研究課題
本課題は、感覚フィードバックに基づき運動を修正する「感覚運動学習」の敏感期を制御するメカニズム解明を目指し、鳴禽類の歌学習をモデルとしてた神経生理学的研究をおこなっている。鳴禽の歌の感覚運動学習に伴う行動可塑性は、若い鳥では著しく高く、成鳥になると大幅に減少する。このことは発達にともなって感覚運動学習の敏感期が終了することを示している。この行動可塑性に対応する神経回路変化の実体と、敏感期の終了を制御する生理化学因子を明らかにすることを目的としている。鳴禽の歌学習は歌を聴いて記銘する感覚学習と、練習して上手くなる感覚運動学習がある。前年度までに構築した行動実験手法では、前者の終了後かつ後者が本格的になる直前の日齢で、騒音が常時提示されるケージに幼鳥を置き、聴覚フィードバックがマスクされた状況で1~2か月過ごさせるというものである。これにより感覚運動学習を経験できないことが、敏感期にどのように影響するかを調べている。前年度までに確立した血中ホルモン濃度計測により、計画の半数までデータが得られつつある。現在のところ、騒音提示終了後のテストステロン濃度の変化パターンが対照群と異なる可能性が明らかになりつつある。一方で、騒音群では対照群に比較して、騒音停止直後は歌シラブルが未分化であるものの、テストステロン濃度の差異が生じる時期に、シラブル分化が急速に進むようである。この両者の関係性を検証するために、詳細な音響分析を進めている。得られた成果について、日本音響学会聴覚研究会などで発表した。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Japanese Journal of Animal Psychology
巻: 73 ページ: 99~105
10.2502/janip.73.2.8
Pharmacology Biochemistry and Behavior
巻: 230 ページ: 173606~173606
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