研究課題/領域番号 |
21H03684
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
富田 晋介 名古屋大学, 環境学研究科, 特任准教授 (60378966)
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研究分担者 |
梅崎 昌裕 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (30292725)
須田 亙 国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, チームリーダー (20590847)
平山 和宏 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (60208858)
小坂 康之 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (70444487)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 東南アジア / ラオス / 生業 / 健康 / 焼畑 / 水田 |
研究実績の概要 |
本年度の活動内容と研究成果は以下である。 1. ラオス北部の山地村2村と低地の2村において、人口動態の調査を行った。その結果、200人以上の村人からの研究への協力が得られた。また、普段村人が食べている食品サンプルを採集した。食品サンプルは、ラオス政府からの輸出許可の発行を得て、また動植物検疫所の許可を得た後、東京大学人類生態学教室にて冷凍保存している。今後は、食品サンプルの分析を進める。 2.微量元素暴露は酸化ストレスに影響していたが、血圧の関連は見られなかった。 3.ノロウイルスとアデノウイルスの無症候性キャリアは、ウイルス不検出者よりも腸内細菌叢の多様性が高かった。また、無症候性キャリアとウイルス不検出者の腸内細菌を比較すると、組成が異なることがわかった。 4.市場経済化によって、住民の心理的ストレスが上昇していた。自営的な農業経営から労働市場で労働を売る労働形態への変化がストレスの上昇に大きく影響している可能性があった。5.生業変化によって、野生植物の摂取が減少していることが明らかとなった。自給自足的農業から商品作物栽培への移行により、労働時間が増加し、 購入食品の摂取頻度が増加したと思われた。 6.商品作物栽培の拡大によって、農薬の使用頻度が上昇しているが、殺虫剤に使用されるネオニコチノイド系農薬の尿中濃度を分析した結果、日本よりも暴露が少ないことがわかった。 7.低地村と山地村で摂取している食用野生植物を同定した結果、低地では123種、山地では138種の野生植物を摂取していた。そのうち、前者では84種、後者では99種が各村でしか見られなかった。これは、生態環境によって生育する植物が異なるからであると考えられる。196種のうち29%にあたる57種が抗酸化能が高かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者およびカウンターパートであるラオス農林業研究所およびラオス熱帯公衆衛生研究所の協力のもと、当初の予定通りに研究がすすんでいる。また、調査地を管轄する郡農林局および郡保健局、そして調査地である村落住民も調査に協力的であることも、調査が順調にすすんでいる大きな要因である。海外調査を主な手法とする研究は、現地の情勢にその進行具合が大きく左右されるが、ラオス政治が安定し、国内の治安が保たれていることも、調査の実施を可能にしている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って、研究をすすめる。海外調査の遂行において最も重要な点は、現地との関係と国内情勢の把握である。よって、カウンターパートと良好な関係を維持する。さらに、今後も政府機関も含めた調査地域からの協力を得られるよう、関係を保つ。ラオス国内の情勢について把握するために、カウンターパートや調査村と連絡をとり、情報を常に更新する。
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