デジタル社会における地図リテラシーの再構築

2022 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 22H00764
• 配分区分: 補助金
• 研究機関: 東京都立大学
• 研究代表者: 若林 芳樹 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (70191723)
• 研究分担者: 森田 喬 法政大学, その他部局等, 名誉教授 (60267325) ; 伊藤 香織 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (20345078) ; 瀬戸 寿一 駒澤大学, 文学部, 准教授 (80454502) ; 新垣 紀子 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (40407614) ; 石川 徹 東洋大学, 情報連携学部, 教授 (70436583) ; 有川 正俊 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (30202758) ; 矢野 桂司 立命館大学, 文学部, 教授 (30210305) ; 西村 雄一郎 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (90390707) ; 田中 雅大 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教 (00881880) ; 大西 宏治 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (10324443) ; 村越 真 静岡大学, 教育学部, 教授 (30210032)
• 研究期間 (年度): 2022-04-01 – 2025-03-31
• キーワード: 地図 / リテラシー / デジタル化 / GIS（地理情報システム） / 新技術

研究実績の概要

2022年度は5つのサブテーマに分けて下記のように分担して研究を進めた．（1）地図の作成・利用実態について，文献研究と並行して関係する団体や企業などから情報収集を行った．（2）空間認知研究で著名な研究者が参加する国際会議COSIT2022を日本で開催し，研究分担者の石川を中心にして本研究のテーマに関連する研究発表と情報交換を行った．また，関連する成果をSpringer社から英文図書として出版した．（3）既存のデジタル地図製品や機器・ソフトを基にデジタル地図の作成・利用に求められる技術的基盤を整理した．（4）文献調査を基にして，メディアとしてのデジタル地図のリテラシーの内容と構成を検討した．また，オンラインで収集した地図利用実態調査データを分析し，コロナ禍前後の変化を検討した．（5）高等学校「地理総合」の教科書の内容を分析するとともに，担当教員から情報収集を行い，学校での地図・GIS指導の実態について情報収集した．また，ハザードマップの利用についても地図リテラシーの観点から実験の準備を行った．国連・ICAのSDGs地図教材については，日本語化を進めているグループの支援を行った．
なお，当初の計画にはなかったが，東京都立大学の公開講座で「現代人のための地図リテラシー」を開講するとともに，地図の企画展示を開催してアウトリーチ活動を行った．

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

サブテーマごとに分担して，ほぼ計画通りに研究は進んでいる．分担者の間でオンラインのミーティングを開いて情報交換を行ったり，海外の研究者と情報交換も進められた．

今後の研究の推進方策

班ごとの分担課題について引き続きデータ収集と分析を行って検討を進めるとともに，研究成果の発表に努め，内外の学会や学会誌などで広く成果を公開する．

研究成果

• [雑誌論文] ハザードマップはハザード理解に資するか：地形図との対比と自然災害と地形の関係についての学習の効果 (2023)
  • 著者名/発表者名: 村越真・満下健太・小山真人
  • 雑誌名: 測量 巻: 73(2) ページ: 2-5
• [雑誌論文] 空間メディアとしての地理空間情報と3D都市モデル (2023)
  • 著者名/発表者名: 瀬戸寿一
  • 雑誌名: 新都市 巻: 77(1) ページ: 78-84
• [雑誌論文] 書評 半井真明著『まちの課題・資源を可視化する QGIS活用ガイドブック：基本操作から実践例まで』 (2023)
  • 著者名/発表者名: 瀬戸寿一
  • 雑誌名: 駒澤地理 巻: 59 ページ: 73-77
• [雑誌論文] GISの認識論と存在論に関する批判的議論の展開―クリティカルGISの哲学的側面― (2023)
  • 著者名/発表者名: 田中雅大
  • 雑誌名: 理論地理学ノート 巻: 23 ページ: 1-29
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] ポスト構造主義とGIS―そこに「断絶」はあるのか― (2023)
  • 著者名/発表者名: アグニエスツカ・レスツィンスキ著，田中雅大訳
  • 雑誌名: 理論地理学ノート 巻: 23 ページ: 41-60
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 存在論的であるということ―「ポスト構造主義とGIS：そこに『断絶』はあるのか」への応答― (2023)
  • 著者名/発表者名: ジェレミー・クランプトン著，田中雅大訳
  • 雑誌名: 理論地理学ノート 巻: 23 ページ: 61-66
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 地理情報科学を再物質化する (2023)
  • 著者名/発表者名: アグニエスツカ・レスツィンスキ著，田中雅大訳
  • 雑誌名: 理論地理学ノート 巻: 23 ページ: 67-73
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] 地図と私 地図というものの不思議さ (2022)
  • 著者名/発表者名: 森田喬
  • 雑誌名: 地図情報 巻: 42(3) ページ: 28?29
• [雑誌論文] 記号変換による地図の表象変化 (2022)
  • 著者名/発表者名: 森田喬
  • 雑誌名: 地図情報 巻: 42(4) ページ: 10?13
• [雑誌論文] 豪雨災害時の「避難意図」を高める小学校社会科授業の開発と効果の検証 ―博物館を活用して― (2022)
  • 著者名/発表者名: 望月 大・村越 真
  • 雑誌名: 防災教育学研究 巻: 2 ページ: 11-22
  • 査読あり
• [雑誌論文] Quality Assessment of Volunteered Geographic Information for Outdoor Activities: An Analysis of OpenStreetMap Data for Names of Peaks in Japan (2022)
  • 著者名/発表者名: Yamashita, J., Seto, T., Nishimura, Y. and Iwasaki, N.
  • 雑誌名: Geo-spatial Information Science 巻: - ページ: 1-13
  • DOI: 10.1080/10095020.2022.2085188
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Analysis of the spatiotemporal accumulation process of Mapillary data and its relationship with OSM road data: A case study in Japan (2022)
  • 著者名/発表者名: Seto, T., and Nishimura, Y.
  • 雑誌名: International Archives of the Photogrammetry, Remote Sensing and Spatial Information Sciences 巻: XLVIII-4/W1-2022 ページ: 403-410
  • DOI: 10.5194/isprs-archives-XLVIII-4-W1-2022-403-2022
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] データ駆動型社会における参加型まちづくりのためのデータ整備と活用 (2022)
  • 著者名/発表者名: 瀬戸寿一
  • 雑誌名: 自動車技術 巻: 76(7) ページ: 20-27
• [雑誌論文] Thematic Geo-Density Heatmapping for Walking Tourism Analytics using Semi-Ready GPS Trajectories (2022)
  • 著者名/発表者名: Iori Sasaki, Masatoshi Arikawa, Min Lu, and Ryo Sato
  • 雑誌名: 2022 IEEE International Conference on Big Data 巻: NA ページ: 4944?4951
  • DOI: 10.1109/BigData55660.2022.10020743
  • 査読あり
• [学会発表] 「地図の民主化」に向けたオープンな協働型マッピングの展開 (2023)
  • 著者名/発表者名: 瀬戸寿一
  • 学会等名: 2023年度日本地理学会春季学術大会
• [学会発表] Japanese Old Maps Online: Portal site, Map Warper and WebGIS (2023)
  • 著者名/発表者名: Yano, K.
  • 学会等名: NCC Next Generation Japanese Studies Librarian Workshop
  • 国際学会
• [学会発表] Integrating cultural resources on Virtual Kyoto: maps, photos and films from the past (2023)
  • 著者名/発表者名: Yano, K.
  • 学会等名: Tools of the Trade: The Way Forward
  • 国際学会
• [学会発表] Visualization of the distribution of areas of interest for foreign visitors and its change by using online geotagged (2022)
  • 著者名/発表者名: Bettaieb, B. and Wakabayashi, Y.
  • 学会等名: 2022年日本地球惑星科学連合大会
• [学会発表] オンライン調査に基づく地図利用へのデジタル化の影響の分析 (2022)
  • 著者名/発表者名: 若林芳樹
  • 学会等名: 2022年度日本地図学会定期大会
• [学会発表] 現在、過去、未来の京都の時空間を重ねる「バーチャル京都」 (2022)
  • 著者名/発表者名: 矢野桂司
  • 学会等名: 国際シンポジウム:「デジタル日本学」の可能性
• [学会発表] Japanese Old Maps Online for Promoting Digital Humanities (2022)
  • 著者名/発表者名: Yano, K., Natsume, M., Imamura, S. and Kamata, R.
  • 学会等名: DIGITAL HUMANITIES 2022
  • 国際学会
• [学会発表] Building GIS-based Place Name Directory of Japan for Promoting Spatial Humanities (2022)
  • 著者名/発表者名: Yano, K., Natsume, M., Takeuchi, M. and Kamata, R.
  • 学会等名: UGI-IGU PARIS 2022
  • 国際学会
• [学会発表] Construction of Open WebGIS for Archaeological Sites in Kyoto (2022)
  • 著者名/発表者名: Takeuchi, M. and Yano, K.
  • 学会等名: UGI-IGU PARIS 2022
  • 国際学会
• [学会発表] 文化財防災研究や歴史災害研究への発掘調査データベースの活用 (2022)
  • 著者名/発表者名: 武内樹治、矢野桂司
  • 学会等名: 第16回歴史都市防災シンポジウム
• [学会発表] 空間ビッグデータを用いた都市内人口分布の時空間的把握―「コロナ禍」の京都市を事例に― (2022)
  • 著者名/発表者名: 花岡和聖、矢野桂司
  • 学会等名: 2022年人文地理学会大会
• [学会発表] GIS を活用したバーチャル京都構築 (2022)
  • 著者名/発表者名: 矢野桂司
  • 学会等名: Web／3.0 メタバース勉強会
• [学会発表] コミュニケーションとコンピュテーション―英語圏人文地理学におけるデジタル地理学の展開― (2022)
  • 著者名/発表者名: 田中雅大
  • 学会等名: 2022年日本地理学会秋季学術大会 都市の社会・文化研究グループ
• [学会発表] インドアAR ナビゲーション実現のための基本フレームワークの提案と空間精度評価 (2022)
  • 著者名/発表者名: 大場康平，有川正俊，吉良翼，佐藤諒，佐々木一織，陸忞
  • 学会等名: 2022年度 情報処理学会東北支部研究会
• [学会発表] インドアAR ナビゲーションを対象とした動的ガイド表現の設計・実現・検証 (2022)
  • 著者名/発表者名: 吉良翼，有川正俊，大場康平，佐藤諒，佐々木一織，陸忞
  • 学会等名: 2022年度 情報処理学会東北支部研究会
• [学会発表] 都市空間の場所スケールを考慮した指向性ジオフェンスの提案・実装・検証 (2022)
  • 著者名/発表者名: 武田里音，佐々木一織，有川正俊，佐藤諒，陸忞
  • 学会等名: 2022年度 情報処理学会東北支部研究会
• [学会発表] 屋外AR ナビゲーションのための中長距離オブジェクトの表現方法の提案と検証 (2022)
  • 著者名/発表者名: 永石明日斗，陸忞，佐藤諒，佐々木一織，有川正俊
  • 学会等名: 2022年度 情報処理学会東北支部研究会
• [学会発表] 人間の意識距離を基本とした群衆歩行シミュレーションの体系化・実現・検証 (2022)
  • 著者名/発表者名: 和光佑紀，有川正俊，佐藤諒，佐々木一織，陸忞
  • 学会等名: 2022年度 情報処理学会東北支部研究会
• [図書] Ubiquitous Mapping: Perspectives from Japan (2022)
  • 著者名/発表者名: Wakabayashi, Y. and Morita, T. eds.
  • 総ページ数: 170
  • 出版者: Springer
  • ISBN: 978-9811915352
• [図書] 【新装版】山岳ナビゲーション (2022)
  • 著者名/発表者名: 村越真・小泉成行
  • 総ページ数: 127
  • 出版者: ピークス
  • ISBN: 978-4-8399-8062-7
• [図書] COSIT 2022: 15th International Conference on Spatial Information Theory (2022)
  • 著者名/発表者名: Ishikawa, T., Fabrikant, S. I., & Winter, S. eds.
  • 総ページ数: 316
  • 出版者: Germany: Dagstuhl Publishing
  • ISBN: 978-3-95977-257-0
• [学会・シンポジウム開催] 15th International Conference on Spatial Information Theory (COSIT 2022) (2022)