• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実績報告書

釜ケ崎史料アーカイブの実装による都市下層の歴史社会学

研究課題

研究課題/領域番号 22H00910
配分区分補助金
研究機関大阪公立大学

研究代表者

櫻田 和也  大阪公立大学, 大学院文学研究科, 都市文化研究センター研究員 (70555325)

研究分担者 川野 英二  大阪公立大学, 大学院文学研究科, 教授 (20335334)
原口 剛  神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40464599)
谷合 佳代子  大阪公立大学, 人権問題研究センター, 特別研究員 (40915675)
吉村 智博  大阪公立大学, 都市科学・防災研究センター, 都市科学・防災研究センター特別研究員 (70599282)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード釜ケ崎 / アーカイブ / 都市問題 / 近現代史 / 社会調査史
研究実績の概要

大阪市西成区の旧字・釜ヶ崎は社会問題の集積点として近現代を通じて断続的に調査研究の対象とされてきた。しかし今、地域では厖大な未公表資料が忘却・劣化・損失・散逸の深刻な危機にある。研究グループでは先行の課題以来そうした資料収集につとめ、釜ケ崎史料アーカイブとして目録化に着手し、公表可能なものを精選の上で復刻資料集を編纂してきた。
戦後編前期の刊行はその成果であるが、そこに収録できたのは収集資料の一部に過ぎない。なお写真フィルム等現物をふくむ断片的な資料の扱い、権利処理等の法的・技術的または運用上の課題があり、公表には倫理的な配慮が求められた。
他方、研究途上発見された大阪社会学研究会の調査一次資料からは、従来の時代区分および社会病理学の再考が迫られている。目下、戦後編後期の編纂と併行して「寄せ場」研究を通時的な「都市下層」研究史に再定位すべく歴史的相対化に資するアーカイブの実装と、地理・歴史・社会調査法、図書館情報学の専門的視点から複眼的な歴史社会学を構想している。
そのため本年度は戦後のバラック調査にはじまる事例の詳細を土田英雄文書に読み解き、社会病理学に対する批判としての「寄せ場」研究に照らし、1920年代の大阪市社会部調査以来の「都市下層」研究史に再定位した。また1970年代以降の定点観測写真を1950年代以降の記録写真に対照し、釜ヶ崎地域の通時的な空間的変遷を辿りつつある。さらに同年代に釜ヶ崎入りした無党派活動家の知られざる交流を個人文書等に見出し、全港湾資料との対比をふまえて、労働者・活動家への聴きとり調査を重ねている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

復刻資料集(戦後編後期)編纂上の課題に順次とりくみ、資料の選定および複写を計画的に進めている。

今後の研究の推進方策

次年度は戦後編後期の刊行に向けて、いわゆる「暴動」の頻発した1960年代以降「釜共闘」結成期を経て日雇労働運動の定着した1970年代にかけての紙誌資料、ビラ・貼り紙類の網羅的なデジタル複写と復刻にあたる。また戦後バラック調査の延長で周辺地域の業者別名簿を作成した土田英雄文書が古書市場に流通したので、追加入手して空間的変遷を検証する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 総力戦体制期の厚生事業と山口正 : 戦時厚生論への転回過程を中心に2023

    • 著者名/発表者名
      吉村 智博
    • 雑誌名

      関西大学人権問題研究室紀要

      巻: 85 ページ: A1~A17

    • DOI

      10.32286/00028139

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 《新刊紹介》蛭田廣一 編『地域資料サービスの展開』『地域資料のアーカイブ戦略』2022

    • 著者名/発表者名
      谷合 佳代子
    • 雑誌名

      図書館界

      巻: 74 ページ: 148~149

    • DOI

      10.20628/toshokankai.74.2_148

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 流民のカルトグラフィ : 筑豊から釜ヶ崎への回路2022

    • 著者名/発表者名
      原口 剛
    • 雑誌名

      現代思想

      巻: 50(13) ページ: 253~262

  • [学会発表] 釜ケ崎史料アーカイブ : 調査史の方法としての個人文書と写真記録2022

    • 著者名/発表者名
      櫻田 和也; 川野 英二; 原口 剛; 谷合 佳代子; 吉村 智博
    • 学会等名
      日本社会学会
  • [図書] 近代大阪の都市周縁社会 : 市民・公共・差別2022

    • 著者名/発表者名
      吉村智博
    • 総ページ数
      234
    • 出版者
      近現代資料刊行会
    • ISBN
      9784863643482

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi