研究課題/領域番号 |
22H00635
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
佐藤 賢一 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90323873)
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研究分担者 |
平岡 隆二 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10637622)
橋本 雄太 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (10802712)
梅田 千尋 京都女子大学, 文学部, 教授 (90596199)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 近世日本科学史 / 和算史 / 測量術史 / 天文学史 / 本草学史 / 陰陽道史 / 人文情報学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は次のとおりである。近世日本の数理科学(和算・測量術・天文暦学)の歴史研究では、従来、各分野の個別研究が主体で、複数分野を横断的かつ総合的に研究する態勢が手薄であった。この状況を改善すべく、先行研究では紹介されていない史料群の領野横断的共同研究を実践し、文献史料の研究支援システム構築を進める。特に、分析・校合した諸史料の作成者や地理的分布情報を利用することで、当時の数理科学関係者の人脈や数理科学的知識の普及の分析も行う。最終的な目標として、測量術、和算、天文暦学(含・陰陽道)の各分野で従来の定説に修正を迫る成果を集約し、近世日本数理科学の新たな歴史叙述を提示する。 この研究目的に基づき、2022年度内に現地史料調査を5回実施した。(和算、天文暦学史料の調査:日本学士院、山形大学、中之条町立博物館、天理大学天理図書館、九州大学)特に山形大学、中之条町立博物館所蔵の史料に従来知られていなかった写本のあることが確認できた。これらの調査結果については、2023年度以降の成果公開を目標として研究計画に組み込む。 代表者と分担者による成果公開としては、代表者による国際シンポジウムISHIK2022での発表1件、代表者・分担者4人全員の共同執筆によるシンポジウム報告の取り纏め(『洋学』30号に掲載、2023年5月刊行済)、その他に論文3本の刊行を行った。 各成果の主たる概要は以下の通りである。(1)近世初期のキリシタン天文学、特に天球論の受容に新知見を加えた(分担者・平岡)、(2)近世数学との比較の意味で近世以前の算術の様態を検討した(代表者・佐藤)、(3)近世期の陰陽道認識を刊行物の分析から明らかにした(分担者・梅田)。なお、分担者・橋本は文献史料の分析支援システムの構築作業に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
代表者と各分担者は2022年度中に各々の専門分野に基づく開発作業、あるいは調査に基づく論著公開を順調に行ったことが第1の理由である。第2の理由は、代表者・分担者全員が2022年度中にとりまとめたシンポジウム報告(開陽丸引き揚げ文書について)において、幕府天文方の科学史における位置付けについて新たな評価が可能ではないかという認識を持つに至り、今後の研究の進展が大いに見込まれるようになったことである。第2の点については、2023年度以降、論文集を編集する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
・これまでの史料調査結果に基づいて、天文暦学分野、具体的には幕府天文方に関する主題の学術書(論文集)の刊行を2023年度内に企画する。(担当・佐藤、梅田、平岡) ・和算家・関孝和の著作の校合作業を進め、この作業で得られた情報をサンプルとして文献史料の分析支援システムの開発をさらに進めていく。(担当・佐藤、橋本) ・現地史料調査を2022年度同様に実施する。 ・研究を遂行する上での問題点は現時点では発生していないので、当初の研究計画通りに進める。
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