研究課題/領域番号 |
22H00874
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
倉田 久 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (20508428)
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研究分担者 |
田名部 元成 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 教授 (10313462)
鈴木 香織 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (60508571)
松井 美樹 放送大学, 教養学部, 教授 (70173789)
成島 康史 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70453842)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 過剰サービス / 顧客満足 / 業務持続性 / サービスオペレーション / ゲーミングシミュレーション |
研究実績の概要 |
令和4年度は4年間の研究プロジェクトの初年度であり,モデル構築期と位置付けている.主としてサービスオペレーションやサービス価値分析の先行研究調査と基本的数理モデルの構築に取り組んだ.モデル構築ための活動としては,定期的な勉強会の実施,学術大会における最新サービス研究の動向調査,有識者との意見交換を中心に活動した. 本研究はモデル分析を主たる分析技法とする研究代表者に,実証分析,数理最適化,応用数学,ゲーミングシミュレーションなどの多彩なバックグラウンドを持つ分担者が参加している.更には横浜国立大学ビジネスシミュレーション研究拠点と連携体制が出来上がっている.よって,初年度である令和4年度は,個々のメンバーが自己の領域を中心にそれぞれの研究活動を続け,今後それらを当科研費プロジェクトが目指すサービス課題に統合していこうとする複数の課題をコンカレントに同時遂行する研究プロジェクトとして実行した. 具体的には,毎月1回開催される当該プロジェクトの運営会議と勉強会にて研究活動の進捗確認と研究アイデアに関する意見交換や協働を実現した.このプロセスを進めることで,新規性と学際性を持つ着想を得て,本年度の目標である分析モデルを確立していった.更には前述のシミュレーション研究拠点のイベントでの報告や,各メンバーが関連する学術組織での学会発表や論文投稿を実施し,計14件の学術発表と計11本の論文報告(プロシーディングズ含む)が実現された. 特色のある対外的な研究発信活動としては,2022年8月のP&OM 2022 Nara国際大会での発表,やはり8月のYBGユーザ会議でのビジネスシミュレーション関係者への研究紹介,そして10月開催の日本経営工学会秋季大会におけるサービス研究多様性をテーマにしたオーガナイズドセッションの企画・運営,12月には横浜国大にて開催した講演会が挙げられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では,初年度である令和4年度には,(1)数理モデルの構築; (2)サービス科学の先行研究調査; (3)中間成果発信と有識者からのフィードバックの獲得,といったプロジェクトの基礎になる活動を行う予定であった.緩和の方向に向かっているとは言え, 未だCovid-19蔓延の影響が残る為,実地調査や海外渡航はできるだけ避け,国内の学術大会参加と文献・データベース調査を中心に情報収集活動を行うことになった. 具体的には,当プロジェクトのメンバーが深く関わっている日本経営工学会と経営情報学会の全国大会を中心として研究発表や意見交換を行った.特に,当科研費のメンバーが所属する横浜国立大学ビジネスシミュレーション研究拠点が主催するYBGユーザ会議でのプロジェクト紹介は他の参加者からの反響も大きく有意義であった.結果,令和4年度にはプロシーディングスを含む論文採択11本,国内大会発表14本という成果を残せた.同時に研究代表者と研究分担者の計5名は普段から毎月の運営会議と勉強会で意見交換やモデル構築作業に従事している.以上の活動は当初の研究計画の準じたものであり,2023年度以降の活動計画に繋がるものである.よって, 令和4年度の研究活動は順調な進捗であったと結論できる. 確かに,令和4年度には未だにCovid-19蔓延の影響が残る為,海外出張を伴う学会参加や遠隔地での会議・イベントへの参加に制限が掛かり,当初の計画通りに行かなかった部分があったことは否定できない.ただしオンライン活用などによる必要な情報入手ができ,基本的なモデルが実際に構築でき,ある程度の数の成果発信が出来た事実に,プロジェクトが遅れているという懸念は残らない.
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今後の研究の推進方策 |
当研究プロジェクトの第2年次(令和5年度)はモデル実践期として,初年度に構築した 数理モデルを用いて現実のサービス問題の分析を開始する.現実の過剰サービス関連の問題をモデルに当てはめ分析し,実企業のサービス業務を改善・効率化を支援する戦略を提案する.同時に,数理モデルの精度向上や特定の経営課題に特化した発展型モデルの構築にも尽力することが主たる計画となる.特に令和5年度には経営工学分野の専門家を新たに研究分担者に追加することで,より強力な研究体制が確立し,より意義のある成果を出せると期待できる. 学術面での方策としては,前述の多彩なメンバーがシナジーを発揮するために,横浜国立大学にて当科研費プロジェクトの運営会議と勉強会が既に毎月開催されている.対外的な活動計画としてはメンバーが深く関与する日本経営工学会と経営情報学会の全国大会での研究発表,オーガナイズセッションの企画,他の研究者や 実務家との意見交換を計画する.更には今年12月に開催される国際会議ACMSA2023での研究発表も企画し,海外の研究者との交流と国際的な研究発信を目指す.同時に,上記学術団体の学会論文誌,および欧米の学術論文誌への投稿を計画する. 研究成果の社会発信に関する方策としては,令和5年度には本研究プロジェクトはサービス研究の第一人者をお招きした講演会を企画する.既に第1回目の講演者とは調整済みで今年令和5年度6月開催を計画する.また,横浜国立大学の公認研究拠点であるビジネスシミュレーション研究拠点の活動と共同する形式でビジネスゲームの会合であるYBGユーザ会議での発表や意見交換も予定する.これらの活動ではアカデミックな情報交換や成果報告のみならず,企業や社会に対する研究成果の発信や実務家からのフィードバックも期待されており,令和6年度以降の研究応用に結び付けていく予定である.
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