研究課題/領域番号 |
22H00784
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 中央学院大学 |
研究代表者 |
中川 淳司 中央学院大学, 現代教養学部, 教授 (20183080)
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研究分担者 |
福永 有夏 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (10326126)
梅島 修 高崎経済大学, 経済学部, 教授 (40806379)
米谷 三以 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 客員教授 (50424768)
田村 暁彦 政策研究大学院大学, 政策研究センター, 客員研究員 (70815430)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 持続可能性(sustainability) / 持続可能な開発目標(SDGs) / 国際通商法 / WTO / 自由貿易協定(FTA) |
研究実績の概要 |
本研究は、自由化を基軸として成立した戦後の国際通商法システムが深刻な正当性危機に陥っているとの認識を出発点とする。そして、持続可能性(sustainability)を基軸として国際通商法システムを再構築することを通じて、正当性危機を克服する可能性を追求し、国際通商法システムの再構築に向けた国内外の議論を喚起することを目指す。 本年度は、研究の初年度であり、「持続可能性を基軸とする国際通商法システム」の意義を明らかにする作業を進めた。第一に、持続可能性の概念を包括的に整理した国連の持続可能な開発目標(SDGs)を取り上げ、その目標・ターゲットと国際通商法システムとの関連を整理した。 SDGsは国際通商法システムの構成要素に言及するが、(a)取り上げられる構成要素が多角的貿易機構であるWTOに偏っている(WTOバイアス)、(b)WTOの活動の中でも途上国メンバーの利害関心の高いテーマに偏っている(途上国バイアス)、(c)途上国の関心事項の中でも産品輸出に偏っている(輸出バイアス)、という偏りが見られる。そこで、これらの偏りを克服するため、(a)WTO以外の国際通商法システムの構成要素に関わる目標・ターゲットを追加する、(b)WTOの活動で、途上国の利害関心の高いテーマ以外の活動に関わる目標・ターゲットを追加する、(c)WTOの活動で、産品輸出以外の途上国にとって重要なテーマとして、サービス貿易と貿易円滑化を取り上げ、これらに関わる目標・ターゲットを追加する、という作業を行った。持続可能性に関わる国際通商法システムの基盤として、これらの作業によって増補・改訂したSDGsの全体像を提示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究の初年度であり、「持続可能性を基軸とする国際通商法システム」の意義を明らかにする作業を進めた。第一に、持続可能性の概念を包括的に整理した国連の持続可能な開発目標(SDGs)を取り上げ、その目標・ターゲットと国際通商法システムとの関連を整理した。これは初年度の研究課題として研究計画に記載した活動である。 SDGsを所与として受け止めるのではなく、持続可能性を基軸とする国際通商法システムの全体像との関連に留意しながら、SDGsの増補作業を行い、作業結果を英文のディスカッションペーパーに取りまとめることができた。したがって、本研究課題は当初の研究計画に沿っておおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
第二年次は、研究計画に沿って、持続可能性の観点から主要な国際通商協定を分析・評価する作業を進める。初年度の研究成果として作成した増補版のSDGsを分析・評価のテンプレートとして使用する。持続可能性の3本柱(経済・社会・寛容)とそれを細分化した項目をSDGsから抽出し、各項目に照らして主要な国際通商協定の内容を分析し、持続可能性という目標を達成する上での有効性という尺度で評価する。分析・評価結果を、持続可能性の観点から見た国際通商協定のデータベースとして取りまとめることを目指す。作業が膨大となるため、研究分担者に分析・評価する国際通商協定を割り当て、個別の国際通商協定の分析・評価結果を総合する。
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