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2022 年度 実績報告書

河川水生昆虫の高信頼性DNAリファレンス整備による環境DNAを用いた金属影響評価

研究課題

研究課題/領域番号 21H03624
配分区分補助金
研究機関国立研究開発法人国立環境研究所

研究代表者

今藤 夏子  国立研究開発法人国立環境研究所, 生物多様性領域, 主任研究員 (10414369)

研究分担者 岩崎 雄一  国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 主任研究員 (00748840)
内田 典子  東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (50876464)
倉西 良一  神奈川工科大学, 工学部, 客員教授 (10250143)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード水生昆虫 / 休廃止鉱山 / DNAバーコード / メタバーコーディング / 重金属汚染
研究実績の概要

本年度は、水生昆虫の参照DNA塩基配列の収集と、前年度に調査を実施した廃鉱山下流のコドラート調査結果の解析、環境DNAによる多様性解析を中心に研究を進めた。水生昆虫標本の収集を主に東日本において進め、引き続き形態同定と、昆虫において標準的なDNAバーコード配列であるミトコンドリアCOIの塩基配列解析を行った。また、本年度は新たにミトコンドリア16S rRNA領域の配列取得も開始した。本年度得た標本のほか、前年度までにCOIを解析した標本についても対象とした。この16S rRNA領域については、2022年度に新たに発表されたユニバーサルプライマーが多様性検出に有効であることが報告されつつあり、データベースの拡充が期待されている。種名が確定した配列については、国際塩基配列データベースに登録し、塩基配列を公開予定である。また、隠ぺい種など分類学上の整理が必要な種については、形態と塩基配列による検討を進めた。
コドラート調査で得られた底生動物の種数や個体数は、廃止鉱山下流では参照地点に比べて顕著に減少していた。また、コドラート調査と同じ地点において得られた環境DNA解析も進めた。リファレンス地点1箇所を含む5箇所の調査地点について、新たにCOIの2種類、16S rRNAの1種類、合計3種類のプライマーセットによる解析を進めた。2種類のCOIプライマーセットについて、得られた塩基配列は、既存国際データベースに基づく相同性検索により生物分類名を同定した。検出された水生昆虫の多様性の比較を行ったところ、両プライマーセットで概ね同様の結果が得られた。今後、本研究で得られたリファレンス配列に基づくデータベースを用いることで、同定精度の向上が見られるかについて検証する。コドラート調査と環境DNAで得られる多様性の比較、COI領域と16S領域における検出多様性の比較も引き続き進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

参照DNAデータベースを拡充するための水生昆虫標本について、当初の予定通りに入手できている。標本の収集・同定とリファレンス配列取得については、本年度からは分担者として分類学者の参画を得ることとなり、より効率よく、高い精度で進められた。また、2023年度以降、新たに同定済みの標本やDNAの提供を受ける予定もあり、今後も参照塩基配列を解析する種数が増えると考えている。
鉱山下流における環境DNAによる水生昆虫の多様性検出について、その手法や定性・定量性を検討していくにあたり、本年度は前年度に岩手県において行った調査によって得られた水試料の環境DNAとコドラート採集昆虫標本の解析を進めてきた。今後は、これまで本研究で整備してきたデータベースの拡充によるメタバーコーディング解析の精度向上について検証を開始する。

今後の研究の推進方策

研究実施計画に沿って着実に進んでおり、今後も申請書の計画通りに研究を進めていく。昆虫のユニバーサルプライマー開発については、既に有用な新規プライマーが他研究により開発されたことから中止とし、代わりにその新規プライマーについて有効性を検証する。本年度得られた塩基配列については速やかに国際データベースへの登録と公開を進めつつ、環境DNA解析などの研究成果についても、速やかに論文化し、公表する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Linking levels of trace-metal concentrations and ambient toxicity to cladocerans to levels of effects on macroinvertebrate communities2023

    • 著者名/発表者名
      Yuichi Iwasaki, Hiroyuki Mano, Naohide Shinohara
    • 雑誌名

      Environmental Advances

      巻: 11 ページ: 100348

    • DOI

      10.1016/j.envadv.2023.100348

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 水生昆虫環境 DNA の社会実装に向けた課題と展望2023

    • 著者名/発表者名
      内田典子
    • 学会等名
      陸水学会・水生昆虫談話会合同シンポジウムー水生昆虫談話会40周年例会ー水生昆虫における環境DNAのいま
    • 招待講演
  • [学会発表] DNAバーコーディング:環境DNA解析を支えるリファレンス整備2023

    • 著者名/発表者名
      今藤夏子
    • 学会等名
      陸水学会・水生昆虫談話会合同シンポジウムー水生昆虫談話会40周年例会ー水生昆虫における環境DNAのいま
    • 招待講演
  • [学会発表] The genetic differentiation within species in two Nanocladius species phoretic on Megaroptera and Plecopteara2022

    • 著者名/発表者名
      Natsuko I. Kondo, Yasue Inoue, Hiroshi C. Ito, Nobuyoshi Nakajima
    • 学会等名
      21th International Symposium on Chironomidae
    • 国際学会
  • [学会発表] 環境DNAによる昆虫多様性検出とデータベースの重要性2022

    • 著者名/発表者名
      今藤夏子
    • 学会等名
      第5回 山口大学・環境DNA研究センターシンポジウム~環境DNA研究の最前線と企業の取り組み~
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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