研究実績の概要 |
本研究は、日本語で利用可能な芸術・文化財向けの専門辞書データを開発して、データ活用社会における文化・芸術情報の検索性向上とデータ活用・流通を促進する芸術情報基盤の構築をめざすものである。本研究では、多言語で利用可能な芸術・文化財向けの専門辞書データの開発に際し、ベースとなる辞書データは米国ゲティ研究所が開発を進めているArt & Architecture Thesaurus(AAT)を用いる。AATは、中国語やドイツ語、ポルトガル語など8カ国語以上に対応した多言語辞書データの整備が進められており、現在公開されているデータに日本語は含まれていない。本研究では全レコード件数41,457件のうち、データとして利活用の可能性がある見出し語(ラベル)及びノートと呼ばれる用語の解説文を対象に翻訳を進めている。なお、AATでは、オリジナルの辞書データに統合してもらうためにはラベルと解説文の翻訳に加えて、ラベルが実際に利用されている事を示す典拠情報を3件以上示す必要がある。 2023年度の辞書データ開発の活動結果は次の通りである。ラベルの翻訳数18,139件(前年比+2,480件)、解説文の翻訳件数2,923件(前年比+2,679件)、典拠情報の登録件数4,567件(前年比+4,157件)典拠情報は3件登録済みの用語は3,576件、2件登録済みは427件、1件のみの語は564件である。その他の活動として、本研究活動の取組を国際博物館会議ドキュメンテーション委員会の年次大会(ICOM CIDOC2023)で発表を行った。また、当該大会ではGetty AATの開発担当者が参加していたことから、日本語化に伴う日本特有の課題を報告するなど情報共有を行った。
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