研究課題/領域番号 |
22H00623
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
研究代表者 |
江村 知子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化財情報資料部, 部長 (20350382)
|
研究分担者 |
並木 誠士 京都工芸繊維大学, 美術工芸資料館, 特定教授 (50211446)
小林 健二 国文学研究資料館, その他部局等, 名誉教授 (70141992)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 日本絵画 / 絵巻 / 酒呑童子 |
研究実績の概要 |
ライプツィヒ民族学博物館をはじめ、国内外の美術館(大阪青山歴史文学博物館、日本の鬼の交流博物館、九州大学図書館、海のみえる杜美術館)にて各種の酒呑童子絵巻や関連資料の調査を実施した。研究分担者の他に、研究協力者として上野友愛氏(サントリー美術館)、河田昌之氏(和泉市久保惣記念美術館)、宮崎もも氏(大和文華館)ほか各所蔵館の方々にご協力いただいて調査を実施し、研究を進めた。また調査における写真撮影においては当研究所の城野誠治、安永拓世の協力も仰いだ。 大阪青山歴史文学博物館所蔵の住吉廣行筆「酒呑童子絵巻下絵」がライプツィヒ本の大下絵であること、またライプツィヒ本の第1巻から3巻の詞書筆者が成嶋和鼎(1720-1808)、第4巻から6巻の詞書筆者が成嶋峰雄(1748-1815)であることが判明した。成嶋和鼎と峰雄は親子で、成嶋家は江戸幕府の文官を代々務めた家で、成嶋家の資料により、ライプツィヒ本の詞書を著述し、制作したことがわかった。住吉家と成嶋家はライプツィヒほんの制作時期よりも前世代の当主間で書画に関わる繋がりが国文学研究において確認されており、今回の調査研究により、新知見を得ることができた。また江戸時代の酒呑童子絵巻諸本の調査により、これまで知られている酒呑童子の物語と各場面の描写とは異なる表現が挿入・追加されている例が確認された。これは酒呑童子の物語が変容して展開していることを示す事例として注目される。次年度以降も調査を継続し、研究会での発表を行い、研究の総括を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ライプツィヒ民族学博物館での海外調査を実施できたのが、当初の予定よりも遅れてしまったこと、またその調査によって、新たな事実が判明し、調査対象が増えたことにより、作品所蔵館との日程調整に時間を要したために、全体の進捗状況はやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和6年度の調査実施は順調に計画・実施しており、進捗の遅れを解消できる見込みである。当初の計画よりも、研究範囲が拡大しているが、適切な研究協力者にもご協力いただける体制づくりを行えたことにより、研究の推進と総括を行う。
|