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2022 年度 実績報告書

資源豊富な葉緑素と天然鉱物を複合化したケミカルフリーの高耐久グリーン着色材の創製

研究課題

研究課題/領域番号 22H00947
配分区分補助金
研究機関静岡大学

研究代表者

河野 芳海  静岡大学, 工学部, 准教授 (50334959)

研究分担者 福原 長寿  静岡大学, 工学部, 教授 (30199260)
冨田 靖正  静岡大学, 工学部, 教授 (50303532)
松田 靖弘  静岡大学, 工学部, 准教授 (40432851)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードクロロフィル / 銅クロロフィリン / ハイドロタルサイト / 界面活性剤 / 分散性 / 層状構造 / 複合体
研究実績の概要

本研究は,天然色素として豊富に存在する葉緑素を安全な色材として利用するため,これを適切な無機層状空間に配置し,その安定性の飛躍的な向上を目指すものである。当該年度の研究実施計画に従い,葉緑素の発色部位である色素クロロフィリンを,アニオン交換性粘土の性質を有する層状鉱物ハイドロタルサイトの層間に取り込む技術を確立した。
色素の複合化そのものは単純なアニオン交換で可能であるが,層間での色素分子の凝集が避けられず,得られる複合体はくすんだ色合いとなる。そこで,クロロフィリン色素とともにアニオン性界面活性剤分子をハイドロタルサイト層間に共挿入することで,層間での色素分子の凝集を防止し,鮮やかな発色を見せる複合体の開発に成功した。しかし,界面活性剤分子が層間に入ることにより,本来挿入されるべきクロロフィリン色素の複合化量が低下して,得られる複合体の色合いが薄くなる問題が生じた。このため,共挿入する界面活性剤の比率をさまざまに調整した複合体を試作し,色素の複合化量の低減を抑えつつ,最適な色素分散性が得られる導入量を確定した。
用いる界面活性剤のアルキル鎖の長さが,クロロフィリン色素分子の分散性に及ぼす影響を調査した。短鎖のアルキル基は色素分子の分散性向上に全く効果を示さず,層間への界面活性剤の導入そのものも困難であった。そこでアルキル鎖長を順に長くしてゆくことで,最低限必要なアルキル鎖の長さの目安を得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で葉緑素を複合化するための層状構造を有する無機化合物として,ハイドロタルサイトを選定した。葉緑素の発色部位であるクロロフィリン色素を用いて種々検討することで,ハイドロタルサイトがクロロフィリンの複合化のための無機ホストとして適切に使用できる見通しを得た。さらに,界面活性剤を共挿入することで,ハイドロタルサイト層間でのクロロフィリン色素分子の凝集を抑制できる見通しが得られた。

今後の研究の推進方策

研究実施計画に従い,無機層状化合物の層間空間でクロロフィリン色素の単分散吸着を実現する。無機ホストとして用いる化合物はハイドロタルサイトに絞り込み,この層間にアニオン性界面活性剤を共挿入することで,クロロフィリン色素の分散性を任意に制御できる技術を確立する。この目的のために,界面活性剤分子のアルキル鎖長だけでなく,含まれる不飽和結合によるアルキル鎖の屈曲が分散性に与える影響を詳細に調べる。これらの手法により,クロロフィリン色素分子がハイドロタルサイト層間で高分散状態で吸着できる複合化方法の知見を得る。
上の研究成果を元に,層間に高分散状態で取り込んだクロロフィリン色素を選択的に溶出する技術の開発を行う。いちど吸着したクロロフィリン分子を溶出させることで,分子の占めていた体積が空間として層間に残留し,葉緑素分子を層間に取り込む鋳型としての役割が得られることを狙う。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] Relationship between Solvent Composition Shifts of Plant-Derived Photochromic Solutions and their Photochromic Performance2023

    • 著者名/発表者名
      M. Akatsuka, K. Tasaki, Y. Kohno, M. Shibata
    • 雑誌名

      Journal of the Japan Society of Colour Material

      巻: 96 ページ: 113-117

    • DOI

      10.4011/shikizai.96.113

    • 査読あり
  • [学会発表] 抗酸化剤の共挿入により粘土層間で安定化された青色β-カロテン2023

    • 著者名/発表者名
      天野ちなみ,河野芳海,柴田雅史,渡部綾,福原長寿
    • 学会等名
      色材協会創立95周年記念会議
  • [学会発表] プラスチック着色剤としての天然色素/無機ホスト複合体の利用2023

    • 著者名/発表者名
      水野智博,河野芳海,柴田雅史,渡部綾,福原長寿
    • 学会等名
      色材協会創立95周年記念会議
  • [学会発表] 無機材料と複合化した種々の天然色素に効果的な安定化剤の探索2023

    • 著者名/発表者名
      塩澤怜,河野芳海,柴田雅史,渡部綾,福原長寿
    • 学会等名
      色材協会創立95周年記念会議
  • [学会発表] 抗酸化剤による粘土層間での青色β-カロテンの安定化2023

    • 著者名/発表者名
      天野ちなみ,河野芳海,柴田雅史,渡部綾,福原長寿
    • 学会等名
      第53回中部化学関係学協会支部連合秋季大会
  • [学会発表] 天然色素/無機ホスト複合体によるプラスチックの着色2023

    • 著者名/発表者名
      水野智博,河野芳海,柴田雅史,渡部綾,福原長寿
    • 学会等名
      第53回中部化学関係学協会支部連合秋季大会
  • [学会発表] 無機材料と複合化した青色アントシアニンに効果的な安定化剤の探索2023

    • 著者名/発表者名
      塩澤怜,河野芳海,柴田雅史,渡部綾,福原長寿
    • 学会等名
      第53回中部化学関係学協会支部連合秋季大会
  • [学会発表] 無機材料と複合化した青色アントシアニンに対する安定化剤の効果2023

    • 著者名/発表者名
      塩澤怜,河野芳海,柴田雅史,渡部綾,福原長寿
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] 粘土層間で安定化した天然色素による生分解性プラスチックの着色2023

    • 著者名/発表者名
      水野智博,河野芳海,柴田雅史,渡部綾,福原長寿
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会
  • [学会発表] ハイドロタルサイト層間での界面活性剤による銅クロロフィリンの分散性の向上2023

    • 著者名/発表者名
      上田あすか,河野芳海,柴田雅史,渡部綾,福原長寿
    • 学会等名
      日本化学会第103春季年会

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公開日: 2023-12-25  

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