研究課題/領域番号 |
21H03834
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉野 将生 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 特任准教授(研究) (30789938)
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研究分担者 |
島添 健次 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70589340)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | PET / SPECT / シンチレータ / 放射線検出器 / モンテカルロシミュレーション |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者が新規提案する手法:シンチレーションアクティブコリメータを用いることで、100keV~511keVの幅広いエネルギーのPET・SPECT核種を同時定量撮像する手法をマウスで実証する。研究の方法として、1. 検出器・データ収集システムの構築、2. ファントム・マウスを用いた撮像試験、3. 画像再構成・データの分析、4. シミュレーションによる検証をサイクル的に実施する。 本年度は、PET・SPECT核種の同時撮像試験用の検出器リング筐体の製作及び3Dプリンタによるタングステンピンホールコリメータの製作を行い、試作1号機を製作した。dToT基板で読み出したToT信号に対して重心演算を行い、放射線検出位置を計算する手法についても検討を進めた。 本研究の手法では、複数のPET・SPECT核種を撮像する場合、観測対象のRIのガンマ線のエネルギーウィンドウに他方のRIのガンマ線が漏れ込む。この漏れ込みの影響を少なくするためには、エネルギー分解能の向上が必要となる。今年度は、エネルギー分解能劣化の要因となっているシンチレータのピクセル化を回避するために、モノリシックなGAGGシンチレータをMPPCアレイと組み合わせて、位置有感型検出器を作製した。結果として、25x25x3mmtのモノリシックGAGGシンチレータで、位置分解能1.43mm±0.18mm(σ)とエネルギー分解能14.6%±0.5%(FWHM)@122keVという良好な結果を得た。 そして、上記の今年度開発・製作した検出器試作1号機を用いて非密封線源(99m-Tc, 111In, 18F)の撮像試験を実施した。 来年度は、本年度の非密封線源撮像試験の結果をフィードバックし、速やかにNEMA NU4-2008等のファントムの撮像試験を行いつつ、検出器試作2号機の設計・製作を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、検出器のエネルギー分解能と位置分解能を両立するために、モノリシックなGAGGシンチレータをMPPCアレイと組み合わせて、位置有感型検出器を作製した。そして、検出器試作1号機の製作が完了した。コロナウイルス感染拡大による部材等の手配に遅延により、NEMA NU4-2008等のファントムを使った撮像試験は未実施であるが、非密封線源を用いた撮像試験は実施できているため、次年度早々にファントムを用いた撮像試験も実施可能である。上記の理由から、本研究の区分は順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、非密封線源の撮像試験の結果を検出器開発にフィードバックしながら、速やかにNEMA NU4-2008等のファントムの撮像試験を行いつつ、検出器試作2号機の設計・製作を進めていく予定である。コロナウイルスの感染も収まりつつあるため、東大アイソトープセンターでの撮像試験の回数を増やすことで、研究を加速していく計画である。
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