研究課題/領域番号 |
22H00880
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
須田 敏子 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (70387992)
|
研究分担者 |
森田 充 青山学院大学, 国際マネジメント研究科, 教授 (30453492)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 人事施策 / 人事に関する意思決定権 / 制度環境 / 技術環境 / ジョブ型・マーケット型人事 / 国際比較 / 制度派組織論 / 制度企業家 |
研究実績の概要 |
2022年度の研究実績について、文献研究・定量研究・定性研究の3つの面について研究実績を記載する。 (1)文献研究 (1-1)ジョブ型・マーケット型人事に関する実態把握のため、英米を中心に欧米諸国と日本の動向に関する文献研究を行う(研究代表者・須田敏子)。(1-2)人的資本の構築など人的資本経営の実現策としての戦略人事に関する文献(研究代表者・須田敏子)。 (2)定量研究 (2-1)2017年実施の外資系企業対象の「人事部門の組織と機能に関するサーベイリサーチ」を基に、資本国籍による違いなどに関する論文を International Labour and Employment Relations Association 2022 European Conference に投稿し、アクセプトを受ける(研究代表者・須田敏子。(2-2)2016年実施の日本市場上場企業対象と2017年実施の外資系企業対象の2つの「人事部門の組織と機能に関するサーベイリサーチ」を基に論文を作成。British Academy of Management 2023 Conferenceに投稿し、アクセプトを受ける(研究代表者・須田敏子)。(2-3)ISOの30414基準で開示された人的資本を対象に、人的資本が資本コストに与える影響を分析。日本応用経済学会2022年度秋季大会で発表(研究分担者・森田充)。 (3)定性研究:日本におけるジョブ型・マーケット型人事の実態を知るべく、英米を中心に欧米における1990年代以降のトレンドと現状に関する文献調査とデータ収集を行う。日本についても全体動向と企業事例に関する文献調査を行う。日本企業対象のケーススタディを計画。2023年度に入り、武田薬品工業、日立製作所、東京エレクトロン、テルモ、三菱マテリアル、すかいらーくなどにアプローチを行う(研究代表者・須田敏子)。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の研究実施計画で示したテーマについて以下のように進展している。 (1)「人事部門の組織と機能に関する調査」について:2017年実施・外資系企業対象調査を基に分析を行い、論文化。International Labour and Employment Association 2022 European Conferenceに投稿し、アクセプトを受ける(発表はコロナのため断念)。2016年・2017年実施の日系企業対象調査と外資系企業対象調査を基に分析を行い論文化、British Academy of Management 2023 Conferenceに投稿し、本資料執筆時点では査読結果を待っている状況。 (2)ジョブ型・マーケット型人事に関する研究:書籍化を目指し、英米を中心とした欧米データの収集、日本企業のジョブ型・マーケット型人事の動向を知るために文献研究を行う。その結果、出版社の企画会議をとおり、書籍化が決定した。日本企業のケーススタディのための収集を行った結果、武田薬品工業、日立製作所、東京エレクトロンなどケーススタディ候補とした。本資料執筆時点で、武田薬品、日立製作所、東京エレクトロン、テルモ、三菱マテリアルからケーススタディの承認を得ている。 (3)人的資本に関する研究 (3-1)文献研究:人的資本構築方法について、これまでの戦略人事研究に基づき、人材ポートフォリオ、資源ベース型戦略論などから分析を行う。ジョブ型・マーケット型人事の次の書籍化を目指している。(3-2)定量研究:ISO30414基準に基づき人的資本が投資コストに与える影響を分析し、結果を学会で発表。 (4)ダイバーシティ&インクルージョンに関する研究:理論分析と実態調査(主に定性ケーススタディ)を行い、学会発表と学会誌掲載を果たす。
|
今後の研究の推進方策 |
本科研費研究の残りの期間である2023~2026年度の4年間の推進方法は以下のとおり。 (1)多国籍企業の海外子会社に影響を与える2つの要素である資本国籍(home country effect)と活動する社会が与える影響(host country effect)に関する2つのサーベイリサーチ、2017年実施の「人事部門の組織と機能に関するサーベイリサーチ」と、2021年度実施の「外資系企業の人材マネジメントに関するサーベイリサーチ」の分析と発表を進める。内容は、2つのサーベイリサーチと他のデータから、日本企業の海外子会社に対する人事面でのコントロール度合いが低いことがわかっており、この原因分析。資本国籍以外に海外子会社のコントロール度合いを決める他の要因分析などがある。 (2)サステナビリティ重視経営を対象に、サステナビリティ重視という制度環境の形成・普及メカニズムの分析、サステナビリティ重視の経営環境が人事分野(人事施策と人事機能)に与える影響、ESG,SDGs,コーポレートガバナンスコードなどさまざまなサステナビリティの具体的内容が経営に与える影響、など多様な方向から分析を行う。 (3)ジョブ型・マーケット型人事の普及を対象に、ジョブ型・マーケット型人事の普及メカニズムに関する分析(制度派組織論・補完性分析など)、ジョブ型・マーケット型人事進展度合いに関する英米を中心とした欧米諸国と日本の比較、など多様な方向から分析を行う。 (4)ダイバーシティ&インクルージョンに関する理論分析と実態調査を進めていく。これまでに、ダイバーシティ&インクルージョンの普及メカニズムを制度理論と資源ベース型戦略論から分析してきており、さらに理論面での補強を行っていく。同時に、理論分析が実際の企業で行われているかの実態調査(主に定性ケーススタディ)も引き続き行う。
|