研究課題/領域番号 |
21H03718
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
一藤 裕 長崎大学, 情報データ科学部, 准教授 (90590274)
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研究分担者 |
村上 大輔 統計数理研究所, データ科学研究系, 助教 (20738249)
蓮池 隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50557949)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 位置登録情報 / 人流推定 / 時空間モデリング |
研究実績の概要 |
観光客を対象とした移動の検知データとして、継続的に宿泊施設の予約データの収集を行った。データの取得タイミングを予約対象日とその5日前の時点に限定し、加工することで完売・非完売した宿泊プランに関するデータベースを構築した。また、宿泊プランに着目し、完売・非完売を予測するモデルを構築し、宿泊プランの影響力について評価を行った。具体的には、観光客が選択しやすいプランに含まれる用語についてカテゴリ分類を行い、完売しやすいカテゴリを明らかにした。これにより、人の移動を制御するための要因の一つとしてどのような用語が観光客に選択されやすいのかを明らかにすることが出来た。また、観光客が集中する場合を考慮し、観光客が多く混雑が予想される地域において、混雑度を解消するための方策を、マルチエージェントシミュレーションを用いて分析し、混雑を分散化させる情報の価値について検証を行った。 IoTデバイスによる検知データと実際の人流の差分を補正するために、出島において調査実験を行い比較検討することができた。ただし、コロナによる影響により、来場者数は減少していたため、想定よりも検知数が少なかったが、得られたデータからスマートフォン等を触らないで通過するのみの人間はほぼ検知できず、チケット売り場など待ち時間が発生する場所で、スマートフォンを一度でも開くような場合は検知されることが明らかとなった。したがって、IoTデバイスを使ってWi-Fiのログから人流を推定する場合、設置場所として、観光客がスマートフォンをいじるようなチケット売り場などが適していることが示された。これらのデータ収集が可能なエリア特性を利用し、空間過程を用いて推定する空間加法モデルを開発し、その有用性を実データを用いて示した。また、ゾーン毎の滞在者数のようなカウントデータを扱えるように同モデルを拡張し、その要因分析に対する有用性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、データの収集とモデルのプロトタイプを構築することを目的としていた。データ収集に関しては、宿泊施設のWeb予約データを日々継続して収集することができ、完売・非完売のデータベースを構築することが出来た。また、来年度も継続して行い、コロナ下とコロナから回復した状態の2つの異なる場合での人流や宿泊施設の選択の傾向の比較が可能となる下地ができたからである。 また、IoTデバイスでの検知と現実世界とのギャップの補完においては、出島の入り口にWi-Fiアクセスポイントを設置する許可と入り口での目視によるカウント実験の許可、日々の入場者数の内訳データの提供を受けることが出来た。また、来年度も同様の実験許可を得ることが出来たため、モデルの評価および精度検証の場を得ることが出来たからである。また、Wi-Fiアクセスポイントなど人流を検知するデバイスを設置する箇所として、チケット売り場など、観光客が一定時間待機し、スマートフォンを使うような場所が適切であることも示されたため、来年度以降の実証実験における場所を絞り込めたのも順調に進展している理由の一つとして挙げる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も継続して宿泊予約データおよび人流データの収集を行う。また、人流データの補正モデルの精度の上昇および観光客が集中する時期の誘導方法の検討・モデルの構築を行うため、実データの収集を現地で複数回実施する予定である。場所は、長崎市内の主な観光地を対象とし、長崎県や長崎市の協力を得て様々な観光地でデータを取得し、観光地の特性の抽出や属性の偏りを明らかにすることを目標の一つとする。得られたデータおよび補正データを基に、観光客の分布の推定モデルの構築や、観光客が集中した際の円滑な観光客の誘導方法の検討およびその効果のシミュレーションおよび評価を行う。 コロナ罹患者数増加による移動制限が出た場合、人流を把握推定するのに十分なデータを得られないことが考えられる。そこで、データ量と行動にのみ着目し、地元民を対象とした実験や長崎以外の地域でのデータ収集および評価実験ができるように平行して準備を行う。対象として考えているエリアは、京都、熊本、福岡の3県である。また、観光地の特性を評価するために、観光ツアーガイドの報告書データおよび人流データの購入を行い、十分なデータが取れない場合でも研究が滞りなく続けられるよう対策を取る。
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