研究課題/領域番号 |
21H03699
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 雪野 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (40226014)
|
研究分担者 |
石川 真作 東北学院大学, 経済学部, 教授 (20298748)
寺本 成彦 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (30252555)
大河原 知樹 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60374980)
藤田 恭子 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (80241561)
辻 英史 法政大学, 人間環境学部, 教授 (80422369)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 難民 / 移民 / 社会統合 / EU / 多文化共生 / 旧東独 / 旧社会主義国 / 外国人労働者 |
研究実績の概要 |
ハレ(ザーレ)を中心に、旧東独地域で進められている移民・難民の社会統合を目指した行政の積極的諸施策に着目し、その現状と課題、課題克服の模索を、冷戦終結後の同地域の社会背景を踏まえて検証した。本年度は、次年度以降の現地調査の準備として、インターネットによる情報収集と、背景となる文献調査を行った。 主に教育、就業、信教の自由に関わる施策について、社会統合のためのネットワークを中心とする各機関の連携や、市議会や州政府、州議会との関係について、情報収集・分析した。教育、就業、信教の自由については、ハレ大学教員養成センターおよび同大学学際地域研究センターの協力を得て、情報収集した。ドイツ統一後のハレ市およびザクセン=アンハルト州の産業構造や都市機能など社会構造の変化に加え、移民・難民政策に関する各政党や団体の主張、支持状況などについて情報収集・分析した。ハレ在住の移民・難民の背景を持つ人々の集団内部の多様性(出身地や宗派、難民と移民という法的立場等の相違)と彼らの社会統合の状況との関連性を調査した。比較対象として、旧東独地域で右派政党「ドイツのための選択肢」支持率の高いザクセン州各自治体や旧西独地域で同党支持率の高いデュースブルク、低いハンブルクの難民の受け入れ状況や支援体制等について情報収集・分析した。ドイツと異なる政策を打ち出している周辺諸国(チェコおよびフランス)における難民受け入れ政策と受け入れについて実態を調査した。過去および現在の日本における難民および外国人労働者受け入れ政策や施策について、インターネットでの情報収集や文献調査を実施した。 研究分担者辻英史によるオンライン公開研究会「戦後ドイツ社会の価値変容と市民参加」を実施し、本研究課題の背景となるドイツの状況を、聴衆に提示し、討論した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、コロナ禍という状況を踏まえ、当初から現地調査を計画せず、インターネットや文献による情報調査を予定していた。 研究代表者・研究分担者がそれぞれ自分に割り当てられた調査領域で、上述のように、インターネットや文献調査を順調に行うことができ、相互の情報交換も行った。 予定より、実施回数は少なくなったが、公開研究会を実施し、研究プロジェクトについて公表し、また、プロジェクトについて幅広い意見を得ることができた。 初年度であり、現地調査を実施していないこともあって、成果公表の点数は少なめなことも、想定内である・
|
今後の研究の推進方策 |
本年度同様の調査項目のインターネット及び文献調査を継続すると同時に、コロナ禍やウクライナ情勢を注視しつつ、ハレ大学教員養成センターおよび同大学学際地域研究センターの協力関係を更に深め、同項目に関するハレ(ザーレ)での現地調査を実施する。その際、学際地域研究センターのクノスト博士の協力を得て、アラビア語・トルコ語を用いた調査も行う。 現地調査においては、行政機関、公教育・生涯教育などの教育機関、宗教団体、政治団体、統合支援NGO、それらを繋ぐ社会統合ネットワークに注目し、統合の担い手と統合される側(将来的には担い手側にもなる)双方に目を向ける。 比較対象として、旧東独地域で右派政党「ドイツのための選択肢」支持率の高いザクセン州各自治体や旧西独地域で同党支持率の高いデュースブルク、低いハンブルク、ドイツと異なる政策を打ち出している周辺諸国(チェコ、フランスなど)においても現地調査を行う。 以上のインターネット・文献調査及び現地調査においては、コロナ禍による難民・移民政策への影響、難民・移民の生活への影響、及びロシアのウクライナ侵攻による難民・移民政策への影響、難民・移民の生活への影響にも配慮する。本研究プロジェクトでは、これまで中東からの難民・移民に注目することが多かったが、研究対象として、それらの人々に限定しているわけレはない。必要に応じて、ウクライナからの難民・避難者にも目を向けることになるだろう。 ウクライナ情勢を受け、日本の「難民」受け入れ政策も変化してきているようである。上記調査を、日本の今後の難民・移民政策への足掛かりとしたい。そのための国際シンポジウム、公開研究会、公開講演会(以上はオンライン開催も含む)、報告集の刊行(オンライン出版も含む)、論文執筆や学会発表も継続する。
|