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2023 年度 実績報告書

ポストコロナ社会におけるユニバーサルな展示案内システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22H00746
配分区分補助金
研究機関国立民族学博物館

研究代表者

日高 真吾  国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 教授 (40270772)

研究分担者 廣瀬 浩二郎  国立民族学博物館, 人類基礎理論研究部, 教授 (20342644)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードユニバーサル・ミュージアム / 視覚障害者 / 聴覚障害者 / 車いす利用者 / 自動運転モビリティー / ユニバーサルデザイン / 博物館 / 3Dプリンター
研究実績の概要

令和5年度は、令和4年度に引き続き展示展示案内システムの要件について、まず、視覚障害者の情報収集手段としての触覚と聴覚の役割、聴覚障害者と健常者の情報収集手段としての視覚と触覚の役割を整理した。その上で、健常者と障害者が同等に博物館展示を楽しめる展示案内システムのデザインの設計を進めた。
具体的には、視覚障害者対応の展示観覧システムの開発として「触る」という行為を展示観覧のきっかけとする展示案内システムとして開発を進めているDr.みんぱこを研究代表者らが所属する国立民族学博物館本館展示場の日本の文化展示場に仮設置した。そして、展示効果についてモニタリングを実施した。その結果、番組時間、解説内容についてより触察で得られる情報に特化したほうが良いとの検証結果を得ることができた。また、国立民族学博物館と協定を結び視覚障害者案内のメニューを実践しているみんぱくミュージアムパートナーズ、あるいは視覚障碍者サービスをおこなっている機関と協力し、日本の文化展示場における視覚障害者案内メニューを策定に取り組んだ。ここでは、令和4年度から開発を進めているモバイル型触知図との連携を目指していたが、触知図よりは音声ガイドの方が分かりやすいとの知見を得ることができ、計画の修正をおこなうことした。
また、聴覚障害者対応の展示観覧としては、国立民族学博物館で展開している字幕を付与したビデオテーク番組の観覧効果の検証を継続した。
車いす利用者、高齢者、視覚障害者対応の観覧システムとして導入を検討している自動運転モビリティーについては、安全に展示場内を観覧できるシステムへと鍛えた。
そのほか、ユニバーサル・ミュージアムを実践している博物館施設の情報収集の一環として、研究分担者の広瀬が実行委員長を務める「ユニバーサル・ミュージアムーさわる!触の博覧会」の巡回展を開催した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究課題は、ポストコロナ社会を見据えつつ、ユニバーサル・ミュージアムの視点に立った展示システムの開発を目指し、①現在の社会で敬遠されている「触
る」という行為をあえて展示観覧のきっかけとする展示案内システムの開発、②ポストコロナ社会のなかで、多くの人が安心して同じモノを触ることができる仕
組みについて提唱することを目的とするものである。
令和5年度は、展示案内システムを具体的に施行することとして、館内展示場に仮設置し、効果の検証をおこなった。
具体的には、視覚障害者対応の展示観覧システムの開発として「触る」という行為を展示観覧のきっかけとする展示案内システムとして開発を進めているDr.みんぱこの実機を日本の文化展示場で試験運用をおこなった。また、字幕付きビデオテーク番組の作成するとともに、自動運転モビリティー導入に向けたトライアルを実施し、本格運用の見通しを得ることができた。加えて、ユニバーサル・ミュージアムの実現に向けた活動を実践している研究分担者の広瀬は、自身が実行委員長を務めた国立民族学博物館の特別展「ユニバーサル・ミュージアムーさわる!触の博覧会」を岡山県立美術館に巡回展示し、その展示効果を検証した。

今後の研究の推進方策

令和6年度は、令和5年度に引き続き、展示案内システムの要件について、まず、視覚障害者の情報収集手段としての触覚と聴覚の役割、聴覚障害者と健常者の情報収集手段としての視覚と触覚の役割を整理する。その上で、健常者と障害者が同等に博物館展示を楽しめる展示案内システムのデザインを設計する。
具体的には、令和5年度に本の文化展示場に仮設置した「Dr.みんぱこ」の使用状況の分析結果をもとに、デザインや案内内容を見直し、試作品を製作し、検証する。「Dr.みんぱこ」とは、視覚障害者対応の展示観覧システムの開発として「触る」という行為を展示観覧のきっかけとする展示案内システムである。また、サウンドデザインの観点から設計を進めている音声ガイドのプロトタイプを制作し、検証する。これらの検証では、視覚障害者支援団体のたんぽぽの家と連携する。また、3Dプリンターを利用した複製品を積極的に展示観覧のツールとして利用している博物館関係者と意見交換をおこない、触察展示の意義について明らかにする。
聴覚障害者対応の展示観覧としては、国立民族学博物館で展開している字幕を付与したビデオテーク番組の観覧効果を検証する。また、車いす利用者、高齢者、視覚障害者対応の観覧システムとして導入を検討している自動運転モビリティーについては、音声ガイドと組み合わせた展示観覧システムを開発し、その効果について検証する。
そのほか、ユニバーサル・ミュージアムを実践している博物館施設の情報収集に努める。また、研究分担者の広瀬が実行委員長を務める「ユニバーサル・ミュージアムーさわる!触の博覧会」の振り返りをおこない、その効果を検証する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] 台湾/台北藝術大学/台湾(その他の国・地域)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      台湾/台北藝術大学/台湾
  • [国際共同研究] 台湾/大渓木芸生態博物館/台湾(その他の国・地域)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      台湾/大渓木芸生態博物館/台湾
  • [雑誌論文] 民俗文化財と保存科学2024

    • 著者名/発表者名
      日髙真吾
    • 雑誌名

      文化財科学

      巻: 88 ページ: 93-96

  • [雑誌論文] 地域博物館が所蔵する資料の保存と活用に関する一考察2024

    • 著者名/発表者名
      日髙真吾
    • 雑誌名

      国立歴史民俗博物館研究報告

      巻: 246 ページ: 63-98

    • 査読あり
  • [学会発表] 市民が担う文化財の保存と継承2024

    • 著者名/発表者名
      日髙真吾
    • 学会等名
      みんぱく創設50周年記念国際シンポジウム『博物館における資料保存の過去現在、そして未来』
    • 国際学会
  • [学会発表] 民俗資料の日常的な維持管理2023

    • 著者名/発表者名
      日髙真吾
    • 学会等名
      熊本県博物館ネットワークセンター研修
  • [学会発表] 「平成の百工比照」データベースからみた、工芸技術の継承におけるデジタルアーカイブの役割2023

    • 著者名/発表者名
      日髙真吾
    • 学会等名
      デジタルアーカイブ学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 三次元計測を活用した盛巌寺の津波碑の判読困難な文字情報取得の検証2023

    • 著者名/発表者名
      河村友佳子、日髙真吾、橋本沙知、和髙智美、天野真志
    • 学会等名
      日本文化財科学会第40回大会
  • [学会発表] 滋賀県大津市「おこぼまつり」の人形などの修理2023

    • 著者名/発表者名
      和髙智美、石井里佳、河村友佳子、橋本沙知、日髙真吾
    • 学会等名
      文化財保存修復学会第45回大会
  • [図書] 創造新社會Vol.3-地方文化與博物館的可能性2024

    • 著者名/発表者名
      日髙真吾・陳倩慧・黄貞燕・チョウチュンニ;編
    • 総ページ数
      169
    • 出版者
      国立民族学博物館日髙真吾研究室
  • [図書] 新たな社会創発を目指してVol.2-地域文化と博物館2024

    • 著者名/発表者名
      日髙真吾・チョウチュンニ;編
    • 総ページ数
      195
    • 出版者
      国立民族学博物館日髙真吾研究室
    • ISBN
      978-4-910433-43-1
  • [備考] 国立民族学博物館ホームページ

    • URL

      https://www.minpaku.ac.jp/post-project/33715

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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