研究課題/領域番号 |
22H00692
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉本 史子 (山田史子) 東京大学, 史料編纂所, 教授 (10187669)
|
研究分担者 |
鶴田 啓 東京大学, 史料編纂所, 教授 (10172066)
林 晃弘 東京大学, 史料編纂所, 准教授 (10719272)
立石 了 東京大学, 史料編纂所, 助教 (10848873)
稲葉 継陽 熊本大学, 永青文庫研究センター, 教授 (30332860)
箱石 大 東京大学, 史料編纂所, 教授 (60251477)
母利 美和 京都女子大学, 文学部, 教授 (60367951)
中村 覚 東京大学, 史料編纂所, 助教 (80802743)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | データベース / デジタライジング / 史料学 / 古文書学 |
研究実績の概要 |
本研究では、日本近世史の基幹的史料集について、その編纂における経験知をデジタル技術を活用しながら社会に還元し、紙媒体とデジタルデータの2つを両輪のように動かしていくことで、日本近世史料研究を深めることを目的とし、①デジタライゼーションによる史料研究、②史料所蔵機関との連携強化による社会連携、③研究交流による研究成果発信を行っている。 ①については、日本近世史基幹的史料集のデジタルデータ作成を集中的に行った。『大日本維新史料 類纂之部 井伊家史料』について、索引データの作成を進めて、史料編纂所のデータベースに12,151レコードのデータを登録・修正して公開したほか、未刊行原稿について381件のデジタルデータ化を行った。さらに、『大日本近世史料 細川家史料』第18巻本文のデジタルデータを作成し、データベースより公開した。また、後述のデジタライジング研究会で得た知見をもとに、オンラインによる会議を開催してデータベース改良方針を策定したほか、同研究会での報告を活かした「幕末維新史料・横断検索システム」を構築・公開した。 ②については、公益財団法人永青文庫と同文庫所蔵史料のデジタル公開方法について協議を深め、公開の準備作業として目録データの作成を進めたほか、同文庫所蔵史料に関するシンポジウムの開催について、熊本大学永青文庫研究センターと協議した。また、彦根城博物館と協力のうえ後述の国際研究集会「幕末維新史研究と井伊家史料」を開催した。 ③については、10月に国際研究集会「幕末維新史研究と井伊家史料」をオンラインにて開催したほか、12月には史料編纂所・同所維新史料研究国際ハブ拠点形成プロジェクト主催の国際研究集会「維新史料研究と国際発信」開催に協力した。また、デジタル技術やその課題に関する理解を深めるために、デジタライジング研究会を四回開催し、最新の知見を共有した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
①デジタルデータを順調に作成したうえで公開を実現でき、またデジタル技術を生かしたデータベース改良方法について具体的な協議を進められただけでなく、OCR技術を活用して幕末維新期の史料集を横断的に検索できる「幕末維新史料・横断検索システム」の構築・公開をも行うことができた。 ②データベースの公開準備作業やシンポジウムの開催準備を通して、各協力機関との連携関係を深めることができた。 ③国際研究集会「幕末維新史研究と井伊家史料」の開催を通して、基幹的史料集である『井伊家史料』についての理解を深め、最新の研究成果を共有・発信できたうえ、国際研究集会「維新史料研究と国際発信」の開催に協力したことで、史料編纂所維新史料研究国際ハブ拠点形成プロジェクトとの関係を深め、同プロジェクトが進める幕末維新期貴重史料の研究資源化や幕末維新史研究の英訳グロッサリー研究といった成果を共有することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
①引き続き日本近世史基幹的史料集のデジタルデータ化を進め、史料編纂所データベースから公開していくほか、2022年度に策定した改良方針に従って、データベース自体の改良を進めて、紙媒体の史料集との相互補完的な活用の実現による日本近世史料学の深化を目指す。 ②引き続き公益財団法人永青文庫や熊本大学永青文庫研究センターと協議しながら、永青文庫所蔵史料デジタル公開の準備を進めるとともに、協力してシンポジウムを開催し、永青文庫所蔵史料についての知見の社会還元を図る。また、『井伊家史料』のデータベース公開について彦根城博物館と連携を深め、より広い利活用を図っていく。 ③熊本大学永青文庫研究センターと共にシンポジウムを開催して、研究交流を深め、知見を共有する。また、引き続き史料編纂所維新史料研究国際ハブ拠点形成プロジェクトとの関係を深め、国際研究集会の開催に協力して本研究の成果も発信していく。デジタライジング研究会も2022年度に引き続き開催して、デジタル技術に関する理解を深め、デジタライゼーションの深化を目指す。
|