研究課題/領域番号 |
22H00931
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
田中 きよむ 高知県立大学, 社会福祉学部, 教授 (00253328)
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研究分担者 |
玉里 恵美子 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 教授 (40268165)
霜田 博史 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (50437703)
中川 善典 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (90401140)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地方のホームレス / 見えにくい貧困 / 生活困窮者支援 / 地域共生社会 / SDGs |
研究実績の概要 |
本研究は、地方におけるホームレスの実態把握を正確におこない、支援方法を実証的に明らかにすることを目的とする。とくに地方においては、分散・移動型のホームレスが見られる。しかし、厚生労働省調査においては、とくに地方では目視調査しかおこなわれていない。 そこで、本研究は、地方におけるホームレスの正確な人数と生活実態を当事者への支援や見守りを兼ねた聞き取り調査によって明らかにすることにより、目視調査によっては把握されていない地方のホームレスの存在と生活実態を示すことを目的としている。 2022年度においては、厚生労働省調査による地方における目視調査ではホームレスの正確な実態把握ができないことを明らかにするために、個別聞き取り調査を高知市内の中心市街地でおこなった。その結果、厚労省調査では、高知県におけるホームレスは、2022年(1月)4名、2023年(1月)2名と公表されているが、われわれの高知市内市街地のみの夜回り調査においては、2022年1~12月の月1回の調査で多い時は7名、2023年1~3月の月1回の調査で多い時は5名であった。しかも、2022年1月~2023年3月の期間においてわれわれが始めたシェルター事業(2部屋)の利用者は11名、相談のみの方は8名(いずれも狭義のホームレスのみ)であった。そのように、厚労省の目視調査では、地方のホームレスは過少評価になることを明らかにした。 また、ホームレスの適切な支援方法を明らかにするために、北九州市や横浜市、東京都、ソウル近郊での先進的な取組みをおこなっている団体の視察・聞き取り調査をおこなった。その結果、医療・福祉専門職など職種との緊密な連携が図られており、それによって必要な専門的支援が受けられていること、見守り支援においては、個人情報を聞き出すよりも時間をかけて信頼関係を構築することの重要性が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来のホームレス支援方法の問題点や不十分さを地方に即して明らかにすることはできたが、より詳細な実態調査とそれをふまえた適切な支援内容・方法を明らかにすることが今後の重要な研究課題として残されている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、より具体的な実態調査を進める。具体的には、①年齢と出身地、②ホームレス歴、③ホームレスに至る生活歴、④家族構成と現在に至る家族関係、⑤現在の生活状況(住民登録状況、就寝場所、体調、就労状況、収入、日常生活の概況、生活手段の確保方法、人づきあい等)、⑥生活上の困りごとや不安、⑦今後の暮らしの希望と支援課題、等を確認する。 そのうえで、アセスメント(課題分析)をおこない、課題解決に向けて、フオーマルなサービスとインフオーマルな支援の両面から、行政や社会福祉協議会、医療機関、相談支援機関、市民活動団体等との協議をふまえ、連携に基づく支援モデルを構築するための支援方法を考察する。その成果については、論文発表や学会発表を通じて公表する。
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