研究課題/領域番号 |
22H00684
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
泉 恵美子 関西学院大学, 教育学部, 教授 (10388382)
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研究分担者 |
長沼 君主 東海大学, 語学教育センター, 教授 (20365836)
アレン・玉井 光江 青山学院大学, 文学部, 教授 (50188413)
田縁 眞弓 京都光華女子大学, こども教育学部, 教授 (60646769)
黒川 愛子 帝塚山大学, 教育学部, 准教授 (50821526)
大田 亜紀 別府大学短期大学部, その他部局等, 教授 (80848614)
加藤 拓由 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (50848215)
森本 敦子 高野山大学, 文学部, 専任講師 (80911198)
倉田 伸 長崎大学, 教育学部, 准教授 (80713205)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | Can-Do評価 / 思考・判断・表現,学びに向かう力 / パフォーマンス評価 / ルーブリック / 小学校英語 / e-portfolio / ICT活用 / リタラシーの指導 |
研究実績の概要 |
今年度実施した研究内容は主に次の通りである。1.昨年度の研究成果の発表と普及を行った。また,学びに向かう力,自己調整学習をどのように育成するのかを考え,学習の3段階における教員の支援の在り方,e-ポートフォリオについて考えるワークショップを開催した。 2.中長期のスパンで,単元をつなぎ能力を育成すればよいのかを考えCan-Do評価尺度試案を開発した。その際,思考を促す活動の工夫と学びを促す活動の工夫を考え,[プラニング/予見][モニタリング/遂行統制][リフレクション/自己省察]の学習の3段階でいかに学習を進め,足場を掛ければよいのかも考え提案を行った。 3.公立小学校で汎用性の高いe-ポートフォリオを検討し,Can-Do評価を用いた形成的評価から総括的評価につなげるe-ポートフォリオの構築を模索し開発したものを用いて,3校で授業実践を行った。 4.デジタル教科書を用いて,いかに指導や評価を行えばよいかの提案を行った。特に,個別最適な学びと協働的な学びの在り方を模索し,自由進度学習などでどのようにタブレットを用いればよいかを検討し,Can-Do評価,パフォーマンス評価を取り入れることで,授業計画や指導がどのように変化し,授業が改善されるかを,公私立小学校の授業を通して検証を行った。単元目標やルーブリックを児童と共創したり,Can-Do指標を示したルーブリックを用いてパフォーマンス評価を行い,児童の振り返りシートを用いた自己評価も参考に,思考力 ・判断力・表現力を深める方法や,学びに向かう力が育っているかなど課題等を洗い出し考察した。 5.リテラシーの評価のあり方を継続して研究し,Can-Do評価を用いてどのように中・長期的に力を見取るのかについても検討を行った。教材やテスト問題等を開発し,公私立の小学校で実施した。HPの更新を随時行い,2023年度の中間報告書冊子を作成し掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度計画したことで,以下の内容が実施できたため。 2020年度より,学習指導要領が改訂され,デジタル教科書を用いたり,一人一台端末が配布され,新たな指導と評価の在り方が問われている。その中で,学習者用デジタル教科書を分析し,ICTを活用した汎用性の高いe-portfolioの作成に着手し,3つの公立小学校で実践・検証を行うことができた。また,これまでは単元内での活動設計とCan-Do評価尺度の作成を行ってきたが,中長期的に学びをつなぐ観点から,単元をまたいだ活動設計とCan-Do評価尺度を考案することができた。また,学びに向かう力を育成する視点から,学習の3段階における教師の支援と指導の工夫を考え提案することができた。 リタラシー指導に関しても引き続きボトムアップとトップダウンの両面から,指導と評価について検討し,Can-Doによる自己評価と能力の相関も分析したり,物語を用いた指導での振り返りの検証も行うことができた。さらに,個別最適な学びと協働的な学びを一体化させ学びに向かう力を育てるために,ルーブリックを共創したりバックワードデザインで各自の目標に向かって児童が自由進度学習を行う実践も進めることができた。 今年度も月1回のオンラインでの会合を重ね,「思考・判 断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」を4技能5領域でどのように指導・評価すればよいかについて議論を重ね,Can-Do評価尺度とルーブリックによるパフォーマンス評価について考案した。また,作成した尺度やルーブリックを用いた実践を公立や私立の小学校で研究協力者の先生方に行っていただき,その結果の報告と,研究分担者の研究論文も併せて冊子を発行し,HPにも掲載した。さらに,小学校英語教育学会近畿・京都大会を始め,学会での研究発表や,ワークショップを開催するなど,研究成果の公表や教員研修への貢献もすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では,デジタル時代における小学校外国語教育の評価について研究を行っているが,次年度教科書が新しくなり,児童用デジタル教科書が配布される。そこで,それらを分析するとともに,今年度着手したe-portfolioの開発と実証研究を行いたい。 また,小中の連携も視野に中学校1年の指導と評価についても考えたい。その際,「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」を育成するためのCan-Do評価を用いた自己調整学習の在り方をさらに深く探究する必要がある。主体的な学びと自律的な学びにつながる指導と評価のあり方を引き続き検討し,授業実践を通して児童の振り返りシート,教師の内省シートを中心に検証も行いたい。
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