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2022 年度 実績報告書

国際連盟期の国際紛争解決に関する思想と実践

研究課題

研究課題/領域番号 22H00785
配分区分補助金
研究機関関西大学

研究代表者

西 平等  関西大学, 法学部, 教授 (60323656)

研究分担者 豊田 哲也  国際教養大学, 国際教養学部, 教授 (40436506)
権 南希  関西大学, 政策創造学部, 教授 (90570440)
福島 涼史  追手門学院大学, 准教授 (70581221)
笹部 剛史 (若月剛史)  関西大学, 法学部, 准教授 (30625744)
樋口 真魚  成蹊大学, 文学部, 講師 (00822793)
沖 祐太郎  九州大学, 法学研究院, 専門研究員 (90737579)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード国際連盟 / 国際連盟理事会 / 平和的紛争解決 / 平和維持 / 調停 / 国際紛争 / 安全保障 / 平和構想
研究実績の概要

国際連盟期の紛争解決手続の意義を、同時代の平和構想に即して再検討することが本研究課題全体の目的です。初年度である2022年度には、連盟の当時において理事会の紛争解決実践がどのように理解されていたのかを確認するため、1920年代に出版された研究を検討しました。とりわけ、当時の代表的な研究書であるThe T. P Conwell-Evans, League Council in Action (Oxford University Press, 1929)については、定期的な研究会を継続的に開催し、研究参加者全体でその内容について十分に議論を行うことができました。その結果、国際連合憲章第7章に基づく強制措置を担う現在の安全保障理事会とは異なり、1920年代の連盟理事会には、紛争当事国を説得して平和的な解決を実現する役割が期待されていたことが分かりました。
連盟理事会の紛争解決についての歴史的・理論的な研究を進める一方で、その成果を、現在の問題との関連において社会に還元してゆくことにも努めました。ロシアによるウクライナ侵略という事態に直面し、平和の維持に関する国際法の意義について長期的な視野から考察する必要が生じています。そのため、私たちは、国際紛争が強度の武力衝突に至らないように制御してゆくために、国際法や国際組織がどのような役割を果たしてきたのかを検討する事例研究を、多くの国際法研究者に呼び掛けて開始しました。その成果は、『法律時報』の連載(「紛争が戦争とならないために:領域支配をめぐる対立の制御における国際法の役割」)として、2022年4月号より、順次、公表されています。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

初年度は、基本的な文献の講読と検討を通じて、研究参加者の間で問題関心と研究視角の共有を図る予定であった。研究代表者・分担者の間で、オンラインによる月に2回程度の研究会を2022年10月から継続的に実施したことにより、この目的は十分に達成された。
それにとどまらず、広く外部の国際法研究者に呼び掛けて、紛争制御における国際法の役割について再検討する研究会を定期的に開催し、歴史的文献の検討を通じて得た理論的課題を、現代的な問題と関連づけて研究したこと、そして、その成果を『法律時報』において公表する機会を得たことは、当初計画していた以上の進展であった。

今後の研究の推進方策

問題関心の共有と研究視角の共有については、一通りの作業を終えた。2023年度は、それを前提に、連盟理事会が実施した国際紛争解決事例を個別的に検討する。そのために、それぞれの研究代表者・分担者に重要事例を割り振り、その検討結果を全員で討議することにより、初年度の研究で得た知見について、精度の向上を図りたい。連盟理事会の紛争解決事例については、少なくとも国際連合体制下では体系的に研究がなされてこなかったため、現代的な視点から行われたこの事例研究を順次、公表してゆくことも検討している。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 1件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 領域国際法の不確定性とコソボ紛争の余韻2023

    • 著者名/発表者名
      豊田哲也
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 95巻1号 ページ: 127-132

  • [雑誌論文] コルフ島事件(1923年)における国際法の多層性 : 囲い込まれた復仇2023

    • 著者名/発表者名
      福島 涼史
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 95巻2号 ページ: 76-81

  • [雑誌論文] 自決原則に基づく分離要求への国際連盟理事会の対応 : オーランド諸島帰属問題(1920年)2022

    • 著者名/発表者名
      西平等
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 94巻12号 ページ: 103-109

  • [雑誌論文] 国際法はいかにして紛争の制御に寄与するか : 連載の企画趣旨に代えて2022

    • 著者名/発表者名
      西平等
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 94巻11号 ページ: 102-109

  • [雑誌論文] Controversy on protectorate : A case study on the practical meaning of European international law doctrines in East Asia2022

    • 著者名/発表者名
      Nishi Taira、Toyoda Tetsuya、Kawazoe Rei、Kwon Namhee、Wakatsuki Tsuyoshi
    • 雑誌名

      ノモス = Nomos

      巻: 50 ページ: 1~11

    • DOI

      10.32286/00026966

    • 国際共著
  • [雑誌論文] 国際法史におけるグローバル法理論の可能性 : 一元論・二元論の原意について2022

    • 著者名/発表者名
      西平等
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 94巻4号 ページ: 65-70

  • [雑誌論文] リベラルな理想の世界とリベラルでない現実の私たち : ロールズ『万民の法』をどう読むか2022

    • 著者名/発表者名
      西平等
    • 雑誌名

      図書(岩波書店)

      巻: 887号 ページ: 28-31

  • [雑誌論文] 企画趣旨 特集 グローバル法vs国際法 : 国内における実現の場面から2022

    • 著者名/発表者名
      西平等
    • 雑誌名

      法律時報

      巻: 94巻4号 ページ: 7-9

  • [学会発表] 隠された結論:カール・シュミットのグロースラウム理論について2022

    • 著者名/発表者名
      西平等
    • 学会等名
      国際法学会2022年度研究大会
  • [学会発表] 集団安全保障の時代? :第一次世界大戦後の国際秩序と日本外交2022

    • 著者名/発表者名
      樋口真魚
    • 学会等名
      東アジア近代史学会第27回研究大会・大会シンポジウム
  • [学会発表] Universality and Europeanity of the Modern Delimitation of Territories2022

    • 著者名/発表者名
      豊田哲也
    • 学会等名
      国際法学会2022年度研究大会
  • [図書] 日本近・現代史研究入門2022

    • 著者名/発表者名
      松沢 裕作、高嶋 修一、若月剛史ほか
    • 総ページ数
      366
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      4000615610
  • [図書] 昭和史研究の最前線2022

    • 著者名/発表者名
      筒井清忠、樋口真魚ほか
    • 総ページ数
      328
    • 出版者
      朝日新聞出版
    • ISBN
      402295194X

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公開日: 2023-12-25  

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