研究課題/領域番号 |
21H03779
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 匡子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (20271934)
|
研究分担者 |
川勝 忍 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00211178)
菅野 重範 東北大学, 大学病院, 講師 (00596645)
大沢 伸一郎 東北大学, 大学病院, 助教 (00813693)
中里 信和 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80207753)
鈴木 麻希 大阪大学, 大学院連合小児発達学研究科, 寄附講座講師 (80422145)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 言語 / 認知症 / てんかん / 脳腫瘍 |
研究実績の概要 |
日本語における言語の神経基盤を理解するためには、脳損傷における言語障害の個人差を考慮し、日本語の言語体系によりもたらされる障害の特質を知る必要がある。本研究では、日本語話者において、言語に関連する活動を神経生理学的・神経放射線学的手法により測定し、脳損傷による言語障害について神経心理学的/心理物理学的手法で詳細に検討することにより、日本語の神経基盤を個人ごとに明らかにすることを目的とする。 今年度は、神経変性疾患として、失語症が前景に立つ認知症である原発性進行性失語症(primary progressive aphasia; PPA)およびパーキンソン病、手術を前提とした難治性てんかんの患者を対象に研究を行った。PPAは3つの臨床型に分かれ、主たる機能低下部位を反映して特徴的な言語症状を呈する。しかし、3型に当てはまらない分類不能のPPAが3分の1あることが問題になっている。我々は分類不能と言われるPPAの特徴を詳細に検討し、その言語症状に応じた脳機能低下部位を明らかにした。また、日本語のPPAの言語的特徴を明らかにするために、漢字のみを使う中国語話者のPPAのメタアナリシスを行った。さらに漢字、ひらがな、カタカナという多くの文字種をもつ日本語の特徴を反映し、どのような失読・失書が生じるかを総説としてまとめた。パーキンソン病においては小書症の神経基盤について神経機能画像法を用いて明らかにした。難治性てんかん患者においては、脳血管の分枝に短期間作用型麻酔薬を注入して言語野を同定する超選択的Wadaテストを行った。その結果、個々人における言語野の分布が多彩であることが分かり、治療方針の決定にも有用であった。 以上のように、さまざまな病態よる脳損傷患者において、言語機能の神経基盤の検討を進めることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原発性進行性失語症、難治性てんかん患者などを対象とした検討は、ほぼ予定通り進行している。
|
今後の研究の推進方策 |
原発性進行性失語症では、非流暢性失文法型の症例が多く、意味型とロゴペニック型の症例が少ないため、東北大学だけでなく、大阪大学でも積極的に患者をリクルートし3臨床型の比較ができるようにする。難治性てんかん患者、脳腫瘍患者においては、神経生理学的データの解析をさらに進めて、個々人における言語の神経基盤の時間的経過についても検討を行っていく。
|