• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

荒川修作+マドリン・ギンズ映画資料アーカイブ構築による映画制作過程と身体論の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22H00616
配分区分補助金
研究機関関西大学

研究代表者

三村 尚彦  関西大学, 文学部, 教授 (10309205)

研究分担者 岡村 心平  神戸学院大学, 心理学部, 講師 (10826374)
村川 治彦  関西大学, 人間健康学部, 教授 (20527105)
小室 弘毅  関西大学, 人間健康学部, 准教授 (30551709)
平井 章一  関西大学, 文学部, 教授 (30640255)
門林 岳史  関西大学, 文学部, 教授 (60396835)
染谷 昌義  北海道大学, 北海道大学・人間知・脳・AI研究教育セ ンター, 博士研究員 (60422367)
稲垣 諭  東洋大学, 文学部, 教授 (80449256)
馬 定延  関西大学, 文学部, 准教授 (90625047)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード荒川修作 / マドリン・ギンズ / 映画研究 / 現代アート / 身体論
研究実績の概要

本研究課題は、荒川+ギンズが制作した2本の映画フィルム《Why Not(A Serenade of Eschatological Ecology)》(1969年)と、《For Example(A Critique of Never)》(1971年)およびそのアウトテイクフィルムをデジタル化し、それの分析研究を通して彼らの身体論を明らかにすることを目的としている。
2023年度は、前年度(2022年度)に行ったニューヨーク荒川+ギンズ財団が保有する映像フィルムのデジタル化の作業を受け、研究分担者および研究協力者がそれらの映像ファイルを個別に自由に閲覧できる共有体制を整えた。またすべてのフィルムの映像内容をテキスト化する作業を完了させた。
それらの作業をふまえ、オンラインのミーティングと対面での研究会を実施し、映画制作過程についてこれまで知られていなかった事実を突きとめるに至った。例えば、《Why Not(A Serenade of Eschatological Ecology)》のアウトテイクフィルムを確認することによって、当初はもう一人登場人物が予定されており、それはマドリン・ギンズであったことがわかった。また荒川の撮影手法やテスト撮影の状況から、ライティングやカット割りに関する意図も、公開版とは違ったものが見えてきた。
今後は、こうした事実を当時の関係者への聴き取り調査などを通じて検証していくとともに、これらの研究にもとづき、荒川+ギンズの映画制作およびそこで表現しようとしていた身体思想、当時の実験映画制作シーン、現代アートシーンに対する彼らのスタンスを明らかにしていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画で予定していた106本のフィルムのデジタルファイルにもとづく内容分析に着手し、これまで知られていなかった制作過程を明らかにできたことから、(2)おおむね順調に進展している、と判断した。
なお今年度(2023年度)に映画制作時の関係者(出演者)に対してのインタビューを実施する計画だったが、先方とのスケジュール調整がうまくいかず、やむなく来年度(2024年度)に延期することになった。なお、すでに日程的な調整に着手しているので、2024年度は計画通り実施する。

今後の研究の推進方策

研究代表者、分担者で共有しているフィルム資料のデジタルデータアーカイブを利用して、主に哲学、心理学、メディア論、芸術学の視点から、荒川+ギンズは映画製作において何を実現しようとしていたのか、また彼らの独自の哲学、身体論の萌芽、また実験映画の動向などの問題を論じていく予定にしている。
また2024年8月のローマで開催される世界哲学会議に荒川+ギンズの哲学とアートをテーマにしてパネルディスカッションを実施し、世界に向けて本研究課題の成果を発表していき、国際的な研究交流を進めていく予定である。

  • 研究成果

    (27件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (6件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 1件、 招待講演 7件) 図書 (7件)

  • [雑誌論文] 反転理論によるクラウニング講座の教育的意義と臨床的可能性の検討――矯正教育における身体性をめぐって2024

    • 著者名/発表者名
      岡村 心平・道重 さおり
    • 雑誌名

      神戸学院大学心理学研究

      巻: 6巻1号 ページ: 57-66

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ARAKAWAの恐怖とD.ベネターの反出生主義の奇妙な符号 ―絶滅の環境デザインに向けた一試論―2024

    • 著者名/発表者名
      稲垣諭
    • 雑誌名

      白山哲学

      巻: 58巻 ページ: 101-120

  • [雑誌論文] Gendlin and New Phenomenology: The Application to Rehabilitation Medicine2023

    • 著者名/発表者名
      三村尚彦
    • 雑誌名

      関西大学文学論集

      巻: 第73巻第3号 ページ: 115-134

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「コロナ禍と批評的距離」2023

    • 著者名/発表者名
      門林岳史
    • 雑誌名

      『表象』

      巻: 第17巻 ページ: 6-11

  • [雑誌論文] 視覚というマルチプロセス──「見つめ合い」の現象学に向けて2023

    • 著者名/発表者名
      稲垣諭
    • 雑誌名

      理学療法ジャーナル

      巻: 57巻 ページ: 1286-1290

    • DOI

      10.11477/mf.1551203239

  • [雑誌論文] 空白を想像する2023

    • 著者名/発表者名
      馬定延
    • 雑誌名

      表象

      巻: 17号 ページ: 14-20

  • [学会発表] アニマシー心理学へ向けて-植物の神経生物学と非神経生物のこころのはたらきをめぐる論争2024

    • 著者名/発表者名
      染谷昌義
    • 学会等名
      KOBELSI-CHAIN合同研究報告会「科学技術倫理と人間知」
  • [学会発表] アフォーダンスの心理学のラディカリティ-サイコロジカルなことの科学への道2024

    • 著者名/発表者名
      染谷昌義
    • 学会等名
      CHAIN ACADEMIC SEMINAR #39
    • 招待講演
  • [学会発表] Hotel Aporia: Artist Tour and Conversation with Ho Tzu Nyen and Dr. Ma Jung-Yeon2024

    • 著者名/発表者名
      Ho Tzu Nyen, Ma Jung-Yeon
    • 学会等名
      Ho Tzu Nyen: Time & Tiger (Singapore Art Museum)
    • 招待講演
  • [学会発表] Gendlin and New Phenomenology: The Application to Rehabilitation Medicine2023

    • 著者名/発表者名
      Naohiko Mimura
    • 学会等名
      19th Annual Conference of the Nordic Society for Phenomenology
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] リハビリテーション医療に対して、現象学的記述/考察はいかなる貢献が可能なのか?2023

    • 著者名/発表者名
      三村尚彦
    • 学会等名
      第21回日本神経理学療法学会学術大会
    • 招待講演
  • [学会発表] 教養としての哲学・現象学──初期キャリア研究者が何をどう教えるか2023

    • 著者名/発表者名
      三村尚彦
    • 学会等名
      第45回日本現象学会研究大会
    • 招待講演
  • [学会発表] シンポジウムⅠ「アートがつつむ実践と研究へ」2023

    • 著者名/発表者名
      小松佳代子、小室弘毅、坂東光有
    • 学会等名
      日本ホリスティック教育/ケア学会第6回大会
  • [学会発表] ワークショップ「からだと出会うマインドフルネス」2023

    • 著者名/発表者名
      小室弘毅
    • 学会等名
      日本人間性心理学会第42回大会
  • [学会発表] 自主シンポジウム「教育思想としてのジェンドリン哲学:その展開の可能性」2023

    • 著者名/発表者名
      岡村心平、古井戸祐樹、田中秀男、小室弘毅
    • 学会等名
      日本人間性心理学会第42回大会
  • [学会発表] “アクション・ペインティング”再考-「具体」・アンフォルメル・抽象表現主義-シンポジウム「偶然・必然・自然 ―形象の生成と認識をめぐって―」2023

    • 著者名/発表者名
      平井章一
    • 学会等名
      第76回美術史学会全国大会
    • 招待講演
  • [学会発表] ミシェル・タピエと日本―ポンピドゥ・センター所蔵のタピエ・アーカイブ調査から分かること―2023

    • 著者名/発表者名
      平井章一
    • 学会等名
      関西大学芸術学美術史研究学会
  • [学会発表] 教育思想としてのジェンドリン哲学:その展開の可能性2023

    • 著者名/発表者名
      岡村 心平、古井戸 祐樹、田中 秀男、小室 弘毅
    • 学会等名
      日本人間性心理学会第42回大会
  • [学会発表] フォーカシング指向心理療法における体験の取り扱いについて~体験過程における過去・現在・未来~2023

    • 著者名/発表者名
      内田 利広、河﨑 俊博、星加 博之、岡村 心平、小松 貴弘
    • 学会等名
      日本心理臨床学会 第42回大会
  • [学会発表] 知の形態と 身体表象という概念の罠2023

    • 著者名/発表者名
      稲垣 諭
    • 学会等名
      第21回日本神経理学療法学会学術大会
    • 招待講演
  • [図書] 『残らなかったものを想起する「あの日」の災害アーカイブ論』2024

    • 著者名/発表者名
      高森順子(編著)、門林岳史、八守 克也、杉山 高志、磯村 和樹、槻橋 修、溝口 佑爾、松本 篤、林田 新、武居 利史、佐藤 李青、竹久 侑、福田 雄、林 勲男、青山 太郎、山内 宏泰、富田 大介
    • 総ページ数
      448
    • 出版者
      堀之内出版
    • ISBN
      978-4-909237-92-7
  • [図書] 「くぐり抜け」の哲学2024

    • 著者名/発表者名
      稲垣 諭
    • 総ページ数
      368
    • 出版者
      講談社
    • ISBN
      4065345944
  • [図書] 荒木悠 LONELY PLANETS2024

    • 著者名/発表者名
      馬定延(分担執筆)、十和田市現代美術館監修
    • 総ページ数
      152
    • 出版者
      フィルムアート社
    • ISBN
      9784845923199
  • [図書] The One Work: Sojung Jun [ARCO(Art Council Korea) 2022-2023 Artist Research-Study-Critique]2024

    • 著者名/発表者名
      Juhyun Cho, Soojung Yi, Jung-Yeon Ma, Sung Eun Kim,et.al
    • 総ページ数
      236
    • 出版者
      Drifting Curriculum Books, The Floor Plan
    • ISBN
      9791196594794
  • [図書] 『メディア論の冒険者たち』2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤守(編著)、門林岳史、竹峰義和、山田雄三、塚原史、西兼志、 有元健、河野真太郎、本橋哲也、毛利嘉孝、今関裕太、大宮勘一郎、 西兼志、増田展大、堀潤之、松谷容作、藤木秀朗ほか
    • 総ページ数
      400
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      978-4-13-050209-2
  • [図書] Psychology and Philosophy of Eugene Gendlin2023

    • 著者名/発表者名
      Ikemi,A., Okamura, S. & Tanaka, H
    • 総ページ数
      18
    • 出版者
      Routledge.
    • ISBN
      1032284056
  • [図書] この国(近代日本)の芸術 <日本美術史>を脱帝国主義化する2023

    • 著者名/発表者名
      馬定延(分担執筆)、小田原のどか(編)、山本浩貴(編)
    • 総ページ数
      852
    • 出版者
      月曜社
    • ISBN
      9784865031751

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi