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2021 年度 実績報告書

SDGs時代に順応する森林減少・劣化対策を目的とした森林ガバナンスの成立条件

研究課題

研究課題/領域番号 21H03677
配分区分補助金
研究機関早稲田大学

研究代表者

平塚 基志  早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (00649585)

研究分担者 寺内 大左  筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10728140)
木村 健一郎  国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 農村開発領域, 主任研究員 (20597900)
森 朋也  山口大学, 教育学部, 講師 (30757638)
山ノ下 麻木乃  公益財団法人地球環境戦略研究機関, その他部局等, ジョイント・プログラムディレクター (50623576)
天野 正博  公益財団法人地球環境戦略研究機関, その他部局等, シニアフェロー (60353562)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワードガバナンス / REDD+ / レジリエンス
研究実績の概要

パリ協定の下での取組や持続可能な開発目標(SDGs)の下での取組が国レベルで進む中、『中央政府が主導する森林保全』への回帰が進み、『村落レベルでの参加型の森林保全』とコンフリクトが生じつつある。他方、途上国の森林保全には民間企業や非政府組織等の多様な参加・関与が拡大している。そうした中、今後において「住民参加による自律型の森林管理」と森林保全への「多様な主体の参加・関与」を両立させることを目的に、生態系サービスの維持と地域社会の頑強性(レジリエンス)の双方を確保可能な、『地域住民と外部アクターによる協働型』の森林管理ガバナンスの成立条件の解明を進めた。対象としては、先進国からの炭素クレジット獲得を目的とした森林保全(ラオス北部)が進められている地域、日本等からの需要が大きい白炭の持続的生産システム等(ラオス中部)を課題とする地域、さらに隣接するベトナムを中心とした。ラオス北部の研究では、民間企業等が参加する新しい森林管理ガバナンスの確立に向け、コーディネーション機能を有する中間組織の重要性を示した。また、ラオス中部での研究からは、白炭の原料となる木材(Cratoxylum spp.)の過伐採とそれを引き起こしている背景要因を明らかにした。また、ラオス側のカウンターパートを通じて新型コロナウイルス感染症の流行後の現地調査に向けてオンラインで現地の情報を追加収集することから、コロナ禍で外食産業が低迷している日本や韓国への輸出は在庫を輸出する限りとなり、ラオス内での白炭生産はほとんどがストップしたことが明らかにした。加えて、共同研究者のラオス国立大学とのディスカッションぺーカーの作成を進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新型コロナウイルス感染症の影響でスケジュール通りの現地調査を行うことはできなかった。そうした中、オンラインでの地域住民へのインタビュー、ラオス側の協働研究者とのディスカッションを進めることから、おおむね予定通りに研究を進めることができた。ラオス北部での研究では、蓄積してきたデータを活用することから、REDD+実施の際にラオスにおける中央政府、県政府、郡レベル、そして村という階層間の情報交換が重要になることをまとめた。また、先進国もしくは多国籍企業が参画するREDD+の実施体制を踏まえ、クレジット配分を円滑に行うためにはコーディネーション機能を有する中間組織が重要であるととりまとめた。ラオス中部の研究では、2000年代以降に増加している白炭生産・輸出による森林資源の劣化を踏まえ、持続的な木材(Cratoxylum spp.)の管理のために必要となる諸データを収集した。加えて、1)地域社会の社会関係資本(Bonding)の分析するにあたっての調査票の構成について研究会(研究代表者と研究分担者に加え外部の研究者を招聘)、そして、2)REDD+事業等に資金投入する民間企業の方針及びそれとREDD+事業との結びつきに関する社会関係資本(Linking)を分析するに必要となるデータを特定するための研究会を開催した。

今後の研究の推進方策

今後の研究は集約的な現地調査で進める予定とした。ラオス北部の研究対象地は邦人企業が参画するREDD+事業として炭素クレジットが発行される可能性がある。そうした中、REDD+事業等に資金投入する民間企業の方針及びそれとREDD+事業との結びつきに関する社会関係資本(Linking)の分析が重要になることから、研究対象地の地域住民、郡政府、県政府、そして中央政府へのインタビュー調査を行うこと、さらに民間企業へのインタビューを予定する。加えて、ラオス中部で進めている白炭の持続的な生産システムの確立に向け、森林・林業に関する法制度(大臣例等を含む)を精査すること、さらに地域社会の社会関係資本(Bonding)を分析する予定とした。加えて、ベトナムやインドネシアを対象とした比較研究も同時に進めることとした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 社会的共通資本から見た村落共有林の役割:ラオス中部における事例研究2022

    • 著者名/発表者名
      森朋也
    • 雑誌名

      山口大学教育学部研究論叢

      巻: 71 ページ: 71~78

  • [雑誌論文] Acceptance of New Land-Use Activities by Hmong and Khmu Ethnic Groups: A Case Study in Northern Lao People’s Democratic Republic2021

    • 著者名/発表者名
      Kobayashi Natsuko、Bounithiphonh Chaloun、Sichanthongthip Phonevilay、Phongoudome Chanhsamone、Hiratsuka Motoshi
    • 雑誌名

      Forests

      巻: 13 ページ: 8~8

    • DOI

      10.3390/f13010008

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 地域研究から問う市場インセンティブを利用した熱帯林保全事業2021

    • 著者名/発表者名
      寺内大左
    • 学会等名
      日本熱帯生態学会年次大会
    • 招待講演
  • [図書] 『誰のための熱帯林保全か―現場から考えるこれからの「熱帯林ガバナンス」』(笹岡正俊・藤原敬大編,「パーム油認証ラベルの裏側―文脈なき『正しさ』が現場にもたらす悪い化学反応」を分担執筆)2021

    • 著者名/発表者名
      寺内大左
    • 総ページ数
      251
    • 出版者
      新泉社
  • [図書] 『アブラヤシ農園問題の研究II【ローカル編】-農園開発と地域社会の構造変化を追う』(林田秀樹編,「焼畑民によるアブラヤシ農園開発の多様な意義づけ」を分担執筆)2021

    • 著者名/発表者名
      寺内大左
    • 総ページ数
      316
    • 出版者
      晃洋書房
  • [図書] 『アブラヤシ農園問題の研究II【ローカル編】-農園開発と地域社会の構造変化を追う』(林田秀樹編,「小規模農家を対象としたRSPO認証の課題と可能性」を分担執筆)2021

    • 著者名/発表者名
      寺内大左
    • 総ページ数
      316
    • 出版者
      晃洋書房

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公開日: 2023-12-25  

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