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2023 年度 実績報告書

融解する所有権意識―法意識論の再構成を踏まえて―

研究課題

研究課題/領域番号 22H00779
配分区分補助金
研究機関明治大学

研究代表者

松村 良之  明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (80091502)

研究分担者 木下 麻奈子  同志社大学, 法学部, 教授 (00281171)
今井 猛嘉  法政大学, 法務研究科, 教授 (50203295)
遠山 純弘  法政大学, 法務研究科, 教授 (70305895)
長谷川 晃  北海道大学, 法学研究科, 名誉教授 (90164813)
坂本 忠久  東北大学, 法学研究科, 教授 (60241931)
前田 智彦  名城大学, 法学部, 教授 (10292806)
森 大輔  熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(法), 准教授 (40436499)
高橋 脩一  専修大学, 法学部, 准教授 (80749614)
綿村 英一郎  大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (50732989)
村山 眞維  明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (30157804)
林 美春  千葉大学, 大学院社会科学研究院, 助手 (50292660)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード所有権 / 私的財 / 公共財 / 共同消費性 / 法態度 / シナリオ実験
研究実績の概要

実査班と法学法理論班との検討の結果、近代所有権法と対比するに当たって、人々の「素朴法律学」の研究対象としては、①所有権の主体(誰が所有権者となれるのか)、②所有権の内容(絶対性があるか)③所有と占有の分離の3点が重要であることがわかった。
③について。日本文化会議の複数の調査によれば、日本人は、契約対しては柔軟な態度をとっているのに、所有権に対しては比較的厳格な態度をとっている。松村はこの問題について、要因計画法に基づくシナリオ実験を行っているが、その再分析を行った。再分析の結果によれば、(i)所有権はそれなりに尊重されている。(ii)立て札・柵がない場合は、空き地利用を許容すべきとされる程度が共同体の外にいる所有者で大きくなっている。日本人は所有と占有の分離をある程度理解していて、所有権者が立て札・柵で自己の所有権を示すこと、つまり所有権の対外的な公示が重要あることが見いだせた。
①については、誰が所有権を有することができるかをWeb調査で探求した。この問題は一方で共同所有の問題と関連し、他方でAIの進化に伴う、所有像の変化と結びつく重要な問題であることが判明した。
②については、入会権に典型的に見られる権利の行使の限界、共同利用による制約と関わる問題であるが、この問題をミクロ経済学の観点から再構成した。そのうえで、公共経済学で言う排除可能性と共同消費性の有無に関わる操作変数を用いて一般人に対してシナリオ実験を遂行した。結果は現在分析中である。
また、所有感覚のなさと経済的不安が逸脱者に対する態度にどのような影響を及ぼすのかを社会心理学の枠組みを用いて、Web調査で検証した。

現在までの達成度
現在までの達成度

2: おおむね順調に進展している

理由

「研究実績の概要」で述べたように、上記①については、近代以前の所有権という回顧的な問題にとどまるものではなく、AIのような無生物の所有能力を構想する上でも大きな手がかりとなることがわかった。②については、所有権の絶対性、完全性を、公共経済学の枠組みと概念で捉え直すことにより、歴史的な問題ではなく、より普遍的な、法学的・社会的な問題として議論できることがわかった。③については、所有と占有の分離の根幹が「素人理論」の中では、所有権があることを示す外部から認識可能な明認方法の有無にあることがわかった。つまり、絶対性、完全性、抽象性を備えた近代法の所有権概念は、現実社会のものとは大きく異なっているのではないかという知見が得たれたということである。

今後の研究の推進方策

「現在までの進捗状況」で述べた知見を踏まえた上で、共同消費性の有無、排除不可能性の有無という基準によりつつ、公共経済学の枠組みで問題を問題を厳密に再構成したうえで、24年度に予定されているWeb調査のリサーチデザイン、操作変数などを確定し、実査を行う予定である。さらに、所有と占有の分離については、法律学的な比喩で言えば、「明認方法」の有無を手がかりに、別のWeb調査に依りつつ、「素人理論」を明らかにする。その際、所有権の主体(何が所有権の主体となり得るのか。人に加えて、組織自体、無生物ーーー例えばペット---、ロボット、AI)についての設問も取り込む。その知見は、近代法以前の問題ではなく、組織、AIなどの所有能力をどう考えるかという将来的な法学上の重要な問題に関わる。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 1件、 査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Human Dignity as a Global Common Good2024

    • 著者名/発表者名
      Hasegawa, Ko
    • 雑誌名

      R. Gotoh, ed., Dignity, Freedom, and Justice; to be shortly published by Springer Verlag,

      巻: - ページ: -

    • 国際共著
  • [雑誌論文] アメリカにおける不法行為請求権の譲渡に対する制約 ―不法行為法の2つの目的からの考察―2024

    • 著者名/発表者名
      髙橋脩一
    • 雑誌名

      法学

      巻: 87(4) ページ: 70-98

  • [雑誌論文] 続『日本人の法意識』はどのように変わったか―2022年調査を踏まえて―2024

    • 著者名/発表者名
      松村良之・木下麻奈子・前田智彦・森大輔
    • 雑誌名

      北大法学論集

      巻: 74(4,5,6) ページ: 1-40

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] II 弁護士選択にかかわる情報 2 離散選択実験による分析2024

    • 著者名/発表者名
      森大輔
    • 雑誌名

      法と社会研究

      巻: 9 ページ: 127-130

  • [雑誌論文] 代理占有と間接占有2023

    • 著者名/発表者名
      遠山純弘
    • 雑誌名

      法学志林

      巻: 121(1) ページ: 133‐151

  • [雑誌論文] ある法科大学院の日常風景から(占有)-理論と実務の架け橋として-2023

    • 著者名/発表者名
      遠山純弘
    • 雑誌名

      法政法科大学院紀要

      巻: 19(1) ページ: 41-50

  • [雑誌論文] アメリカの信託における強制仲裁条項の効力を巡る近年の展開2023

    • 著者名/発表者名
      髙橋脩一
    • 雑誌名

      アメリカ法における相続プランニングと信託(トラスト未来フォーラム研究叢書)

      巻: 94 ページ: 121-153

  • [雑誌論文] 所有権に対する法態度について―契約に対する法態度との対比で2023

    • 著者名/発表者名
      松村良之
    • 雑誌名

      法と社会研究

      巻: 8 ページ: 159-179

  • [雑誌論文] 法態度はどのように変わったか―契約に関する融通性,素朴道徳感情,厳罰志向への態度を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      木下麻奈子
    • 雑誌名

      法と社会研究

      巻: 8 ページ: 117-131

  • [雑誌論文] [パネルディスカッション]私法の学習のあり方について考える 指定討論者からのコメント2023

    • 著者名/発表者名
      木下麻奈子
    • 雑誌名

      法と教育

      巻: 13 ページ: 133-136

  • [雑誌論文] インターネット調査による契約意識再訪―サーベイ実験の報告を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      前田智彦
    • 雑誌名

      法と社会研究

      巻: 8 ページ: 133‐146

  • [雑誌論文] 護士報酬と弁護士の選択の関係―離散選択実験を用いた分析2023

    • 著者名/発表者名
      森大輔
    • 雑誌名

      日本法社会学会編『法社会学の最前線』有斐閣

      巻: - ページ: 128-147

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 特集・学界回顧2023 法社会学2023

    • 著者名/発表者名
      久保秀雄・郭薇・土屋明広・橋場典子・森大輔
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 95(13) ページ: 213-222

  • [雑誌論文] マスク着用と飲食店の新型コロナ対策に関する調査―サーベイ実験と離散選択実験を用いて2023

    • 著者名/発表者名
      森大輔
    • 雑誌名

      熊本法学

      巻: 158 ページ: 266-225

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Policing, Labor Market, and Crime in Japan: Evidence from Prefectural Panel Data2023

    • 著者名/発表者名
      Nomura Tomokazu、Mori Daisuke、Takeda Yoshiki
    • 雑誌名

      Asian Journal of Criminology

      巻: 18 ページ: 297-326

    • DOI

      10.1007/s11417-023-09403-z

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 転売に対する人々の道徳的判断と法態度―サーベイ実験―2023

    • 著者名/発表者名
      森大輔
    • 雑誌名

      法と社会研究

      巻: 8 ページ: 147-158

  • [学会発表] Discrepancy between the public's attitude toward scalping and the ideas of economists and legal scholars: Analysis using survey experiments in Japan.2023

    • 著者名/発表者名
      Daisuke Mori,
    • 学会等名
      KGU Law and Economics Workshop
    • 国際学会
  • [学会発表] 法意識調査における留置調査とインターネット調査の結果の比較2023

    • 著者名/発表者名
      森大輔
    • 学会等名
      日本法社会学会2023年度学術大会

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公開日: 2024-12-25  

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