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2024 年度 実施状況報告書

ブータンに暮らす高齢者の健康を守るための創造型地域研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K21794
配分区分基金
研究機関京都大学

研究代表者

坂本 龍太  京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (10510597)

研究分担者 Dendup Ngawang  早稲田大学, 政治経済学術院, その他(招聘研究員) (00844549)
安藤 和雄  京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携教授 (20283658)
坂本 陽子  大阪大学, データビリティフロンティア機構, 特任講師(常勤) (30444053)
赤松 芳郎  京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 特定助教 (80826199)
研究期間 (年度) 2024-04-01 – 2026-03-31
キーワードブータン / 高齢者 / 地域医療
研究実績の概要

2024年ツェリン・トブゲイ政権が返り咲き、我々が開始した高齢者健診が継続されることとなった。我々が注目しているVillage Health Worker (VHW)について、前政権下でCOVID-19の世界的流行もあってVHWへのトレーニングプログラムが中止されていたが、我々は保健省や地域の病院、VHWらとの協議の後で、タシガン県においてVHWへのトレーニングプログラムを再開した。その後、保健省はブータン全土でVHWへのトレーニングプログラムを再開する方針を決めた。ただし、そのトレーニングプログラムの実効性やVHWが果たすべき役割については、課題が非常に大きく、現在、タシガン県の保健局長らと対策を話し合っている。また、活動する中で課題として浮き上がったのが、ビタミンB12の摂取源についてである。2023年のブータンのNational Health Surveyによれば、ブータンにおいて、11.3%がベジタリアン、1.2%がビーガンであると報告されている。陸封国家とも言われ、海産物の摂取が難しい中で、ベジタリアンやビーガンで特に不足しやすい栄養素の一つがビタミンB12である。ビタミンB12欠乏症では、貧血、手足の感覚障害や筋力低下、抑うつやせん妄、認知障害などを含む精神症状などをきたしうる。ブータン政府もこの課題を問題視し、ビタミンB12を添加させたコメなどを配布しているが、地域の住民に広く届けるには課題が大きい。現在、我々はブータンの農村でも入手可能なビタミンB12の摂取源を探っており、候補となるいくつかの食材が見つかっている。ただし、安定して豊富に含まれる食材はみつかっておらず、さらなる研究が必要である。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

2024年年政権交代が起こり、ツェリン・トブゲイ政権が返り咲いたが、そもそも第一次のツェリン・トブゲイ政権の際にも本プログラムの全国展開が方針として据えられており、保健大臣のポジションも第一次政権で保健大臣だったタンディン・ワンチュク氏が再び就任したこともあり、我々が共に進めてきた高齢者プログラムに関しては、後も継続されることになっている。Village Health Workerについては、トレーニングを終え、モニタリングを行っているが、様々な課題が見えてきたため、現在、タシガン県保健局長ロブザン・ツェリン氏と今後の対策について協議を行っているところである。また、肉類摂取不足とそれに伴うビタミンB12欠乏のリスクという健康課題が明確となり、ビタミンB12摂取源の探索という課題を現地と共有し、ブータン王立大学ティンレイ・ナムゲイ氏と共に研究を進めているところである。冠動脈疾患の診断技術向上という課題については、大阪大学とJigme Dorji Wangchuck National Referral Hospitalの循環器科マヘシュ・グルン氏や放射線科ギータ・プラダン氏らと連携が取れて、システムの改善が進んでいる。

今後の研究の推進方策

高齢者を含めてブータンで肉類などの摂取不足によるビタミンB12欠乏リスクという課題が浮き彫りになった。特に、SNSなどを通じて、僧院などの殺生を禁じる活動が普及している。若者の間でもベジタリアンやビーガンが顕在化しており、ビタミンB12欠乏のリスクに関する知識やその対策が不十分なままだと大きな健康リスクにつながる。ブータン王立大学シェラブツェ校と協力しながら、現地で入手可能なベジタリアンやビーガンでも安心して摂取できる食材を探索する。

次年度使用額が生じた理由

早稲田大学のNgawang Dendup氏に急を要する仕事が入ったため時間的な余裕がなかったため。次年度はリサーチアシスタントの雇用費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2025 2024 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件)

  • [国際共同研究] ブータン王立大学/保健省/ジグメ・ドルジ・ワンチュク国立病院(ブータン)

    • 国名
      ブータン
    • 外国機関名
      ブータン王立大学/保健省/ジグメ・ドルジ・ワンチュク国立病院
  • [雑誌論文] Legionnaires’ disease outbreak in Philadelphia and the 1976 United States presidential election.2025

    • 著者名/発表者名
      Sakamoto R.
    • 雑誌名

      Sociology Lens

      巻: 37 ページ: 269-284

    • DOI

      10.1111/johs.12442.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Association between oral health-related quality of life and physical frailty among community-dwelling older adults: a 2-year longitudinal study.2025

    • 著者名/発表者名
      Kakuta S, Iwasaki M, Kimura Y, Hiroshimaya T, Park JW, Wada T, Ishimoto Y, Fujisawa M, Okumiya K, Matsubayashi K, Hosokawa R, Ogawa H, Sakamoto R, Ansai T.
    • 雑誌名

      The Journal of Frailty & Aging

      巻: 14 ページ: 100008

    • DOI

      10.1016/j.tjfa.2024.100008

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Relationship between masticatory function and sarcopenic obesity in community-dwelling older adults aged 75 or older: a cross-sectional study.2025

    • 著者名/発表者名
      Shiraki H, Kakuta S, Kimura Y, Iwasaki M, Masaki C, Wada T, Matsubayashi K, Ishimoto Y, Fujisawa M, Okumiya K, Hosokawa R, Sakamoto R, Ansai T.
    • 雑誌名

      BMC Geriatrics

      巻: 25 ページ: 191

    • DOI

      10.1186/s12877-025-05842-8.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Relapse prevention group therapy in Indonesia involving peers via videoconferencing for substance use disorder: development and feasibility study.2024

    • 著者名/発表者名
      Siste K, Ophinni Y, Hanafi E, Yamada C, Novalino R, Limawan AP, Beatrice E, Rafelia V, Alison P, Matsumoto T, Sakamoto R.
    • 雑誌名

      JMIR Form Research

      巻: 8 ページ: e50452

    • DOI

      10.2196/50452.

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2025-12-26  

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