研究課題/領域番号 |
22H00653
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
加藤 めぐみ 明星大学, 人文学部, 教授 (30247168)
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研究分担者 |
小杉 世 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (40324834)
佐藤 渉 立命館大学, 法学部, 教授 (30411143)
湊 圭史 松山大学, 人文学部, 教授 (10598527)
一谷 智子 西南学院大学, 外国語学部, 教授 (70466647)
三宅 一平 龍谷大学, 文学部, 講師 (40886503)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | オーストラリア文学 / マイノリティ / ネオ・コスモポリタニズム / 先住民 / 難民 / 環境 / 核問題 / 多文化主義 |
研究実績の概要 |
・メンバーによる研究報告会:第1回(2022年6月12日オンライン)代表者加藤が本研究の趣旨説明を行い、分担者が各自の研究の方向性や目標を共有した。第2回:(2022年11月26日ANZ文学会ハイブリッド)佐藤がスリランカ系作家Michelle de Kretser『旅の問いかけ』について報告を行った。第3回(2023年3月26日オンライン)小杉が人新世の共生をめぐる文学と題して太平洋島嶼部の先住民・移民文化とグローバリゼーションについて報告した。その他にもJeanine Leane氏の‘Writing Country’講演(オンライン)や Nicole Moore氏の講演 "Writing for change: Re-reading mid-century Australian realism(2023年3月26日ハイブリッド)などに各々適宜参加した。 ・研究進捗:加藤は先住民作家Leah Purcellによる"The Drover's Wife"のアダプテーションについての論文を執筆(2024年6月刊行予定)、難民文学についての研究を進めた。一谷は難民作家Behrouz Boochaniの"No Friend but the Mountains"の共同翻訳を進め、解説を執筆した。小杉はカリブのアーティストの廃物利用のインスタレーションの表象にみられる難民や気候変動への社会的メッセージと太平洋地域の諸問題との関連について考察した。佐藤はMichelle de Kretserの小説の分析を進め口頭発表と論文執筆の準備をした。湊は書評、翻訳のほか、豪SF作家Greg Eganについての文献を収集、分析を進めた。三宅はGail Jonesの"Sorry"を分析、「先住民」と「入植者」の交流の中での「罪」の意識の表出を考察した。協力者有満は研究会で知見を提供した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、2023年3月までに、各自が資料収集を開始し、分析を進め、論文を執筆する予定であった。またその論文執筆成果を報告するための研究大会の準備として、国内調査や対面での打ち合わせをする予定であった。 しかし新型コロナウィルスが未収束であったため、その影響により、所属機関の感染拡大防止の観点に基づく対面忌避の方針により、対面で予定していた研究打ち合わせや大会準備、大会の開催が延期された。 本研究の遂行上、対面での成果発表や打ち合わせ、研究方向性の確認が不可欠であったため、研究費を繰り越し(翌債)2023年度に予定していた打ち合わせや報告会を延期し、論文執筆も2023年に持ち越すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
・2023年度の全体の予定:2022年度に開催できなかった報告会や打ち合わせを2023年度に行い、論文執筆を完成させる。研究報告会や講演会を対面やオンラインで開催する。互いの研究進捗を報告し、ピア・レビューを行う。 ・2023年度の各自の予定:加藤は先住民作家Leah Purcellによる"The Drover's Wife"のアダプテーションについての論文を完成させる。移民・難民作家の実践的活動と作品の関連についてオーストラリアで面談調査を行う。一谷は刊行に向けてBehrouz Boochaniの翻訳を進める。また気候変動をはじめとする環境問題と植民地主義をテーマに作品を発表してきた先住民劇団マラゲクの行動主体性について考察する。小杉は太平洋諸島の作家やアーティストの作品分析に加え、先住民作家Alexis Wrightの"Praiseworthy"の分析に着手する。佐藤はアジア系作家の作品および文学理論に関する資料を収集・分析する。移民とホスト社会の関係性を描くMichelle de Kretserの作品を多文化主義の批判的再検討という視点から読み解き、成果を論文として発表する。オーストラリアでの調査を予定している。湊はGreg EaganのSFにおけるマイノリティの扱いを調査しつつ、Mudroorooを始めとするオーストラリア・マイノリティ作家のSF的表象についても考察する。三宅は引き続き主流側作家の作品分析を行う。現在取り組んでいるGail Jones作品内での変化の様子を確認し、研究の進捗によって他作家(Kate Grenville、Richard Flanaganなど)との比較を行い、作家個人以上に社会的な応答がいかに行われているかを分析していく。また、年度内にオーストラリア現地での資料収集を行う。
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