研究課題/領域番号 |
21H03850
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
内藤 尚 金沢大学, フロンティア工学系, 准教授 (40392203)
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研究分担者 |
中村 隆 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 義肢装具技術研究部, 義肢装具士長 (40415360)
軸屋 一郎 金沢大学, フロンティア工学系, 准教授 (90345918)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 動力義足 / 運動支援機器 / リハビリテーション工学 / 計算機援用リハビリテーション / 下肢高位切断 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,股関節機能が失われた下肢高位切断者の活動範囲を大幅に拡張可能な高機能動力義足システムを開発することである.具体的には,まず,高機能動力義足の要素技術として,使用者の運動状態と運動意図を推定するアルゴリズム,高いエネルギ効率と柔軟性を実現する義足関節機構,自然な動作を実現する制御手法とその設計法について重点的に開発する.さらにこれらの要素技術を組み合わせることに加え,対象者を絞り徹底的にチューニングを施すことでこれまで下肢高位切断者では不可能であった動作を自然に実現できる義足システムを開発する.本年度は,まず,動力化した股継手の製作と開発担当者である健常者が着用できる模擬股義足システムの設計と製作を行った.また,健側脚の角度情報を取得するポテンショメータを組み込んだ脚角度センサを含む形の計測動力股継手の制御システムの製作を行い,そこに位置制御によるコンパスウォークを目標とした制御アルゴリズムを組み込んだ.健常者を被験者として模擬股義足システムを着用し,股義足のアライメントおよび制御アルゴリズムのパラメータの調整を経て,歩行が可能であることを確認した.さらに,歩行状態の遷移過程について調べる実験として,ウェアラブル関節角度センサを用いて歩行速度増速時の状態遷移,すなわち定常歩行(速度低)~増速歩行~定常歩行(速度高)という状態遷移を対象に歩行運動計測の予備的実験を行った.実験の結果,増速時の姿勢変化には特定のパターンがあることを示唆する結果を得た.確度の高い実験で検証は必要であるが,このパターンの変化を用いれば股義足システムにおいてユーザの意図を読み取ることができる可能性が示された結果を得たといえる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常者である開発担当者が自身で着用でき,試すことができる模擬股義足システムを製作し,それを用いて歩行が可能であることを確認できた.
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今後の研究の推進方策 |
運動状態および運動意図判定基準の抽出と判定手法の確立 継続課題として,歩行動作計測を行い,運動状態および運動意図判定基準を抽出に取り組む.運動を機能別にカテゴライズした上で,定常運動,過渡的運動に分離して,身体運動データと各センサから得られたデータを照らし合わせ,運動状態および運動意図を判定する基準を抽出する.さらに,抽出した判定基準を基に,運動状態と運動意図をリアルタイムに推定することのできる手法を提案する. 高いエネルギ効率と柔軟性を実現する義足関節機構の設計と製作 代表者が開発している義足開発支援システムを用いてモデルベースで次項の計測制御手法の選択と構造パラメータの設計を同時に行う.股・膝・足部の関節部品を駆動させることができる機構を考慮し,その上で参照とする上記の運動に対して高いエネルギ効率を実現できるように受動要素と駆動要素のパラメータの組み合わせを最適化手法によって決定し,SEAの設計指針を得た上で,機構設計を行い.それを元に股継手の動力脚部分を製作する. 自然な動作を実現する計測制御手法の選択と設計・実装 前項の機構設計と強く関連させて進めていくが,義足開発支援システムを用いて,モデルベースドな評価環境の元で動力股義足の構造系・計測制御系を同時に設計する.特に運動状態と運動意図の推定に必要な計測する量とそれをどのようなセンサでどう計測するか実装を見据えながら,計測制御手法の選択と設計を進め,最終的に義足計測制御システムとして実装する.
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