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2022 年度 実績報告書

原子力エネルギー政策の変容に対応する放射性廃棄物等の管理・処分に関する法政策研究

研究課題

研究課題/領域番号 22H00798
配分区分補助金
研究機関早稲田大学

研究代表者

下山 憲治  早稲田大学, 法学学術院, 教授 (00261719)

研究分担者 大島 堅一  龍谷大学, 政策学部, 教授 (00295437)
大坂 恵里  東洋大学, 法学部, 教授 (40364864)
除本 理史  大阪公立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60317906)
神戸 秀彦  関西学院大学, 司法研究科, 教授 (70195189)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード原子力エネルギー政策 / 放射性廃棄物 / 核燃料サイクル政策 / トランスサイエンス問題 / アダプティブ手法 / 処分場立地選定
研究実績の概要

本研究は、調査研究・総括班、法的手法研究班及び経済的手法・環境正義研究班という研究体制で実施した。国内外の最新知見の整理と論点整理、研究者間における基礎概念に関する認識や理解を共有化すべく研究会等を開催するとともに、東アジア、ドイツの研究者等との連携とその深化を目指し、意見交換等を行った。さらに、実情を踏まえた適切な制度を構想するため、福島県等において放射性廃棄物処理の課題を含めて、ヒアリング調査等を行った。
研究統括チームは、ドイツの法制度・立法の動向や取り組み状況、実情等に関し、2022年8月にドイツの環境法研究者により、ドイツのエネルギー政策と課題などに関する報告を中心としたワークショップ(オンライン)等を行った。また、原子力施設と地下水・地質の関係について、米国における高レベル放射性廃棄物処分に関する法制度と現状について研究報告会を行った。
法的手法研究班は、意思決定を可能な限り可視化、住民参加手続を含む合理的な決定プロセスの分析・検討を行うに当たり、公法・民事に特有の手法の共有、課題を抽出等を行った。その成果は、損害賠償制度や原子力のリスク処理に関する法的検討・費用負担、原子力規制機関の独立性、透明性や中立性についてのまとめ、原子力法制に関わる危機管理手法の検討等の成果にまとめられた。
経済的手法・環境正義研究班では、トランスサイエンス問題や世代間倫理、長期に及ぶリスク管理などに関し、原発事故と財政、汚染廃棄物の再生利用、原発事故リスクと自己責任などに関する研究等の成果を公表した。
最後に、機構・組織班は、放射性廃棄物処分に関する国および地方、研究者・研究機関との関わり等を含めて、ドイツなど国際比較研究と立法動向等を把握し、また、日本の現行法制度を検討し、次年度に向けた基礎的作業として行政機構等の論点・課題の整理等を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要および研究発表等に記したように、研究協力体制の基盤整備等を目指し、韓国および台湾とドイツ研究者との意見交換等を実施した。また、研究成果も福島原発事故に関わるものを中心にまとめられており、本研究プロジェクトの初年度としては順調に進展していると思われる。海外の動向調査・研究についてドイツ人研究者の報告を中心としたワークショップの開催、ドイツ、台湾および韓国の研究者と意見交換を行い、研究交流やワークショップ等の開催など次年度に向けた取り組みを協議した。
地下水・地質に関連する問題などについて地質学研究者のほか、アメリカにおける高レベル放射性廃棄物処分に関する動向に関する法学研究者による報告と質疑を通じて、これらに関する論点の明確化、課題の共有化など認識が深まった。

今後の研究の推進方策

2023年度以降、ドイツおよび台湾・韓国の制度や動向について研究者等との意見交換等を継続するとともに、とりわけ、日本を含めた各国・地域のエネルギー政策の動向と放射性廃棄物処理状況およびその手続等の法制度について2024年度中に中間報告を行うためのワークショップ等の開催に向け、研究の進展・充実化をする予定である。また、福島における放射性廃棄物処理の問題と事故に対する責任の問題とは相互に関連するため、双方の問題領域を見据えて検討を進める。加えて、ドイツ、台湾および韓国など、研究連携・交流を密にし、情報共有と積極的な研究展開をはかることができるように進める予定である。

  • 研究成果

    (18件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件) 図書 (4件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] 台湾・国立中興大学法律専業学院(その他の国・地域)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      台湾・国立中興大学法律専業学院
  • [雑誌論文] 福島第一原発事故損害賠償千葉訴訟第一陣控訴審判決2022

    • 著者名/発表者名
      大坂恵里
    • 雑誌名

      新・判例解説watch : 速報判例解説

      巻: 31 ページ: 95-98

  • [雑誌論文] 福島原発事故対応における政府間財政関係―費用負担アプローチの観点から2022

    • 著者名/発表者名
      藤原遥・大島堅一
    • 雑誌名

      日本地方財政学会研究叢書

      巻: 29 ページ: 121-142

  • [雑誌論文] 汚染廃棄物の再生利用問題2022

    • 著者名/発表者名
      大島堅一
    • 雑誌名

      原子力資料情報室通信

      巻: 579 ページ: 4-7

  • [雑誌論文] 鼎談 この国は原発事故からどのように教訓を学んだのか(下)復興に見え隠れするものと福島が問いかけること2022

    • 著者名/発表者名
      大島堅一・馬奈木厳太郎・吉田千亜
    • 雑誌名

      前衛

      巻: 1021 ページ: 113-137

  • [雑誌論文] 福島第一原子力発電所事故におけるリスクと自己責任をめぐる論点2022

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 雑誌名

      社会学年年報

      巻: 51 ページ: 49-51

  • [学会発表] How Have the Japanese Courts Been Dealing with the Risks Associated with Nuclear Power Since Fukushima?2022

    • 著者名/発表者名
      Eri Osaka
    • 学会等名
      Asian Law and Society Association
    • 国際学会
  • [学会発表] 東日本大震災における『不均等な復興』と復興政策の課題2022

    • 著者名/発表者名
      除本理史・服部育代・林美帆
    • 学会等名
      日本学術会議公開シンポジウム、日本学術会議防災減災学術連携委員会・防災学術連携体、
  • [学会発表] 原発避難者の『語りづらさ』とエンパワーメント――岡山県における『2つの公害をむすぶ』取り組みについて2022

    • 著者名/発表者名
      除本理史・服部育代・林美帆
    • 学会等名
      日本災害復興学会
  • [学会発表] 原発会計をめぐるレトリック2022

    • 著者名/発表者名
      除本理史
    • 学会等名
      進化経済学会「制度と統治」部会2022年度研究会
  • [学会発表] コメント:東アジアの原子力安全規制機関の国際比較ー独立性と透明性の視点から2022

    • 著者名/発表者名
      下山憲治
    • 学会等名
      環境経済政策学会
  • [学会発表] 日本における公害・環境法の展開と環境権の位置づけ2022

    • 著者名/発表者名
      下山憲治
    • 学会等名
      日台国際シンポジウム―健康・環境法制(台湾・国立中興大学)
    • 国際学会
  • [学会発表] 危機に対応する手法の在り方―制度設計の観点から―2022

    • 著者名/発表者名
      下山憲治
    • 学会等名
      日本公法学会
  • [図書] 東アジアの環境政策と課題(執筆題目「東京電力福島第一原子力発電所事故後に行われた除染によって生じた除去土壌の再生利用政策とその問題」pp.33-56)2023

    • 著者名/発表者名
      北川秀樹編(大島堅一執筆)
    • 総ページ数
      202
    • 出版者
      日本評論社
  • [図書] 平成司法改革の研究―理論なき改革はいかに挫折したのか(執筆題目「原発事故賠償に見る民事司法制度」pp.159-178)2022

    • 著者名/発表者名
      須網隆夫編(大坂恵理執筆)
    • 総ページ数
      398
    • 出版者
      岩波書店
  • [図書] 環境法のロジック(執筆題目「環境リスク管理における費用負担」pp.61-80)2022

    • 著者名/発表者名
      小賀野晶一・黒川哲志編(大坂恵理執筆)
    • 総ページ数
      322
    • 出版者
      成文堂
  • [図書] 原発ゼロ社会への道(執筆題目「奪われたものの評価、賠償」pp.46-50)2022

    • 著者名/発表者名
      原子力市民委員会編(除本理史執筆)
    • 総ページ数
      256
    • 出版者
      インプレスR&D
  • [備考] 2022年「臺日健康與環境法」國際論壇

    • URL

      http://law.nchu.edu.tw/news/detail/961

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公開日: 2023-12-25  

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