減手法を提案する。今年度は、今までに開発を行った72種のPAHsおよびハロゲン化PAHsの同時分析法の更なる高感度化を検討した。具体的には、直接導入法の一つであるThermal Separation Probe(TSP)とガスクロマトグラフ-トリプル四重極型質量分析計(GC-MS/MS)を組み合わせた分析法を開発した。本法は、フィルターサンプルを前処理せずにGC-MS/MSに導入するため、ミニポンプを用いて室内空気を少量捕集(2.16 m3)したサンプルであっても定量分析が可能となった。また、内標準化合物の種類を増やすことで、分析方法の精度向上を試み、開発した手法を用いて、室内空気中のPAHs・ハロゲン化PAHsの濃度調査を行った。
2: おおむね順調に進展している
新規物質を含めたPAHsおよびハロゲン化PAHsの分析法開発が順調に進んでおり、国内外の一般環境汚染実態調査、食品中含有実態調査も進行していることから、当初の予定通りである。
引き続き、一般環境汚染実態の包括的把握と室内環境汚染の調査を進める。また、環境汚染実態調査結果と基にしたヒトへの主な曝露経路の推定とリスクレベルの評価も行っていく。
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