研究課題/領域番号 |
22H00676
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
土方 裕子 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (10548390)
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研究分担者 |
星野 由子 千葉大学, 教育学部, 准教授 (80548735)
清水 遥 東北学院大学, 文学部, 准教授 (20646905)
大野 真澄 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 准教授 (50704657)
卯城 祐司 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60271722)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | リーディング / 複数文章読解 / 眼球運動測定 / 発話思考法 / 設問形式 |
研究実績の概要 |
関連する複数の文章を合わせて読み、各文章の内容に加えて文章間の関係性を理解することは、日常生活や学術面において重要なスキルである。そのため、複数文章読解問題を出題する大規模テストも増えてきている。このような背景から本研究は、日本人英語学習者が複数の文章を読解するプロセスを、眼球運動測定および発話プロトコルという研究手法を用いて検証している。 2年目にあたる2023年度は、複数文章読解テストの解答プロセスを検証し、眼球運動測定を使った調査(調査1)および発話プロトコルを使った調査(調査2)を実施した。「単一の文章から正解が導ける問題(単一問題)」と「文章間の統合を必要とする問題(統合問題)」の比較、および統合問題の中で、二つの文章の「共通点」を問う問題と「相違点」を問う問題の比較、それぞれ正答に至る場合とそうでない場合の比較を通して、読解プロセスおよび理解問題への解答プロセスを精査した。 両調査において協力者は、英語読解熟達度テストおよび本調査のために作成された複数文章読解問題に解答した。複数文章読解問題は、導入文、4文から成る60語程度の文章二つ、4択の内容理解問題を1セットとして、16題(調査1)もしくは8題(調査2)が出題された。内容理解問題の半数は、提示された二つのうち一方の文章から正解が導ける「単一問題」で、残りの半数は文章間の統合を必要とする「統合問題」であった。統合問題では二文章の「共通点」を問う問題と「相違点」を問う問題が半数ずつ含まれた。文章セットに付随する単一問題と統合問題は、第1文~第4文の特定の文から解答が可能になるようにした。 複数文章読解問題への正答率は、一貫して高かった。複数文章読解・解答プロセスに関しては、問題形式を超えて共通する眼球運動の指標や方略使用が多く見られた反面、統合問題でのみ使用が多く見られる方略も見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
眼球運動測定を用いた調査と発話プロトコルの調査を行い、各調査の結果を全国英語教育学会における口頭発表と Architectures and mechanisms for language processing (AMLAP) におけるポスター発表にて報告した。2つの調査結果をまとめた論文は現在投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
2年目に得た知見を更に深めるため、3年目は統合設問の種類を増やした上で、複数文章読解過程を検証する予定である。今年度も眼球運動測定および発話プロトコルを用いて調査を行い、戻り読み回数や固視時間などの眼球運動データと、意図的な方略使用を合わせて、第二言語における複数文章読解プロセスについて検討を重ねる。
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