研究課題/領域番号 |
22H00792
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安田 拓人 京都大学, 法学研究科, 教授 (10293333)
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研究分担者 |
岡田 幸之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40282769)
安藤 久美子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (40510384)
樋口 亮介 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90345249)
小池 信太郎 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (60383949)
酒巻 匡 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (50143350)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 責任能力 / 機序 / 司法精神医学 |
研究実績の概要 |
2022年度においても、研究代表者・分担者による個人研究と、司法研修所における裁判官を交えたメンバーによる意見交換を、有機的に関連付けながら研究を推進した。 とりわけ、岡田幸之「法律家による刑事責任能力判断のための機序読解方法論 : 8ステップ構造モデル理論を超えて」判例時報2537号74頁以下及び安田拓人「刑事責任能力の本質とその具体的判断」判例時報2538号120頁以下は、2022年度における研究の集大成である。前者は、従来岡田が提唱してきた8ステップ論を一歩進め、法律家が検討すべき点にまで踏み込んで、議論を展開したものであり、刑法学の側に大きなチャレンジをもたらす成果であり、後者は、精神の障害が犯行をもたらした影響の機序を捉える際に理論的に重視されるべき点につき、重要な提言を行ったものであり、それぞれ大きな反響を呼んでいるところである。 また、代表者の安田は、9月に、メンバー外の司法精神医学者4名および刑法学者3名と、副理事長を務める法と精神医療学会の特別企画としての座談会を行い、その準備過程における精神医学側との意見交換も含め、視野を広げる貴重な機会を得た。この成果は、法と精神医療誌に年度内に公表される予定であったが、刊行の遅延により、2023年度初めに刊行されることとなっている。 そのほか、代表者の安田は、安田拓人「責任能力」法学教室500号77頁以下において、伝統的な他行為可能性論を基礎とした責任能力論に対抗する言説に対し、批判的なレビューを行い、今後の研究の方向性を再確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の安田において、重要な法律雑誌に2本の論説を公表し、学際的学会である法と精神医療学会の座談会を共同司会者として取り仕切り、重要な提言を行うなど、重要な成果を上げたほか、分担者の岡田において、理論研究者も実務家も必読となるべき論説を公表しており、これだけでも優に1年分の成果として十分なものと言える。 そのほか、司法研修所における共同研究では、メンバーでない若手研究者からプレゼンテーションを受けて議論する機会を持つことにより、より若い世代の問題意識を取り込む工夫もしており、法政大の佐野文彦准教授や慶應義塾大の竹川俊也講師とのコラボレーションも順調であることも、付言しておきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度において、分担者の岡田は、判例時報誌において、とりわけ制御能力の意義につき重要な提言を行い、いわばボールを刑法学研究者の側に投げかけた状態にある。 すでに2022年度末に、司法研修所における共同研究において、岡田をプレゼンテーターとして研究会を行い、メンバーで問題意識と今後の課題を共有しているが、2023年度はこれを受けて、とりわけ行為を合理的にコントロールしていく能力をどのように責任能力論に位置付けるかにつき、突っ込んだ検討を行う必要がある。 すでに分担者の樋口は、これを不法能力として位置付けるアイデアを示しているが、2023年度においては、こうした問題意識を深化させる必要がある。 コロナの影響も無視できる程度に至っており、予定された海外調査も含め、2023年度も引き続き、個人研究と共同研究を有機的に組み合わせ、研究を一層推進していく所存である。
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