研究課題/領域番号 |
21H03770
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
叶 少瑜 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (00762204)
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研究分担者 |
若林 啓 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (40631908)
加藤 由樹 相模女子大学, 学芸学部, 教授 (70406734)
照山 絢子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (10745590)
舘 秀典 東京福祉大学, 保育児童学部, 講師 (90402148)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | モバイル×ソーシャル / SNS使用 / 幸福感 / 一般的信頼 / Before/Withコロナ / トピック / 感情表現 |
研究実績の概要 |
2021年度は予定通り各種調査・分析を行い,以下の知見が得られた。 ①大学生を対象に行ったパネル調査の結果から,SNSの使用種類が多ければ多いほど使用頻度・投稿頻度も高くなり,FacebookやInstagram, LINEと併用する場合,自己アピール因子が幸福感を低減させた。一方,年齢と共に自己確立因子得点が高くなり,それはFacebookを使用する群以外の場合幸福感を高める効果が見られた。 ②COVID-19に対する不安は概して女性の方が強く,関連情報の収集頻度は緊急事態宣言の延長・繰り返し等に伴い徐々に減少したが,4年生や他者と同居する学生は減少が緩やかであった。 ③インタビュー調査から,3・4年生はCOVID-19以前に培っている友人関係がいくつかの軸で選別され,様々な形で変化したのに対して,1・2年生はオンライン授業が実施されるため大学での友人作りに苦心していたことが分かった。また,SNSの使用が大学生の対人関係の形成,悩み相談を共有する場としては限定的な割合しか果たしていないことが分かった。 ④Twitter上で公開されたツイート・リツイート関するログデータを対象に,2019年1月~2021年6月までのものを分析した結果,SNSの使用パターンを問わず,全体として2019年1月から2021年6月までのツイート数・リツイート数が増加することが分かった(写真・動画付きのものを含む場合も同様)。学年に分けると,1・2年生は大学入学後の投稿数が増え続けたのに対して,3・4年生は2020年がピークを迎え,その後減少することが分かった。また,幸福感に対するトピックの影響はほぼ見られず,ポジティブ文の割合による正の効果がいくつかのパターンで見られた。更に,ツイートの割合は幸福感を低減させたが,リツイートの割合は幸福感を向上させており,投稿する時間帯によって幸福感が異なることも分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画した各種調査を遂行しただけでなく,詳細な分析により,以下の3点を究明した。 ①SNSの使用と対人関係の構築は学生自身の個人特性と関係するだけでなく,学年によってもかなり異なっていた; ②Twitter上のツイート・リツイート数が学年によってかなり異なっており,とりわけ,1・2年生はコロナ前に比べて,コロナ禍でも増え続けたのに対して,3・4年生は2020にピークになり,2021年は減少した; ③投稿する時間帯によって,投稿のトピックや感情表現が異なり,それによって幸福感と関係が異なる可能性がある。 上記の知見は一時的なものなのか,それとも継続して見られるのか?2021年度は大学生だったが2022年度からは社会人になった人と,2022年度も学生である場合,同様もしくは類似した知見が得られるのか,今後引き続き深く検討する必要性が示唆された。 また,社会情報学会2021年学会大会にてチーム全員でワークショップを開催し,これまでの成果を広く公開した。学会発表は5件を行い,現在国際ジャーナルへの論文投稿も進めており,本研究プロジェクトで得られた知見をより広い範囲で周知することを目指している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は予定通り,パネル調査の2時点目を実施した後,インタビュー調査を実施し,ツイート・リツイートに関するログデータの分析を行う予定である。また,2年間の成果を基に,幸福感の向上に寄与する要因に関する予測モデルの確立も試みる。 また,成果発表に関しては去年同様,関連成果を社会情報学会全国大会にてワークショップを開催し,各種国内外の学会・研究会にて口頭発表をする予定である。その後ジャーナル論文への投稿も積極的に行い,得られた成果を広く社会に還元できるようにする。
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