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2022 年度 実績報告書

社会的養護を18歳未満で措置解除された若者の重なり合う困難と家族形成に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 22H00937
配分区分補助金
研究機関佛教大学

研究代表者

長瀬 正子  佛教大学, 社会福祉学部, 准教授 (20442296)

研究分担者 伊部 恭子  佛教大学, 社会福祉学部, 教授 (90340471)
谷口 由希子  名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (80449470)
新藤 こずえ  上智大学, 総合人間科学部, 准教授 (90433391)
永野 咲  武蔵野大学, 人間科学部, 講師 (10788326)
松本 伊智朗  北海道大学, 教育学研究院, 教授 (20199863)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワード社会的養護 / 退所者 / ケアリーバー / 健康リスク / 家族形成 / 最困難層
研究実績の概要

2022年度は、本研究の目的である児童養護施設等で育った若者の健康リスクと家族形成のプロセスについて下記のように研究をすすめてきた。
【調査1】養育者・支援者への面接調査を実施する予定であったが、新型コロナ下における児童福祉現場におけるクラスターの危険性等から対面での調査実施は難しく実施に至らなかった。
【調査2】退所者を継続的に追跡するパネル調査では、永野・長瀬が大分県で実施されるケアリーバー調査に参画し、県内の退所後10年のケアリーバー調査対象の質問紙調査および、インタビュー調査に参画した。質問紙調査では把握しきれないケアリーバーの困難をインタビュー調査によって把握できる可能性、その分析方法について多くの示唆を得ることができた。
【調査3】妊娠・出産・子育てを経験した退所者への面接調査については、特に女性支援にかかわる3つの若者・女性支援現場に専門的知識の提供を受けることができた。具体的には、社会的養護にとどまらない若者支援を継続的に行っており、かつ2018年度から社会的養護自立支援事業を受託した京都市ユースサービス協会、トラウマに特化した女性支援および居場所の運営をおこなう暮らしのコツ研究所、婦人保護施設のなかでも出産をふくめた支援を行う慈愛寮である。児童福祉・医療・精神保健等の分野を超えた横断的な支援という視点、トラウマ等社会的な理解が十分でない点が、家族を頼ることができない女性の困難につながっているという学びを得ることができた。
【調査4】海外訪問調査については、永野・長瀬がサポーターとして参与する社会的養護の当事者参画を進める団体IFCAとの交流のなかで、アメリカの社会的養護事情に触れ、調査実施の方向について検討を続けている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度は、本研究の目的である児童養護施設等で育った若者の健康リスクと家族形成のプロセスについて明らかにするため、【調査1】養育者・支援者への面接調査を実施予定であったが、新型コロナの影響もあり実施できていない。
一方、【調査2】については、大分県のケアリーバー調査に参画したこともあり、調査設計を検討することができ、具体的な実施の方向性がみえてきている。
【調査3】妊娠・出産・子育てを経験した退所者への面接調査については、調査設計に時間を要しているが、3か所の専門的知識の提供を受け、本研究班で取り組むべき対象および課題が明確になりつつある。
【調査4】についても、2024年度訪問に向けて順調に情報収集することができている。

今後の研究の推進方策

2023年度以降は、本研究の目的である児童養護施設等で育った若者の健康リスクと家族形成のプロセスについて下記のように研究をすすめていく予定である。
【調査1】養育者・支援者への面接調査を実施する予定である。自立援助ホーム調査研究委員のメンバーがおられる自立援助ホームを対象に調査実施をすすめ、18歳以下の若者の困難事例を中心に何が困難をもたらすリスクとなっているのか、何が課題であるのかを深めていく。
【調査2】退所者を継続的に追跡するパネル調査では、千葉県がケアリーバー調査を実施予定とのことで、大分県のケアリーバー調査の知見を援用しながら、質問紙調査およびインタビュー調査をすすめていく。パネル調査を実施していくとともに、各地方におけるケアリーバー調査結果の比較を含め検討をしていく。
【調査3】妊娠・出産・子育てを経験した退所者への面接調査については、【調査1】の困難な事例にかかわる調査実施とあわせて女性ならではの困難さにどのようなものがあるかという点に着目しながらすすめていく。また、先行研究における女性ならではの困難さについても併せて情報収集していく。
【調査4】海外訪問調査については、永野・長瀬がサポーターとして参与する社会的養護の当事者参画を進める団体IFCAとの交流のなかで、アメリカの社会的養護事情についての情報収集をすすめるとともに、本科研班の問題意識をもとに具体的な海外訪問先を選定していく。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (10件) (うちオープンアクセス 4件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 社会的養護経験者がふりかえるケアに関する評価―全国調査の自由記述回答から―2023

    • 著者名/発表者名
      伊部恭子
    • 雑誌名

      佛教大学 社会福祉学部論集

      巻: 19 ページ: 115-136

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 児童養護施設で生活する子どもの主体的な選択と支援の仕組み―子どもの意見表明権に着目して―2023

    • 著者名/発表者名
      谷口由希子
    • 雑誌名

      人間文化研究

      巻: 39 ページ: 57-68

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 子ども家庭庁設置の意義とその課題―子どもの権利の観点から―2023

    • 著者名/発表者名
      谷口由希子
    • 雑誌名

      福祉のひろば

      巻: 278 ページ: 30-35

  • [雑誌論文] 子どもの「声」を聴くって?―子どもの権利の視点から考える―2023

    • 著者名/発表者名
      長瀬正子
    • 雑誌名

      ちいさいなかま

      巻: 733 ページ: 87-95

  • [雑誌論文] Child and young adult care leavers with disabilities in social care in Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Kozue Shindo
    • 雑誌名

      上智大学社会福祉研究

      巻: 47 ページ: 56-76

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 社会的養護を必要とする若者の現状から児童福祉を考える ―「困難な状況にある層」に注目して―2022

    • 著者名/発表者名
      長瀬正子
    • 雑誌名

      世界の児童と母性

      巻: 91 ページ: 11-15

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 子どもに権利を伝えるということ―『子どもの権利ノート』の進展と課題―2022

    • 著者名/発表者名
      長瀬正子
    • 雑誌名

      子どもの虐待とネグレクト

      巻: 24巻1号 ページ: 21-28

  • [雑誌論文] コロナ下で子どもに権利を伝える絵本をつくる ― 国連・子どもの権利委員会の声明をもとに―2022

    • 著者名/発表者名
      長瀬正子
    • 雑誌名

      支援

      巻: 12 ページ: 19-31

  • [雑誌論文] 第16回全国大会基調講演 なぜ、どのように、子どもの貧困を問題にするのか2022

    • 著者名/発表者名
      松本伊智朗
    • 雑誌名

      学校ソーシャルワーク研究

      巻: 17 ページ: 2-15

  • [雑誌論文] 思春期・若年期女性の自立をめぐる困難 : 札幌市若年女性調査を通して2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤 奈月・加藤 弘通・Hou Yuejiang・松本 伊智朗
    • 雑誌名

      生活指導研究

      巻: 39 ページ: 21-31

  • [学会発表] 子どもの権利を保障する制度と保育実践 ―子どもの意見表明権に着目して―2022

    • 著者名/発表者名
      谷口由希子; 長瀬正子; 浅田明日香; 藤井美保
    • 学会等名
      日本保育学会第72回大会自主シンポジウム
  • [学会発表] 「子どもに権利を伝える」とは―福岡市の実践に学ぶ―2022

    • 著者名/発表者名
      長瀬正子
    • 学会等名
      日本子ども虐待防止学会第28回学術集会ふくおか大会
  • [学会発表] 困難な状況にある子どもたちの 「サイン」に五感を研ぎ澄ませて -スクールソーシャルワーク実践から-2022

    • 著者名/発表者名
      新藤こずえ
    • 学会等名
      日本感性教育学会
  • [図書] 子ども白書20222022

    • 著者名/発表者名
      日本子どもを守る会
    • 総ページ数
      192
    • 出版者
      かもがわ出版
    • ISBN
      4780312329
  • [備考] 気持ちを手がかりに「子どもの権利」を知り、 子どもとおとなの対話の機会をつくる

    • URL

      https://bukkyo-u-research.jp/research/research17/

  • [備考] 声をきかれてこなかった人たちとともに

    • URL

      https://www.musashino-u.ac.jp/feature/interview/28_nagano/

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公開日: 2023-12-25  

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