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2022 年度 実績報告書

日本の文様デザインアーカイヴの創造ー東西文化交流と近代デザインの視座から

研究課題

研究課題/領域番号 21H03767
配分区分補助金
研究機関多摩美術大学

研究代表者

深津 裕子  多摩美術大学, 美術学部, 教授 (20443145)

研究分担者 勝又 公仁彦  京都芸術大学, 芸術学部, 准教授 (10897523)
ヲノ サトル  多摩美術大学, 美術学部, 教授 (20407836)
佐々木 成明  多摩美術大学, 美術学部, 教授 (60350245)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード文様 / デザイン / アーカイヴ / 東西交流 / 装飾芸術 / データベース / アート / 文化交流
研究実績の概要

本研究では、日本と世界を繋ぐ文様デザインアーカイヴを創造し、アート&デザイン教育を推進する事を目的としている。シルクロードの終着点である日本が東西文化交流を礎に構築してきた芸術資源のデザインの源泉を明らかにし総合的に研究する事で、文様のロードマップをデザインするとともに、アーカイヴに集約する。 初年度は、日本を中心とした文様調査に着手し諸研究機関での資料調査を行うとともに多摩美術大学が所蔵する古いアナログ資料のデジタル化を行ない、成果としては学術論文1本、文様映画3本を制作した。
2022度は、デジタル化した資料のデータベース化・文様調査・文様アプリケーションを活用した作品制作・文様関連資料展示・資料収集・教育普及を推進し、学術論文・著書・作品の発表、文様アプリ作品制作などを実施した。文様調査は、日本国内では北海道のオホーツク文化と縄文およびアイヌ・日光東照宮(栃木県)・香取神宮(千葉県)の建築装飾文様、寺社建築装飾及び祭礼装飾(京都)、MIHO MUSEUMでの中央アジアに関する展覧会での装飾文様(滋賀)、東京国立博物館(東京)で開催された琉球展、沖縄本島・八重山諸島の建築装飾と祭礼(沖縄)における調査を実施した。海外では韓国ソウル市内の研究機関や近郊の文化施設で文様収集を実施した。文様アプリケーションでは、唐草文様を自動生成しヴァーチャルリアリティ空間で体験できるような作品のヴァージョン1を制作した。多摩美術大学美術館の企画展「テキスタイルの力」展ではテキスタイルの文様関連の解説に協力した。資料収集では、着物研究家が収集した着物関連資料の収集を行い、100余点の着物・帯・古裂の収集、壁紙会社が所有した壁紙見本帳1冊、龍村織物名物裂60点を収集した。教育普及として研究者らが大学で開講する授業において研究成果の一部を教材とし、文様装飾を実践するワークショップを展開し学術研究を教育の現場で活用した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度は国内調査を中心に実施し文様装飾を収集し、海外調査は感染症による渡航制限が緩和した11月以降に韓国で実施した。国内調査を重点的に実施したことで、2023年度に予定している海外調査による東西文化交流の関係性について比較するための基礎資料を準備することができた。
また唐草文様については、近代日本の唐草文様を視点に時代を遡る形で調査研究を進め、学術論文にまとめると同時に、文様アプリケーションにおいても2021年度から検証してきたさまざまな基礎的なデザインと課題に取り組み、VR空間で唐草文様の誕生から朽ち果てるまでをデザインした体感型作品の第一ヴァージョンを制作することができた。2023年度はさらにアプリケーションのヴァージョンアップを試み、音響効果についても精査していく予定である。本研究では、大学附属美術館の展覧会にも協力しながら文様装飾について広く一般にも紹介するような展示解説や記録集を制作することができた。そして、研究者らが実施する文様収集の手法を大学の授業でワークショップや課題として導入しながら、文様=デザインの創造性を学生と共有し、創作意欲に繋げ、その成果の一部を教育成果集としてまとめた。

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策としては、これまでに国内で得られた近代日本から縄文までの文様資料を基礎資料として、海外の装飾文様との比較調査を実施し、東西交流の側面から考察を進める。
まず2022年度に調査を実施した韓国で収集した文様装飾から取り掛かり、周辺諸国へと調査の対象を広げる予定である。2023年度はインドや台湾、タイ等での調査を行い日本の仏教装飾との比較やヒンズー教の特徴的な文様装飾についても調査する予定である。
また可能であれば中国本土での現地調査を希望するが、併行して台湾など周辺地域における漢民族の調査も視野にいれながら進めたい。収集した資料についてはデジタルアーカイヴにデータベースとして記録していく作業も進めていく。
唐草文様のアプリケーションをVR空間に展開した作品をさらにヴァージョンアップする。合わせて大学生の参加を募り体験に基づく評価を求め改善点を検討し、最終年度である2025年度まで毎年の研究成果を加えながらアプリケーションのヴァージョンを更新してゆく。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (3件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] 資生堂唐草から辿る日本の蔓草文様装飾の諸相2023

    • 著者名/発表者名
      深津裕子 伊藤俊治
    • 雑誌名

      多摩美術大学研究紀要

      巻: 37 ページ: 125-140

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Creative Possibilities of Mono: Tracing Mono Research at Tama Art University2022

    • 著者名/発表者名
      Yuko FUKATSU
    • 雑誌名

      KISEKI, English edition

      巻: 1 ページ: 56-61

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 杉浦非水のアーカイヴ的思考からモンゴルの装飾文様まで2022

    • 著者名/発表者名
      深津裕子
    • 学会等名
      多摩美術大学アートアーカイヴセンターシンポジウム
  • [学会発表] 非とアニマ展における文様を活用した作品展示2022

    • 著者名/発表者名
      勝又公仁彦
    • 学会等名
      The Terminal Kyoto
  • [図書] テキスタイルのチカラ2023

    • 著者名/発表者名
      深津裕子(責任編集)
    • 総ページ数
      47
    • 出版者
      多摩美術大学美術館
  • [図書] 染織文化研究第6号2023

    • 著者名/発表者名
      深津裕子(責任編集)
    • 総ページ数
      120
    • 出版者
      多摩美術大学美術学部リベラルアーツセンター
  • [図書] 唐草抄 増補版 装飾文様生命誌2022

    • 著者名/発表者名
      伊藤俊治
    • 総ページ数
      305
    • 出版者
      牛若丸
    • ISBN
      978-4-909718-08-2
  • [備考] 多摩美術大学文様データベース&アーカイヴス TAMA MON 22 ON WEB

    • URL

      https://tamabi.ac.jp/research/tamamon22/

  • [備考] 多摩美術大学アートアーカイヴセンター所蔵資料文様アーカイヴ

    • URL

      https://aac.tamabi.ac.jp/archive/archives/monyo.html

  • [備考] KARAKUSA VR Ver0.8-2022-FEB

    • URL

      https://www.youtube.com/watch?v=a2_tmzEOSNs

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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