研究課題/領域番号 |
21H03857
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
武藤 剛 文教大学, 情報学部, 教授 (50433701)
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研究分担者 |
藤田 欣也 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30209051)
武藤 ゆみ子 玉川大学, 脳科学研究所, 准教授 (30614614)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | Mutual Imitation / Gait / Body Image / Aging / Mixed Reality / Objective Self-Awareness |
研究実績の概要 |
発達心理学等の領域では,人が新たな機能を獲得するためには,学習者が随伴的に規範動作を模倣するだけではなく,規範動作自体も積極的に学習者を模倣する「相互模倣」が重要であることが指摘されている.相互模倣による機能獲得の概念は,加齢によって様々な身体的制約を受ける高齢者に個人適応した機能回復訓練を実現する上でも有効と期待されるが,機能回復訓練を支援する機器の設計論として検討されてこなかった.本研究では,高齢者の「歩容」に注目し,それが規範歩容モデルとの相互模倣により変容してゆくメカニズムの神経心理学的な数理モデルを新たに構築し,それを用いた実験を通して,歩行姿勢の補正支援技術としてのその有効性を明らかにすることを目的としている. 2022年度では,2021年度までに作成した自己歩容への客体的な視認を通して自身に内在する規範歩容のイメージとの比較をリアルタイムで行いながら自身の歩容を補正できる自己歩容提示システムを用いて,若年者を対象とした動作実験を進めた.特に,自由歩行だけでなく,荷物運搬作業や障害物回避が必要となる環境下での,同システムの歩容への影響の評価を行った.その結果,歩行中の体幹の前傾角度及び,その前後左右の動も低減させる効果があることを明らかとなった.このことから,我々の提案する自己歩容提示システムが,自由歩行だけでなく,日常生活でも見られるような様々な環境下での歩行の転倒リスク低減を目的とした,歩行姿勢の安定化の支援手法として有効性を示した
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度までに作成した自己歩容提示システムに関し,若年者を対象とした動作実験は計画通り実施した.続けて,高齢者を対象とした歩容計測実験を行う予定であったが,実験を計画していた時期に、実験を実施予定である社会福祉施設内で感染症の感染者が多数発生したため,同施設の事情により予定していた高齢者実験を延期せざるを得ないこととなった.研究遂行上,高齢者の歩容計測実験の実施が不可欠なため,高齢者実験の延期に伴う遅延が生じた
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今後の研究の推進方策 |
延期された健康高齢者を対象とした歩容計測実験を進める予定である.それと並行して,若年者を対象とした動作実験において得られた歩容データの分析を進め,自己歩容提示システムの完成を目指す.
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