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2021 年度 実績報告書

生体組織内未踏領域への環状DNA拡散送達材料の創製とその場組織幹細胞再生医療実現

研究課題

研究課題/領域番号 21H03820
配分区分補助金
研究機関東京都立大学

研究代表者

朝山 章一郎  東京都立大学, 都市環境科学研究科, 准教授 (90315755)

研究分担者 根岸 洋一  東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50286978)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード環状DNA拡散送達材料 / 生体組織内未踏領域 / その場組織幹細胞再生医療
研究実績の概要

本研究は、生体組織内未踏領域への環状DNA拡散送達材料を創製し、生体個体内におけるその場での組織幹細胞再生医療を実現することを目的としている。対象組織は、骨格筋とし、超高齢社会に突入した我が国の運動器障害の要介護者を減少させ、健康寿命の延伸を目指す。本年度は、末端の陽イオンの化学構造が異なるポリエチレングリコール(PEG)を各種合成し、高感度検出のために更新購入したゲルドキュメンテーション解析システムを用いて、ゲル内泳動度を比較検証した。更に、DLS(動的光散乱)による粒子径測定やBio-TEM(透過型電子顕微鏡)による形態観察も並行して行った。その結果、シンプルな化学構造のグアニジニウム基を末端に有するPEG(Gu-PEG)を用いても、環状DNAとモノイオンコンプレックス(MIC)を形成することを明らかにした。TEM観察からは、当該分野で報告されている粒子状の形状ではなく、微小、かつ、環状DNA本来の構造に近い画像が得られた。これらの結果は、得られたMICがフレキシブルな構造を有していることを示唆している。従って、環状DNAの組織内拡散に優位な構造だと考えられる。更に、比較的長い分子量5000のPEG鎖を用いた場合に(500および2000と比較して)、マウス骨格筋内での遺伝子発現(ルシフェラーゼレポーターアッセイ)が最も高かった。また、Gu-PEGとのMIC形成時に、アニーリング処理を検討した結果、環状DNA単体よりも、よりゲル内泳動を示す新規なバンドが観察され、環状DNA拡散送達材料の創製のための新たな知見も得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要でも記した通り、シンプルな化学構造のGu-PEGと環状DNAが、MICを形成することを明らかにし、特に、分子量5000のPEG鎖を有するGu-PEGが、マウス骨格筋内において、最も高い遺伝子発現を導くことを明らかにしたため。また、環状DNAのアニーリング処理によるGu-PEGとのMIC形成では、より微小な構造形成が示唆され、環状DNA拡散送達材料の創製のための新たな知見も得たため。

今後の研究の推進方策

骨格筋組織内未踏領域への環状DNA拡散送達材料の有用性を明らかにするため、マウス骨格筋内投与実験を推進し、遺伝子発現能と共に、骨格筋組織内分布を解析する。また、新たな知に基づく、更なる環状DNA拡散送達材料の分子設計も、並行して模索していく。

  • 研究成果

    (20件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (16件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Guanidinopropyl End-Modified Poly(ethylene glycol) to Form Highly Compact Plasmid DNA Mono-Ion Complexes by Thermal Treatment2022

    • 著者名/発表者名
      H. Qiao and S. Asayama*
    • 雑誌名

      Polymers for Advanced Technologies

      巻: 33 ページ: 484-491

    • DOI

      10.1002/pat.5530

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Hepatocyte-Specific Co-Delivery of Zinc Ions and Plasmid DNA by Lactosylated Poly(1-vinylimidazole) for Suppression of Insulin Receptor Internalization2021

    • 著者名/発表者名
      A. Endo and S. Asayama*
    • 雑誌名

      Pharmaceutics

      巻: 13 ページ: 78-88

    • DOI

      10.3390/pharmaceutics13012084

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] イミダゾール含有ポリマーと金属ポルフィリンから成るカタラーゼミミック分子設計2022

    • 著者名/発表者名
      田原親明,朝山章一郎
    • 学会等名
      第10回ポルフィリン-ALA学会年会
  • [学会発表] 希少性疾患を対象としたタンパク質およびプラスミドDNAのPEG修飾法の開発2021

    • 著者名/発表者名
      朝山章一郎
    • 学会等名
      国際医薬品開発展(CPhI Japan 2021)
    • 招待講演
  • [学会発表] マウス骨格筋投与におけるpDNA複合体の形状と発現の相関解析2021

    • 著者名/発表者名
      朝山章一郎,小林祐貴,韮沢 慧,根岸洋一
    • 学会等名
      第70回高分子学会年次大会
  • [学会発表] PEG膨潤層膜厚に逆相関したバイオイナート界面機能2021

    • 著者名/発表者名
      朝山章一郎,曽根祐哉
    • 学会等名
      第70回高分子学会年次大会
  • [学会発表] グア二ジニウム末端修飾PEG/pDNAモノイオンコンプレックスによる骨格筋注遺伝子発現のPEG鎖長依存性2021

    • 著者名/発表者名
      木村理工,韮沢 慧,根岸洋一,朝山章一郎
    • 学会等名
      第37回日本DDS学会学術集会
  • [学会発表] DDS指向的カタラーゼ擬似活性中心を有するバイオマテリアル設計2021

    • 著者名/発表者名
      田原親明,朝山章一郎
    • 学会等名
      第37回日本DDS学会学術集会
  • [学会発表] 筋細胞分化誘導を促進するZn2+/pDNA共送達キャリアの分子設計2021

    • 著者名/発表者名
      朝山章一郎,小林祐貴
    • 学会等名
      第50回医用高分子シンポジウム
  • [学会発表] 部分疎水化CM-PVImの生体適合性バイオマテリアルとしての機能評価2021

    • 著者名/発表者名
      小堀優果,朝山章一郎
    • 学会等名
      第50回医用高分子シンポジウム
  • [学会発表] Zn2+をタイムリーにはたらかせ筋細胞分化誘導を促進するZn2+/pDNA共送達システム2021

    • 著者名/発表者名
      朝山章一郎,小林祐貴
    • 学会等名
      第70回高分子討論会
  • [学会発表] 熱処理PEGモノイオンコンプレックスによるpDNAデリバリーシステムの構築2021

    • 著者名/発表者名
      木村理工,韮沢 慧,根岸洋一,朝山章一郎
    • 学会等名
      第70回高分子討論会
  • [学会発表] 筋細胞分化誘導を促進するZn2+/pDNA共送達システムの構築2021

    • 著者名/発表者名
      朝山章一郎,小林祐貴
    • 学会等名
      第43回日本バイオマテリアル学会大会
  • [学会発表] コレステロール末端修飾PEGによるペプチド修飾および凝集抑制2021

    • 著者名/発表者名
      渡邉捷太,朝山章一郎
    • 学会等名
      第43回日本バイオマテリアル学会大会
  • [学会発表] 部分疎水化CM-PVImの生体適合性バイオマテリアル表面構築2021

    • 著者名/発表者名
      小堀優果,朝山章一郎
    • 学会等名
      第93回高分子学会関東支部武蔵野地区高分子懇話会
  • [学会発表] スペーサー構造が異なるpDNA/PEGモノイオンコンプレックスの構造活性相関2021

    • 著者名/発表者名
      森愛美香,韮沢 慧,根岸洋一,朝山章一郎
    • 学会等名
      第20回遺伝子・デリバリー研究会シンポジウム
  • [学会発表] 加熱処理pDNA/PEGモノイオンコンプレックスによるデリバリー2021

    • 著者名/発表者名
      木村理工,韮沢 慧,根岸洋一,朝山章一郎
    • 学会等名
      第20回遺伝子・デリバリー研究会シンポジウム
  • [学会発表] 非共有結合によるタンパク質およびプラスミドDNAのPEG修飾法の開発とデリバリー2021

    • 著者名/発表者名
      朝山章一郎
    • 学会等名
      第16回理研「バイオものづくり」シンポジウム
    • 招待講演
  • [図書] 特集「すべての人々の健康・福祉の実現に貢献するバイオマテリアル」総説タイトル「非共有結合によるタンパク質およびプラスミドDNAのPEG修飾とデリバリー」2021

    • 著者名/発表者名
      朝山章一郎
    • 総ページ数
      Vol.39, No.4, pp.222-227
    • 出版者
      バイオマテリアル-生体材料-(バイオマテリアル学会誌)
  • [備考] 朝山研究室ホームページ(東京都立大学 大学院都市環境科学研究科 環境応用化学域)

    • URL

      https://www.comp.tmu.ac.jp/asayama-lab/

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公開日: 2022-12-28  

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