研究課題/領域番号 |
21H03617
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
花本 征也 金沢大学, 環境保全センター, 准教授 (10727580)
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研究分担者 |
本多 了 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (40422456)
黒田 啓介 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30738456)
端 昭彦 富山県立大学, 工学部, 講師 (70726306)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 動物用医薬品 / 人用医薬品 / 抗生物質 / 指標微生物 / 養豚排水 / 河川調査 / 浄化槽 / オンサイト排水処理 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、畜産業が盛んな全国8か所の河川流域において、家畜用・人用医薬品を対象とした河川調査を月1回の頻度で2022年8月まで実施した。2022年8月で本調査期間が2年間となったため、本調査は一旦終了した。調査結果は昨年度の報告と同様であるため割愛させて頂く。2022年12月、2023年1月、2023年2月には、全国河川調査で特に汚染度が高かった鹿児島県の肝属川流域及び宮崎県の大淀川流域(当該流域では養豚場と家庭の廃水はオンサイト処理後の水圏放流が主流となっている)において、河川水計30地点を採取し、前述の医薬品、窒素、リン、大腸菌、銅、亜鉛、陰イオン界面活性剤の濃度を測定した。その結果、家畜用医薬品のリンコマイシン、チアムリン、スルファメトキサゾールの最大濃度が1000ng/Lを上回った。対象30地点における濃度の最大値と中央値の幅は、人用医薬品6物質は1-1.5logであったのに対し、家畜用医薬品では>3log(すなわち>1000倍)が2物質、2-3logが6物質であった。このように、家畜用医薬品は人用医薬品よりも対象流域における濃度の空間分布幅が大きく、局所的な高濃度地点(ホットスポット汚染)が確認された。家畜用医薬品と人用医薬品との空間分布幅の差異要因には、養豚場が家庭浄化槽よりも戸数が少ない点、畜産場間における医薬品の使用種別や使用原単位にばらつきが大きい点が挙げられた。全窒素・硝酸性窒素・アンモニア性窒素は家畜用医薬品の合計濃度と有意な正の相関が確認され、対象流域では主に養豚排水に由来すると考えられた。しかし、これら項目の空間分布幅は<1logと家畜用医薬品よりも大幅に小さく、この要因には畜産場間における排出原単位のばらつきが医薬品よりも小さい点、家庭排水にも含まれる点が挙げられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年間の全国河川調査により、畜産排水を負荷源とした家畜用医薬品の水圏排出モデルが検証され、モデルの適用性と限界が明らかになった。また、南九州地方の畜産地域を対象とした詳細調査も実施し、家畜用医薬品のホットスポット汚染についても明らかにした。病原・指標微生物に関しては、昨年度に引き続き、養豚場の放流先河川を含む、富山県内の5河川において汚染実態及び指標性を明らかにした。これらのことから、本研究は順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
都府県とは家畜糞尿管理方式の異なる北海道では、農地からの家畜用医薬品の流出が示唆される結果が得られており、北海道の畜産地域における雨天時の河川調査及び地下水調査を実施する必要がある。畜産場において実態調査を行い、畜産排水処理過程における医薬品の除去性能を明らかにすると共に、気候変動問題の深刻化を鑑みて、バイオガスプラント等における家畜用医薬品の除去性能についても検討を行う予定である。畜産場から排出される汚染質には、本研究で対象とした家畜用医薬品、病原・指標微生物、他の水質項目以外にも、家畜用消毒剤が考えられる。家畜用消毒剤についても、家畜用医薬品と併せて汚染実態を明らかにする予定である。
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