研究課題/領域番号 |
22H00944
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桧垣 正吾 東京大学, アイソトープ総合センター, 助教 (50444097)
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研究分担者 |
伊藤 茂樹 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 教授 (80402395)
廣田 昌大 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 准教授 (50443073)
西 弘大 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (10719496)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放射性核種 / 体内動態 / 食品添加物 / SPECT / イメージング |
研究実績の概要 |
ヨウ素は体内に移行すると、ホルモンとして甲状腺に集積することが知られている。放射性ヨウ素は医療分野で有益な一方で、健康な人が体内に取り込み体内被ばくすると、甲状腺癌や機能低下症を誘発するなどの影響がある。医療分野では、患者の呼気から飛散したものを医療従事者や介護する家族が吸入することが懸念される。原子力災害では I-131 などが気体として大気中に放出される。作業者や原発周辺の住民が、吸入して被ばくした事例が福島原発事故でも報告され、特に小児の甲状腺癌発生率増加が懸念された。事故対策として、近隣住民や作業者に安定ヨウ素剤が配付される。安定ヨウ素剤は医薬品であり、副反応として急性アレルギー反応や甲状腺ホルモンの分泌異常による中長期の健康影響が指摘されているが、代替品はない。食品添加物として用いられている化合物の吸収阻害機能が確認できれば、安定ヨウ素剤の代替として利用できる。アレルギーや甲状腺疾患等のため服用が困難な者に対して特に有効である。 今年度は、放射性ヨウ素とα-シクロデキストリン溶液を経口投与したマウスにおいて、放射性ヨウ素の吸収抑制をSPECTによる直接測定で明らかにした。24時間後の甲状腺への放射性ヨウ素の取り込み量は、コントロール群に比べて約40%減少した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験で得られた結果を裏付ける成果が得られた。また、当初予定より早く論文が完成し、英文誌に投稿できた。
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今後の研究の推進方策 |
マウスを用いた in vivo 実験により、放射性核種投与後 1, 3, 6, 24時間経過後などに SPECTライブイメージングを行って体内挙動を追跡する。そして、画像解析技術を活用して、効果を定量評価する手法を主とする。 前年度の研究成果を踏まえ、包接作用を吸収阻害に適用する場合の最適な投与量、投与タイミングの決定に関する実験を行い、最適な条件を詳細に決定する。
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