研究課題/領域番号 |
22H00658
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
佐藤 裕 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 教授 (80415174)
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研究分担者 |
山根 直人 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員 (60550192)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 特殊拍 / 言語発達 / 近赤外分光法 |
研究実績の概要 |
本研究では,日本語に特徴的にみられる長短母音や促音等を含む特殊拍の発達・獲得について,日本語を母語として学習しつつある乳幼児と日本語を外国語として学習している成人日本語母語話者を対象にして実験的に検討することが目的とされている。具体的には日本語の特殊拍を含む音韻対立刺激に対する乳幼児の脳反応の発達過程を調べ(実験1),特殊拍を語中に含む幼児語・育児語の音配列に注目し,それらの語への行動反応と脳反応との関係を乳幼児で縦断的に測定するとともに(実験2),この音配列が成人日本語学習者の特殊拍学習を促進させるかどうかを明らかにする(実験3)。 研究初年度において繰越申請を実施したが,本年度(2023年度)に予定通り配分された研究費に対しては,特に実験1と実験2を進めた。実験1に関して,これまでの脳反応測定の結果をまとめているところであり,各特殊拍に対する脳反応の発達的変化を比較しその違いを精査している。この実験の結果をまとめることで特殊拍に対する言語的な処理がいつ生じるのかを明示する意義が生じる。実験2に関しては,今年度に予備的な実験を実施し,刺激と反応測定のチェックを実施した。この実験に際して先行研究を今一度吟味をし,対象月齢について仮説を精査しており,予備実験とは異なる月齢児での測定を検討している。この実験により特殊拍の獲得を促進させる要因を行動実験結果と脳反応の両側面から明示できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の開始当初はコロナによる影響が残っており,本研究のように乳幼児を対象とする実験では実験に携わる人数が多くなるなどの制約から実験の遂行が困難であったものの,徐々に解消されつつあり,実験の遂行もスムーズになってきた。また,実験機材も揃うようになり今後の展開が予定通りに進むことが期待される。
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今後の研究の推進方策 |
実験1に関しては,4種の特殊拍を含む刺激対立(長短母音対立,促音/非促音対立,撥音を含む対立,二重母音を含む対立)に対する脳反応記録の解析は先述の通り進んでおり,必要に応じて実験を追加しつつ,それらの結果をまとめる予定である。 実験2に関しては,これまで実施していた乳幼児に対する行動実験を継続して実施する。現在,6ヶ月児を対象として実験を進めていたが,先行研究の吟味によりこの月齢に加えて,7ヶ月児での測定を実施することを研究分担者と議論した。この議論の結果,7ヶ月児の行動実験を実施を当面の間遂行する。また,7ヶ月児の行動実験の遂行後に,当該乳児が1歳直前(11ヶ月頃)及び,1歳2ヶ月になった際に脳機能測定を実施する予定で準備を進めている。 実験3については,測定・録音した実験刺激材料の加工及び刺激として使用するためのプログラミング等の準備を進めておりそれを継続する。
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