研究課題/領域番号 |
22H00735
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
田中 健太郎 東京都市大学, 理工学部, 准教授 (20792766)
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研究分担者 |
荘司 一歩 山形大学, 人文社会科学部, 講師 (00962747)
田副 博文 弘前大学, 被ばく医療総合研究所, 准教授 (60447381)
白井 厚太朗 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (70463908)
飯塚 毅 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70614569)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 文化財科学 / 地球化学 / 考古学 / 交易 / 同位体比 |
研究実績の概要 |
本研究では貝殻のネオジム同位体比を指標として、先史時代の遺物で見つかる貝殻加工品の産地判別法を開発することを目的とし、先史時代に貝殻加工品の素材として利用されていたオオツタノハとSpondylus属(ウミギク属)の現世試料のネオジム同位体比を産地ごとに比較して産地判別の指標として利用できるか検討する。また、貝殻加工品が土壌中に埋没していた期間に土壌、間隙水、貝殻の相互作用によって初生的な化学組成が時間とともに変化する続成作用を評価する方法を確立する。 前年度に屋久島や御蔵島などで採集されたオオツタノハおよびエクアドル沿岸で採取されたSpondylus属の貝殻を対象に、弘前大学で貝殻からネオジムを抽出する作業を行なった。東京大学の設備を利用しオオツタノハ試料の一部でネオジム同位体比を分析し産地ごとに同位体比を比較した。また、最終年度にむけて、代表者が所属する東京都市大学でも貝殻からネオジムを含む希土類を抽出するため、抽出作業に必要な設備と環境を整えた。 昨年度に引き続き、考古遺物として出土した貝殻と続成作用を受けていない同種の現生貝殻の微量元素濃度をLA-ICPMSを用いて分析・比較し、続成作用による元素濃度(マグネシウム、ストロンチウム、希土類など)の変化を明らかにした。特に土壌や間隙水と接触し続成作用を受けていた貝殻の外縁では元素濃度が変化しており、元素濃度の分析から続成作用を受けた部位を特定できることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現世貝殻試料の採集、ネオジム同位体比分析、続成作用の検討は当初の計画通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も計画に沿ってNd同位体比の分析と続成作用の検討をすすめる。とくにエクアドル沿岸の南北に広い範囲から採取されたSpondylus属の分析をすすめ、貝殻に記録されたNd同位体比の地域差を明らかにする。
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